都内。病院で亡くなる人が全体の9割。病院から火葬場へ直行する直葬、親しい身内だけで済ます家族葬を選ぶ人が8割

無葬社会 彷徨う遺体 変わる仏教

都内では直葬、家族葬を選ぶ人

都内では、病院で亡くなる人が全体の9割。病院から火葬場へ直行する「直葬」、親しい身内だけで済ます「家族葬」を選ぶ人が8割を占める。全国的にも、その割合は過半数を超える。社会の慣習が大きく変わっていった顕著な例

2017年2月24日 養老孟司さん。 @NHKラジオ「サタデイエッセイ」

遺体をエレベーターに入れることができない

直葬が増加してきた背景には、(高層)マンション居住者の場合、まず棺(遺体)をエレベーターに入れることができない。自宅に戻ることさえできない。火葬場が不足しているため、火葬する順番待ち。待っている間に遺体を預かる「遺体ホテル」なるビジネスもある

無葬社会 彷徨う遺体 変わる仏教

イオンのお葬式

格安葬儀が全体の3割を占めている

景品表示法違反 実際には霊柩車の移動距離、遺体の安置期間、火葬場利用料金などで追加料金が発生するのに、一律料金であるかのように広告を打っていた。

葬儀 関東では5件に1件が”直葬”

2013年04月12日

通夜や告別式を行わない「直葬」(ちょくそう)と呼ばれる葬儀がどのくらい行われているのか、全国の葬儀業者を対象に調査したところ、関東地方で特に多く葬儀全体の5件に1件に上るという調査結果がまとまりました。背景にはどのような事情があるのでしょうか?

直葬は、通夜や告別式を行わず、火葬だけで済ます葬儀です。

都内の葬儀業者によりますと、直葬にかかる費用はひつぎなどのほか、遺体を運ぶ車両費や火葬場の利用料金などで安い場合は22万円ほど。通夜や告別式の会場費がかからないほか、僧りょを呼ばない場合はお布施の費用もかかりません。

去年12月、葬儀や墓などの情報サービス会社「鎌倉新書」が全国のおよそ200の葬儀業者を対象に、去年1年間で直葬がどのくらい行われたのか調べたところ、地域別では関東地方が特に多く、葬儀全体の22.3%、5件に1件にのぼりました。次いで多いのが近畿地方の9.1%で、東京や大阪など大都市圏で直葬の割合が高くなりました。

調査に答えた葬儀業者のおよそ40%が「値段が安いという経済的な理由」や「葬儀に対する意識の変化」などで「直葬が増えている」と感じています。葬儀会社の社長、宮嶋良任さんは、「昔は経済的に苦しい場合に直葬を行っていたが、いまは葬儀への考え方も変わってきている。ただ亡くなった方とお別れの時間がしっかりとれないので後で後悔するケースもある」と話しています。

直葬について東京・新宿で聞きました。70代の男性は、「母親が高齢で、直葬をしようと考えている。私も現役で働いていないし親せきや身内もいないので盛大に葬儀をやろうとしても来る人が限られている」と話していました。また20代の女性は、「私は直葬を選ばないです。葬式でお別れして順序を踏んで時間をかけることで残された人の心の準備ができると思う。自分が送られる側になっても少しさみしいかなと思います」と話していました。

宗教学が専門の國學院大学の石井研士教授は、「直葬が日本人の葬儀のあり方のひとつの形として位置づけられたと感じる。よく指摘されているのは経済的な理由だが、やはり地域社会や親族との人間関係が縮小し、かつてより薄く弱くなったので、直葬という形態の葬儀ができるようになったと思う」と分析しています。

自分の親しい人の葬儀や自分自身の葬儀、みなさんは、直葬についてどう考えますか?