2025年10月01日 ロシア、アフリカでの野望が頓挫 米欧には好機
ロシアはかつてワグネル・グループを通じてアフリカに強い影響力を持ち、軍事支援や資源ビジネスを背景に存在感を拡大していましたが、プリゴジンの死以降、その基盤は大きく揺らいでいます。
ロシアのアフリカ戦略の停滞
- 2023年にワグネル創設者エフゲニー・プリゴジンが反乱を起こした後に死亡し、ワグネルの活動は急速に停滞。
- ロシア政府が新たに設立した「アフリカ部隊」も、経済的利益の確保や現地政権への影響力維持に失敗している。
- ブルキナファソやマリ、中央アフリカ共和国などでの軍事的プレゼンスは維持を試みているが、組織力や資金力で旧ワグネルに及ばない。
欧米にとっての好機
- ロシアの影響力低下は、米国や欧州にとってアフリカで影響力を取り戻す契機となる。
- アフリカ諸国は依然として治安問題や資源開発需要を抱えており、外部支援への依存が続く。
- ロシアが後退している分、欧米は軍事支援や投資を通じた外交的な立場強化が可能。
今後の展望
- ロシアはウクライナ戦争が長期化するなかで、アフリカに十分な資源を割けない状況にある。
- 一方で、中国とトルコなどがアフリカ関与を強めており、米欧がどこまで主導権を握れるかは不透明。
- ロシアが再び影響力を取り戻すには、ワグネルに代わる組織を整備し、持続的な経済モデルを確立する必要があるが、現状では難航している。
この状況は、アフリカ大陸が大国間競争の舞台であることを改めて示しており、ロシアの失速は国際関係における力学の変化を映しています。
プリゴジンの死亡でワグネルは弱体化?
ワグネル・グループはロシアの準軍事組織で、2023年6月に創設者プリゴジンが武装蜂起を起こし、その後鎮圧されました。プリゴジンは同年8月に小型ジェット機墜落事故で死亡し、その後ワグネルはロシア政府の直接統制下に入り、戦闘員の多くがロシア国防省や国家親衛隊、チェチェンの特殊部隊「アフマト」などに吸収されています。現在は組織としての独立性は失われつつあり、ロシア軍の統制強化の中で再編が進んでいます。
アフリカに派遣されていた元ワグネル戦闘員も政府管理のもとで活動が継続しており、ワグネルの事業を引き継ぐ形でロシア国防省傘下の部隊が現地治安維持などを担っています。このようにワグネルは事実上解体されつつも、その構成要員や影響力はロシア軍や関連組織に組み込まれて存続しています
ワグネルの後継「アフリカ部隊」
ワグネルの後継軍事組織として2023年末~2024年にかけてロシア国防省主導で設立。ワグネルの人的ネットワークと資金源を吸収しようとしたが、統制が厳格化され、かつ「商業的柔軟さ」を失った。
活動地域は旧ワグネルと同じくブルキナファソ、マリ、中央アフリカ共和国、スーダンなど。現地軍事政権を支援し、反政府勢力や武装集団を掃討する役割を担う。
経済活動の弱体化:ワグネル時代には金、ダイヤモンド、石油などの資源採掘事業に深く関与し、その収益で活動を自立的に維持していた。しかしアフリカ部隊は国防省の官僚組織に組み込まれ、収益確保の自由度を失ったため、民間軍事会社としての強みを失った。
現地での魅力低下:ワグネルは「現地政権の頼れる軍事のパートナー」として迅速かつ成果重視で行動したが、ロシア国防省の管理下では行動が鈍重で、アフリカ諸国からの信頼をやや失いつつある。
ロシア「アフリカ部隊」が活動している具体的な国別事例
中央アフリカ共和国
- 約1,500~2,000人のロシア兵が駐屯し、トゥアデラ政権を軍事的に支援。北部の反政府勢力制圧に貢献。
- ワグネル時代から引き継いだ鉱石採掘など経済利権も管理。
- 国防省の国防情報総局(GRU)が活動を統括し、情報戦や情報操作も展開。
マリ
- 軍事政権がフランス軍や米軍の撤退を求め、ロシアの軍事支援を受け入れている。
- アルカイダやイスラム国(IS)など過激派掃討の役割を担う傭兵組織として機能。
ブルキナファソ
- 軍政がロシアと連携し、軍事的な影響力を強化。ワグネル時代の活動が基盤にあるが、アフリカ部隊が継続的に支援を行う。
- フランス軍退去後の治安維持を担う。
ニジェール
- 軍事政権が西側軍の撤退を要求し、ロシアの支援を受け入れている。
- 過激派対策での軍事協力が中心。
リビア、スーダン
- ワグネルが関与していた地域だが、スーダン内戦の泥沼化に伴い、2024年以降は活動を縮小。
- 政治的指導層の変動により軍事支援の形態が変化しつつある。
その他の国
- ニジェールやコンゴ民主共和国などでも軍事協力や利権確保のための交渉が進行中。
- ロシア国防省傘下の準軍事部隊として活動し、主にサヘル地域の貧困国・小国に展開している。
これらの国々は軍事クーデター後にフランスや米軍の撤退を要求し、ロシア側の軍事支援に期待を寄せる点が共通しています。ロシアはワグネルのブランドは使わず、国防省直轄の管理体制で軍事力と経済利権維持を図っていますが、経済的成功や政治影響力は低下傾向にあります。
欧米にとっての好機
外交的再接近の余地:ロシア依存度が下がっている国々に対し、米欧は軍事訓練支援や兵器供与を通じて再び影響力を取り戻しやすい状況。
資源外交の展開:アフリカ諸国が望むのは資源輸出の安定とインフラ投資。ロシアの資源供給網が停滞するなか、西側の投資や開発援助で空白を埋められる。
治安支援の需要:サヘル地域ではイスラム過激派の攻勢が続いており、ロシアが十分対応できない現状は、米軍やEU軍・フランスの復帰余地を生み出している。
イメージ戦略:ワグネルの活動は人権侵害の批判が多く、現地世論で反発もあった。欧米は人道支援や開発支援を掲げ、ロシアとの差別化を図れる。
今後の展開のポイント
- ロシアはウクライナ戦争に資源を集中せざるを得ず、アフリカへの投資は限界がある。
- 欧米が積極的に動けば、ロシアが築いてきた立場を逆転できる可能性がある。
ただし、中国やトルコが積極的に進出しているため、アフリカは「米欧対ロシア」以上に多極化した争奪戦の舞台となっている。
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