戦争よりも、アメリカ経済の基調や金融政策がより大きな影響を与える場合が多い
歴史的な戦争とアメリカ株式市場への影響
1. アフガニスタン紛争(1979年~1989年)
- ソ連のアフガニスタン侵攻は地政学的リスクとして注目されたが、S&P500は侵攻直後に上昇へ転じ、10年後には約173%上昇している。
- この時期のアメリカ株価への直接的な影響は限定的で、株価の下落は主にアメリカ国内のリセッションや高金利政策が要因だった。
2. 湾岸戦争(1990年~1991年)
- イラクのクウェート侵攻前後でS&P500は約20%下落、原油価格は2倍以上に急騰。
- しかし、戦争終結とともに原油価格が下落し、株価は反発。戦争中の最安値から終戦まででS&P500は約32%上昇した。
3. イラク戦争(2003年~)
- 開戦前は株価が下落したが、開戦と同時に上昇トレンドへ転換。S&P500は2003年から2007年までに約80%上昇。
- 原油価格も上昇したが、株価の下落はリーマンショックなど金融危機が主因で、戦争自体の影響は限定的だった。
4. クリミア危機(2014年)
- ロシアによるクリミア併合時、アメリカ株はほとんど反応せず、影響は限定的だった。
5. ウクライナ侵攻(2022年~)
- ロシアのウクライナ侵攻後、原油や商品価格が急騰。アメリカ株は大きく下落し、インフレ悪化・FRBの利上げ加速という間接的な影響が大きかった。
6. イスラエル・パレスチナ戦争(2023年~)
- 開戦直後は債券が買われ金利が一時的に下落したが、その後金利上昇・株価下落が続いた。
- 原油価格は大きく反応していないが、イラン(世界第3位の石油埋蔵国)が関与した場合は原油高・株安の展開も警戒されている。
戦争と米国株の一般的な傾向
- 戦争や地政学リスクが発生すると、短期的には株価が下落しやすいが、直接的な戦闘が米国本土で起きない場合や、経済の基調が強ければ株価は比較的早く回復する傾向がある。
- 原油などコモディティ価格の変動が大きな影響を与えやすく、特に中東情勢ではエネルギー価格の高騰が株価下落要因となることが多い。
- 防衛関連など一部の業種は有事で買われやすい。
まとめ
- 過去の戦争事例を見ると、戦争勃発時は短期的な株安や原油高が見られるものの、米国経済の基調や金融政策がより大きな影響を与える場合が多いです。戦争が長期化・拡大しない限り、米国株は回復するケースが多いですが、エネルギー価格やインフレ動向には引き続き注意が必要です。
地政学とマネーの未来2024-2025
- エコノミストでグローバルストラテジストのエミン・ユルマズ氏による著作で、現在の世界経済の「エブリシング・バブル(すべての資産がバブル状態)」の終焉と、その後の地政学的変化およびマネーの流れを分析したものです。
本書の概要と主なテーマ
- エブリシング・バブルの定義と現状・・・「エブリシング・バブル」とは、株式、不動産、暗号資産などあらゆる資産価格が過熱し、バブル状態にあることを指します。著者はこのバブルの7~8割はすでに崩壊しつつあると指摘し、特にAI関連株や半導体株の過大評価(「AIバブル」)にも警鐘を鳴らしています。
- 地政学的リスクと世界経済の変化・・・米中の新冷戦構造、ウクライナ戦争、中東情勢などの地政学的リスクが金融市場に大きな影響を与えており、これらのリスクは資産価格の変動や金融システムの安定性に波及しています。
- 日本経済の明るい未来・・・こうした世界の混乱の中で、日本は地政学的な追い風を受けて「一人勝ち」の状況に入りつつあると著者は主張します。特に、米中冷戦の長期化が日本に資金・人材・情報・事業を呼び込み、2050年までに日経平均株価が30万円に達するという大胆な予測を掲げています。2025~26年には5万円台に乗せる可能性が高いとも述べています。
- 少子化とAIの融合による日本の優位性・・・日本の少子化は単なるピンチではなく、AIの進化によって労働生産性が向上し、少子化社会でも経済成長が可能になると分析。AIがもたらす余剰価値を活用し、日本は再び経済大国としての地位を確立できるとしています。
- 投資と資産形成のアドバイス・・・インフレ時代においては現金の価値が目減りするため、株式、不動産、金などへの分散投資が重要。特に日本株は割安で魅力的な投資先とされ、AI時代に対応したスキルアップやリスキリングも推奨しています。
本書の構成例
- 2つの大国(米中)が抱える問題と地政学的意味
- 世界の地政学リスクの歴史的・宗教学的背景
- 新冷戦下での日本のリスクとチャンス
- 日本経済復活のシナリオと資産形成の戦略
まとめ
- 世界的な資産バブルの崩壊が進む中で、地政学的リスクが金融市場に与える影響を深く分析しつつ、日本がこれからの時代に経済的な黄金期を迎える可能性を示した経済予測書です。特に、米中冷戦の継続やAI技術の進展を踏まえ、日本株の長期的な成長と資産形成の戦略を示す点で、投資家や経済関係者にとって実践的な示唆を与える内容となっています。
日本経済の未来 2050年には日経平均株価は30万円を超えている
なぜそうなるのか?
- 不動産バブルの崩壊した中国への不信感から世界のお金が日本に流れてきている
- アメリカが中国やロシアと冷戦になったことで世界の投資マネーが日本に向かう
- 日本は好景気40年と不景気23年というサイクルで回っている
- また2050年頃まで日本はインフレが続く可能性が高い
- なぜなら人手不足や中国からの脱却、または環境への配慮から物の値段が上がるから
- アメリカの株と比べて日本株には割安な株が多い
でも日本は少子化なのに大丈夫なのか?
- AIの時代になると人口が多い国の方が不利であり、少子化の日本はむしろAIの恩恵を受けられる
将来に備えて私たちが具体的にやるべきこと
- 金融資産を現金から株や不動産、金などに変えておく
- AIにはできないその人ならではのスキルを身につけておく
サムの息子法(Son of Sam law)
犯罪者が自らの事件の暴露で得た収入は被害者救済に充てなければならないとする法律。
犯罪加害者が自らの犯罪物語を出版・販売して利益を得ることを阻止する目的で、1977年にアメリカ合衆国ニューヨーク州で制定された。