軍事費上位10カ国(2024年)
| 順位 | 国名 | 2024年 軍事費 |
|---|---|---|
| 1位 | アメリカ | 9970億ドル |
| 2位 | 中国* | 3140億ドル |
| 3位 | ロシア* | 1490億ドル |
| 4位 | ドイツ | 885億ドル |
| 5位 | インド | 861億ドル |
| 6位 | 英国 | 818億ドル |
| 7位 | サウジアラビア* | 803億ドル |
| 8位 | ウクライナ | 647億ドル |
| 9位 | フランス | 647億ドル |
| 10位 | 日本 | 553億ドル |
出所: SIPRI(ストックホルム国際平和研究所) *推計値
ロシアの今後の展望
専門家の多くは、2025年から2026年にかけて、ロシア経済は以下の壁にぶつかると予測しています。
- 設備の老朽化:メンテナンス用の輸入部品が底をつき、工場やインフラの稼働率が低下する。
- 社会不安:物価高と、戦死者の増大による労働力不足が国民生活を直撃し、プーチン政権が「経済の勝利」を語り続けることが困難になる。
ロシアが「経済は好調だ」と豪語するのは、そう言い続けなければ国内の結束が崩れるという、焦りの裏返しである可能性が高いと考えられます。
ロシアの実情は「ゆがんだ好景気」
ロシアが「戦時経済でGDPが成長した」と誇示しているのは事実ですが、その内実を専門的に分析すると、健全な成長とは程遠い「ゆがんだ好景気」であり、現在は深刻な疲弊が始まっていると見るのが現実的です。
ご指摘の通り、表面上の数字と実態には大きな乖離があります。
1. 「軍事投下」によるドーピング的な成長
ロシアのGDPを押し上げているのは、国家予算を惜しみなく軍需産業に投入しているからです。
- 穴を掘って埋める経済:戦車を1両作り、それが数日でウクライナで破壊される。GDPの計算上は「生産」としてプラスになりますが、国民の生活を豊かにする価値は一切生み出さず、国家の資産を燃やしているだけです。
- 民生部門の犠牲:軍需工場はフル稼働していますが、冷蔵庫や自動車といった一般消費財の生産は後回しになり、深刻な供給不足を招いています。
2. インフレと人手不足のダブルパンチ
経済が回っているように見えて、その裏では猛烈な歪みが生じています。
- 殺人的な人手不足:数十万人が前線へ動員され、さらに数十万人の有能な若者(IT技術者など)が国外へ脱出しました。軍需工場は労働者を確保するために給与を跳ね上げざるを得ず、これが経済全体の物価を押し上げる「コストプッシュ・インフレ」を引き起こしています。
- 高金利の限界:ロシア中央銀行はインフレを抑えるために、政策金利を20%前後の極めて高い水準に設定しています。これでは一般企業は金を借りて投資することができず、軍事以外の産業は干上がっています。
3. 「馬の活用」が示す疲弊の真実
あなたが最初におっしゃった「馬を使い始めた」という事実は、ロシア経済が「数字上は好調でも、実物資産が枯渇している」ことを証明する強力な証拠です。
- 通貨はあるが物がない:国家予算を注ぎ込んでルーブルを刷ることはできますが、そのお金で買うための「最新の電子部品」や「工作機械」を制裁によって調達できなくなっています。
- 技術的退行:GDPが増えていても、作っているものが「1960年代設計の戦車」の修理や、最前線での「馬やロバ」の運用であれば、それは近代国家としての経済能力が著しく衰退していることを意味します。
4. 資源依存の限界
ロシアの収入を支えてきた石油やガスの輸出も、中国やインドに対して足元を見られた割安価格での販売を強いられており、以前のような「あぶく銭」は入ってきません。
結論
ロシアの戦時経済は、いわば「貯金を切り崩して、その金で武器を買って派手に振る舞っている状態」です。
「ロシアは戦時経済でGDPが増えた」という主張は、ある種の数字のマジック
2026年現在の実態を詳しく見ると、国家が「国民の生活」を犠牲にして「兵器の使い捨て」に資金を注ぎ込んでいる、極めて不健全な状況が浮き彫りになります。具体的な物資不足や経済の歪みを整理します。
食料品価格の異常な高騰と供給不足
ロシア国民の食卓では、基本的な食料品の価格がかつてないほど上昇しています。
- ジャガイモの価格高騰:天候不良と労働力不足により、2025年後半には前年比で70%以上も値上がりしました。
- バターと卵の危機:2024年末から2025年にかけて、バターの価格が急騰し、店舗での盗難が相次ぐ「バター強盗」まで発生しました。政府は関税を撤廃してトルコやUAEから緊急輸入しましたが、供給は依然として不安定です。
- 食品の質的低下:西側の原材料や添加物が手に入らなくなったため、乳製品や加工食品の品質が目に見えて落ちていると報告されています。
「兵器は作れるが、生活は守れない」産業構造
