アメリカで合成麻薬「ニタゼン」が蔓延 社会に深刻な影響

世界

 

2025年10月06日 「アメリカ中の家族が崩壊」“ゾンビタウン”生んだフェンタニル超えるニタゼンがアメリカを蝕む…日本にもリスクが

  • ニタゼンは1950年代に鎮痛剤候補として合成されたが、危険性が高いため医療用としては承認されなかった薬物である。近年ヨーロッパやアメリカで再び流通し始め、種類によってはモルヒネの最大4300倍の鎮痛作用を持つ非常に強力な薬物とされる。

アメリカでの拡大

  • 2019年以降、欧州を経由してアメリカへ流入。
  • 米疾病対策センター(CDC)は、フェンタニルに続いて過剰摂取死を急増させていると指摘。
  • 2021年には薬物過剰摂取死の約5%がニタゼンによるもので、2023年にはペンシルベニア州などで死亡例が報告されている。
  • 最大の特徴は、使用者がニタゼンを含むことを知らずに摂取し、死に至るケースが多い点にある。

問題の背景と専門家の見解

  • 規制が強化されると、製造業者は分子構造を少し変えた新薬物を開発するため、「モグラたたき」状態が続く。
  • フェンタニル規制で生じた空白を補う形でニタゼン使用が増加。
  • 北米と中国の供給ネットワークを背景に、メキシコのカルテルが中心となって流通。
  • 規制の強化よりも、貧困や精神的苦痛など社会的要因の是正が不可欠と指摘されている。

経済・社会的要因

  • 特にアパラチア山脈地域のような貧困地帯で蔓延が深刻である。長時間労働による肉体的疲労や精神的ストレス、トラウマなどから逃れるために薬物が使用され、貧困と薬物依存の悪循環が続いている。

日本への影響

  • 国連薬物・犯罪事務所は、日本には大規模な合成麻薬市場がないためリスクは低いとする一方「ニタゼンがMDMAや大麻類似製品に偽装されて流入する恐れがある」「規制対象外の新化学物質の登場が容易で、国際的な監視体制が重要」と警告している。

アメリカではトランプ政権が対策を強化しているが、薬物の供給網は複雑で、社会構造的な貧困や孤立が依然として根底にある。したがって、薬物規制のみならず、教育・福祉・地域社会の再生を含めた包括的な対応が求められている。

 

 

中毒死と社会被害を増加

欧州に広がる中国産薬物「ニタゼン」 密輸の実態を追う

中国産の新型合成オピオイドである「ニタゼン系(Nitazenes)」薬物は、欧州で急速に広がっており、その致死性はフェンタニルの5倍と非常に高いことが報告されています。特にイギリス・スコットランドでは、人口約550万人の地域でこのニタゼン系薬物による中毒死が急増しており、3月から5月の間に毒物関連死亡が312件に達し、前四半期比で15%増加しています。このうち6%の症例からニタゼン系薬物が検出されており、専門家は実際にはもっと高い割合であると見ています。

ニタゼン類は極微量で薬理作用を発揮するベンゾイミダゾール系鎮痛薬で、摂取量が非常に少なくても致死的な効果を持つため、従来の検出体制では見逃されやすく、その危険性は重大とされています。法医解剖や死因究明においても特別な超微量分析が必要な薬物です。

フェンタニルは既に米国などで多数の過剰摂取死を引き起こしており、2023年には全米で約10万人以上の死者を出している多死の原因物質ですが、ニタゼン系はさらにその数倍の致死性を持つ新たな脅威と位置づけられています。このような新興の合成オピオイドの拡散は、欧州の薬物対策に深刻な混乱をもたらしている状況です。

まとめると、ニタゼン系合成オピオイドはフェンタニルの5倍の致死力を持ち、欧州で短期間に急速拡大し、中毒死と社会被害を増加させています。これに対応するためには、より高度な検出技術と早急な対策が求められています。

ニタゼン(Nitazenes)

強力な合成オピオイド薬物の一種で、μ-オピオイド受容体(MOR)に非常に強い活性を示します。1950年代に鎮痛剤として開発されましたが、人体使用は許可されておらず、近年は違法市場に出現し、多くの過剰摂取や死亡例が報告されています。ニタゼン類はフェンタニルとは異なる構造を持ちながらも、フェンタニルを超える強力な効力を示す類似体もあります。特にエトニタゼンやイソトニタゼンは強力で、代謝物も高い効力を持つことが確認されています。

特徴としては、ヘロインよりも強力かつ致死率が高く、安価に製造可能なため、違法薬物として拡散していることが指摘されています。薬物検査サービスがニタゼンの検出を強化しており、それに基づいて地域社会での警告や過剰摂取防止策が求められている状況です。

研究面では、ニタゼン類の構造異性体による活性差や、μ-オピオイド受容体に対する結合モデルなども解析されており、これが中毒原因解明や規制の基礎資料となっています。また、ナロキソンの拮抗効果に対してフェンタニルと同様に感受性が低いことも報告されており、臨床的な治療や救命措置にも影響を与える可能性があります。

中国など他国でもニタゼン類及び類似の向精神薬物の規制対象追加が進められており、世界的な公衆衛生上の緊急事態として認識されています。

要するに、ニタゼンは非常に強力かつ危険な合成オピオイドの一群であり、近年の乱用と過剰摂取による死者増加を受けて、世界的に規制と監視の対象となっています。

 

 

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