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2015 年 9 月 8 日 09:15 JST
CEOのナデラ氏は企業文化の改革に傾注
先月、PC愛好家が集まり、ウィンドウズ 95発売から20周年の記念行事を催した。かつては新しいウィンドウズOS(基本ソフト)の登場は一大イベントであり、 マイクロソフト(MSFT)は発売キャンペーンに2億5000万ドルを費やしたと言われている。
マイクロソフトの幹部社員は記念行事への参加を見合わせたかったようだ。行事への参加は同社を悩ませてきた懐古趣味のようなものだからだ。一方、ライバルのアップル(AAPL)は過去を積極的に切り捨てることで飛躍している。同社は過去数十年間、まだ新しいと思われていた商品さえ捨ててきた。iPod(アイポッド)やおそらくはiPad(アイパッド)でさえ、次の成功に道を譲るため主力商品の座から降ろされている。
マイクロソフトも以前に比べて感傷的でなくなっている。サトヤ・ナデラ氏は1年半前に最高経営責任者(CEO)に就任して以来、同社のビジネスモデルだけでなく企業イメージをも変えようとしている。同氏は従業員に宛てた最近のミッションステートメントで、「基本的に、成長志向の考え方に根差した企業文化が必要と考えている。それは、誰もが成長できると信じることから始まる。そうした潜在力はあらかじめ決められたものではなく、育むものだ。そして、考え方を変えることは誰もができる」と書いている。
ウィンドウズ10の評判は上々だが…
マイクロソフトは以前から変わろうとしてきたが、あまりうまくいかなかった。2012年に発売したウィンドウズ8では、95年以来のウィンドウズの象徴的な存在だった「スタート」ボタンを廃止した。この変更は失敗で、ウィンドウズ8はユーザーからそっぽを向かれた。
今年7月下旬に発売されたウィンドウズ10ではスタートメニューを復活させ、ユーザーから歓迎されている。既存ユーザーはウィンドウズ10に無料で更新できるため、既に7500万人が同OSを使用している。同社は、いずれ全てのユーザーがこの最新プラットフォームに移行すると期待している。
ナデラ氏は従業員宛ての最近の手紙で、「『必要とされるウィンドウズ』から『選ばれるウィンドウズ』、さらに『愛されるウィンドウズ』となることを切望している」と述べている。筆者が実際にウィンドウズ10を使用したところ、ウィンドウズ8に対して大幅に改善されていることが分かった。音声アシスト機能のコルタナはアップルのSiri(シリ)と同じくらい便利だし、新ウェブブラウザーのエッジは反応が速く、まるでグーグルの商品のようだ。
マイクロソフトはウィンドウズ以外でも革新を進めている。例えば電子メールや個人情報を管理するアウトルックをiPhone(アイフォーン)で使用するためのiアプリは、アップルが提供するものに比べ、機能と使いやすさの点で優れている。
消費者志向から企業志向に転換
ところが、こうした消費者に関する話題は、投資家にとってあまり重要でなくなっている。エポック・インベストメント・パートナーズで共同最高投資責任者(CIO)を務めるデービッド・パール氏が指摘するように、マイクロソフトの事業の中で消費者の比重が次第に低下しているからだ。
同社の昨年の総売上高は940億ドルで、このうち法人相手のコマーシャル部門の売上高は520億ドル。これにはクラウド・アプリケーションを管理するプラットフォーム事業や、統合ソフトウエアのオフィスをクラウド経由で企業向けに販売する事業が含まれている。だが、パール氏によると、コンシューマー部門が取り扱うソフトウエア・ライセンス事業の顧客は実際には中小企業であり、その売上高80億ドルを加えると、企業相手の売上高は600億ドルとなり、全体の約3分の2に達する。しかもコマーシャル部門は営業利益の約80%を稼ぎ出している。パール氏は、「コンシューマー関連事業の評価はゼロ」と指摘する。
マイクロソフトの予想株価収益率(PER)は15.4倍と割安だ。2015年に創出されるフリーキャッシュフローは240億ドルと予想され、バランスシートには610億ドルのネットキャッシュが計上されている。パール氏によると、配当利回りは既に3%近い水準だが、自社株買い戻しと増配を実施する余力がある。このところ市場のボラティリティーが上昇する中でマイクロソフトは堅実な投資先だと言う。
さらにパール氏は次のように指摘する。「より大局的な観点から言うと、新生マイクロソフトは世間でのイメージとは異なる企業になっているようだ。同社は企業志向であり、消費者志向ではない。これに対し、マイクロソフトに対する世間のイメージは全て同社の悪い印象に基づいている。つまり、それこそが投資のチャンスだ」。
マイクロソフト、今こそ投資のチャンス
アップルの日足チャートです。3月にダウ銘柄に仲間入りして以来、どうも元気がありません。まるで天井を形成しているような様相です。(赤い線は200日移動平均線) pic.twitter.com/WJfSx9rChm
— T.Kamada (@Kamada3) July 9, 2015
2015/02/13
Apple (AAPL.O)の株価は上昇を続け、7000億ドル(約84兆円)の壁を突き破っている。この絶好調な同社の業績にもかかわらず、大手ヘッジファンドの少なくも1社のが、値上がりする Apple 株を売りMicrosoft(MSFT.O)につぎ込んでいる事実を、USA Today 紙が2月12日付で報道している。
世界最大のヘッジファンド米 Bridgewater Associates は、保有している Apple の株式を2014年第3四半期と比較して同年年末時点で半分にしたと水曜日に発表した。また、同社は代わりに、ウィンドウズを提供するITの巨人・Microsoft に巨額の資金を投入したという。
具体的には、Bridgewater が2014年第3四半期末に保有していた Apple 株式5390万ドル(64億6800万円)を2014年年末時点で2860万ドル(34億3200万円)まで引き下げた。同時期に、同社は Microsoft の株式を2790万ドル(33億4800万円)まで引き上げたが、それは元の保有金額67万9千ドル(8148万円)の7000倍にものぼる。
いくつかの情報筋は Apple の株式はもはや、よい買い物ではなくなっていると警鐘をならしていた。Apple の株は希薄後一株利益の17倍で取引されており、これはハードの会社としては異常に大きい評価だ。一方で、Apple は最終的に初の1兆ドル企業になると言う投資家もいる。
Bridgewater の Apple から Microsoft への乗り換えは、今のところうまくいっている訳ではない。昨年の第4四半期での iPhone 6 の販売がすさまじかった為、Apple の株価も上昇していた。一方、Microsoft 株は、予定していた成長分野への移行が予想よりも時間がかかっている事から伸び悩んでいる。
しかし、Bridgewater の動きは注目に値する。市場に関係なく自分の財力をみながら投資している。ヘッジファンドは一般市場の動きと逆でも自分たちの将来の利益の為にベストは選択をするので“スマートマネ―”と呼ばれる。
ウォールストリートのアナリストは、とどまるところを知らずに、高騰を続ける Apple の株価を疑う事に恐れていた。 同じような機能のスマートフォンが安いコストで出た時でも、Apple は消費者に高い価格の電話を買わせて、高い携帯プランに入らせ続ける。この繰り返されたビジネスが米国で見たことのないような利益を創出する会社を作っている。
全ての他の株式と同じように、最終的に株価はどこかで重力が働く。Apple は投資家の知らない未発見の株式からかけ離れている。未発見の株式は、一般的にいって最も広く知られた株式のリストの中にある。
あるヘッジファンドマネージャーは、どこにでもより良い、あるいは同程度に良いチャンスがあると思っている。
絶好調の“Apple を売り”、“Microsoft 買い”のヘッジファンドが出現