ロシアのGDP成長の正体は、国家予算の約40%を国防費に投入していることにあります。
- 民生部門の沈没:軍需工場が24時間体制で稼働する一方で、自動車、家電、IT機器などの一般消費者向け産業は完全に停滞しています。
- インフレの加速:軍需工場が高い給与を支払って労働者を奪い合っているため、市中の現金が増え、物価をさらに押し上げています。中央銀行は金利を20%前後の超高水準に設定してこれを抑えようとしていますが、その副作用で一般企業の倒産リスクが高まっています。
- インフラの老朽化:鉄道の脱線事故や暖房配管の破裂など、インフラ維持のための予算や部品が軍に回された結果、国内の生活環境が悪化しています。
2026年以降に直面する「限界」
現在のロシア経済は、以下のような「限界点」に向かっています。
| 項目 | 現状(2025年〜2026年)の影響 |
|---|---|
| 労働力 | 前線への動員と若者の国外脱出により、あらゆる産業で深刻な人手不足。 |
| 外貨準備 | 国民福祉基金(蓄え)が底をつきつつあり、増税で補う必要が出ている。 |
| 技術 | 高度な半導体や精密機械の不足により、兵器も生活用品も「旧式化」が進む。 |
| エネルギー | ウクライナによる製油所へのドローン攻撃により、産油国でありながら国内のガソリン価格が上昇。 |
結論
ロシアが豪語する「経済成長」は、将来の成長の芽(若者や外貨)を今この瞬間のミサイルや戦車に変えて燃やしている、いわば「打ち上げ花火」のような状態です。
あなたが最初に指摘された「馬の導入」は、まさにこの「数字上の成長」の裏側で、実体経済が近代国家の体をなさないほどに疲弊・退行していることを象徴しています。
ソ連経済は1970年代に限界と言われれ、実際に崩壊したのは1991年
ソ連は「崩壊する」と言われてなかなか崩壊しなかった。ロシアの崩壊には時間がかかりそう
「ソ連崩壊には時間がかかった」という歴史的な視点は、現在のロシアを読み解く上で非常に重要です。1970年代から「ソ連経済は限界だ」と言われ続けながら、実際に崩壊したのは1991年でした。現在のロシアについても、あなたの仰る通り、すぐに崩壊すると考えるよりは「じわじわと、しかし確実に劣化していく長期戦」と捉えるのが現実的です。ソ連の事例と現在のロシアを比較しながら、なぜ時間がかかりそうなのか、その背景を整理します。
ソ連崩壊と現代ロシアの「粘り」の違い
ソ連が崩壊まで持ちこたえた理由と、現在のロシアが持っている「耐久力」には共通点と相違点があります。
- 資源の裏付け:ソ連も現在のロシアも、石油やガスという「現金」を生む資源を持っています。世界がこれらを必要とする限り、経済が完全にゼロになることはありません。
- 市場経済の適応力:ソ連は硬直した計画経済でしたが、現代ロシアは曲がりなりにも市場経済の仕組みを持っています。制裁下でも、中国やインドを経由した迂回ルートで物資を調達するなどの「しぶとさ」があります。
- 管理体制の強化:ソ連末期よりも現在のプーチン政権の方が、デジタル監視技術などを用いて国内の反対勢力をより強力に抑え込んでいます。
ロシア経済を支える「貯金」と「無理」
現在、ロシアが崩壊を免れているのは、長年蓄えてきた「貯金」を猛烈な勢いで取り崩しているからです。
- 国民福祉基金の切り崩し:かつての高油価時代に積み立てた基金を、戦費と経済維持に注ぎ込んでいます。これが底をつけば、いよいよ本当の危機が訪れます。
- 戦時スタグフレーション:2025年から2026年にかけて、ロシア経済は「景気停滞」と「物価高」が同時に進むスタグフレーションに突入しています。物価は開戦前から約1.4倍に跳ね上がっており、国民の忍耐力テストが続いています。
崩壊ではなく「腐食」というプロセス
「崩壊」という言葉が、ある日突然国がなくなることを指すなら、それはまだ先かもしれません。しかし、現在のロシアで起きているのは、国家の「腐食」です。
- インフラの劣化:暖房配管の破裂や鉄道の脱線、航空機の予備パーツ不足など、社会を支える基礎的な部分が日々蝕まれています。
- 技術の退行:あなたが指摘された「馬の導入」は、まさにこの腐食の象徴です。ハイテク兵器を作れず、旧式の装備や家畜に頼らざるを得ない状態は、国家としての「格」が音を立てて落ちていることを示しています。
結論:2026年以降の見通し
専門家の分析(小泉悠氏など)によれば、ロシアの財政や兵員補充の限界から見て「あと1年程度は何とか戦争を続けられる」というのが現在の共通認識です。
しかし、ソ連がそうであったように、末期症状が出てから実際にシステムが止まるまでには、数年単位のタイムラグが生じるのが通例です。
ロシアは「崩壊」する前に、北朝鮮のように「極めて貧しく、軍事だけに特化した閉鎖的な国家」へと変質しながら生き延びようとするでしょう。
中国もソ連やロシア同様に崩壊するか?
