中国の大気汚染改善が地球温暖化を加速させた

中国など東アジア諸国の大気汚染改善が地球温暖化を加速させたという研究結果
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中国など東アジア諸国の大気汚染改善が地球温暖化を加速させたという研究結果

2010年ごろから地球温暖化が急激に加速している背景には、従来主要因とされてきた温室効果ガスの排出増加に加え、中国をはじめとする東アジア諸国の大気汚染改善が寄与している可能性が、最新の国際研究で指摘されました。

この研究は、特に2013年以降の中国や東アジア地域での大気汚染物質（とりわけ二酸化硫黄やPM2.5）排出量の大幅削減が、エアロゾル（大気中微粒子）の減少をもたらし、“皮肉にも”地球の温暖化を加速させる副作用をもたらしたとしています。

エアロゾルには太陽光を反射し地表への放射エネルギーを減らす作用や、雲の反射率（アルベド）を高める作用があり、ある程度は地球を冷やす働きがあります。そのため、急速な大気浄化でこの“冷却効果”が弱まると、温暖化の進行がより顕著になることが予測モデルで定量的に示されました。

実際に、中国では2013年からの10年間で二酸化硫黄排出量が75％減少、PM2.5が66.5％減少、二酸化窒素も58.9％減少したと報告されており、地球規模の気温上昇傾向と時期が一致しています。

この知見は「東アジアにおける大気汚染との闘いが、短期的には温暖化の加速という副作用も引き起こしうる」ことを示しており、気候政策における複雑なトレードオフを浮き彫りにしています。ただし、長期的には二酸化炭素排出の抑制による温暖化防止が最優先であり、大気浄化そのものが否定されるものではありません。

「東アジア全体で見ても二酸化硫黄排出量は2013年から75％削減されており、これは地球温暖化が加速した時期と一致すると指摘しています…中国をはじめとする東アジア諸国の大気汚染改善が、地球温暖化の加速に関連しているのではないかという仮説を、多数の気候モデルとコンピューターシミュレーションで実証的に分析しました。」

この研究結果は、大気汚染改善策と温暖化対策が時に異なる影響をもたらすことに、今後より多角的な視点で対応する必要性を示しています。