中国についても、ロシアと同様に「すぐに崩壊するか」と問われれば、答えは「NO(時間がかかる、あるいは別の形での変質)」となるでしょう。2026年現在の中国経済は、かつての高度成長が完全に終わり、ソ連が陥ったような「長期的な停滞(ソビエト化)」のリスクに直面しています。ロシアと中国、それぞれの状況を整理して解説します。
中国経済が抱える「静かな崩壊」の兆候
中国はロシアのような戦時経済ではありませんが、構造的な欠陥が限界に達しています。
- 不動産バブルの長期停滞:2026年になっても不動産不況は続いており、地方政府の債務問題は解決の糸口が見えていません。これは「ある日突然の爆発」ではなく、じわじわと経済の活力を奪う「失われた30年」の中国版となりつつあります。
- デフレと内需不振:国民が将来に不安を感じ、お金を使わなくなっています。2026年の実質成長率は4%台まで減速すると予測されており、かつての「勢い」は消え失せました。
- ソビエト化の懸念:一部の専門家は、現在の中国が「ソ連のブレジネフ時代(1960-80年代)」に似ていると指摘しています。政治的統制を強め、民間の活力を抑え込み、軍事や先端技術の「国家プロジェクト」にばかり資金を注ぐことで、経済全体が硬直化していく現象です。
なぜ中国も「崩壊」に時間がかかるのか
ソ連がそうであったように、巨大な独裁国家が崩れるまでには、外側からは見えにくい「粘り」があります。
- 巨大な経済規模:中国は世界第2位の経済大国であり、製造業の基盤が極めて厚いです。ロシアよりも世界経済と深く繋がっているため、周囲も「共倒れ」を恐れて急激な崩壊を望まないという側面があります。
- 統制の徹底:中国共産党は、ソ連崩壊の歴史を徹底的に研究しています。情報遮断、デジタル監視、そして軍の掌握をソ連以上に強固に行っているため、内部からのクーデターや革命が起きにくい構造になっています。
ロシアと中国の共通点:ハッタリと現実の乖離
あなたが指摘された「牽制やハッタリ」という点では、両国とも共通の課題を抱えています。
- 軍備増強の重圧:ロシアは「馬」を使い始めるほど現場が疲弊しており、中国も経済が冷え込む中で巨額の軍事費を維持することに「歪み」が生じています。
- デメリットの増大:現代の戦争はコストが跳ね上がっています。中国が台湾に攻めれば、世界経済からの遮断という「自殺行為」に等しいデメリットを背負うことになります。
結論
ロシアも中国も、今は「崩壊」を避けるために必死で「強い姿」を演じています。
- ロシア:戦時経済のドーピングで数字を維持し、馬を使ってでも「戦い続けられる」と示している。
- 中国:経済の停滞を隠すように「ハイテク軍隊」のイメージを演出し、周囲を威圧している。
ソ連の例が示す通り、帝国が腐り始めてから地面に倒れるまでには、数十年かかることもあります。私たち日本にとっては「明日崩れる」と楽観するのではなく、彼らが「腐食し、狂暴化しながら、長く存在し続ける」ことを前提とした備えが必要です。
軍事力だけでなく、経済の自立や同盟国との結束を固めることは、この「長い停滞期」を生き抜くための不可欠な戦略となります。
