悪しき血:シリコンバレーのスタートアップにおける秘密と嘘 (Bad Blood: Secrets and Lies in a Silicon Valley Startup) John Carreyrou

言葉

最初から意図的・確信的な詐欺であった

意図的・確信的に詐欺行為を行ったのか、成り行きで結果的に詐欺になったのか

ジョン・キャリルーの著書『Bad Blood』の記録やその後の裁判における客観的な事実に基づけば、エリザベス・ホームズおよびセラノス社の行為は「成り行き」ではなく、最初から意図的・確信的な詐欺であったと結論づけられています。

本書やその後の公判で明らかになった経緯から、計画的であったとされる主な理由は以下の通りです。

技術が完成していないことの徹底的な隠蔽

エジソン血中検査機器が正確な数値を出せないことは、初期の段階から社内の科学者や技術者によってホームズやCOOのラメシュ・サワニー(サニー)に何度も報告されていました。にもかかわらず、彼らはその事実を無視し続けました。

市販の血液検査機器の不正利用

セラノス独自の機器(エジソン)では微量採血による正確な測定ができないため、実際にはシーメンス社などの既存の大型血液検査機器を勝手に改造して使用し、指先からの微量血液を無理やり希釈して測定していました。自社開発の革新的な技術が存在しないことを知りながら、外部には「自社製機器で正確に測定できている」と虚偽の説明を続けました。

投資家や提携先に対する意図的な虚偽報告

製薬会社(ファイザーなど)に自社技術の効果を証明するレポートを提出する際、他社製機器のデータをセラノス製機器のデータであるかのように改ざんして渡していました。また、大口投資家に対しても、軍事作戦ですでに実用化されているなどと嘘の収益見通しや導入実績を伝えて資金を集めました。

徹底した隠蔽と脅迫工作

技術的な不備を指摘する内部告発者や元従業員に対して、多額の弁護士費用を背景にした訴訟チラシや脅迫的な示談書を突きつけ、口裏合わせや情報統制を組織的に行いました。

まとめ

不可能な目標を掲げた末に引き返せなくなったという側面はわずかにあったとしても、技術が存在しない事実を隠し、それを知りながら巨額の資金を集め続け、虚偽の検査結果を患者の診断に用いさせた一連のプロセスは、計画的かつ確信的な詐欺犯罪であると司法の場でも判断されました。

 

 

Gemini

元ウォール・ストリート・ジャーナル記者のジョン・キャリルー(John Carreyrou)が執筆したノンフィクション書籍です。血液検査ベンチャー企業「セラノス(Theranos)」の台頭と崩壊、そして創業者のエリザベス・ホームズによる詐欺劇の真相を告発した話題作です。

概要とテーマ

指先からのわずかな採血のみで数百種類の病気を即時に診断できる革新的な技術を謳い、最盛期には90億ドルの企業価値を誇ったセラノス。しかし、その技術は実際には全く機能していませんでした。本書は、カリスマ的な指導者として脚光を浴びたエリザベス・ホームズが、投資家やメディア、政財界の重鎮たちをどのように欺き、虚構の帝国を築き上げたのかを明かしています。

著者のジョン・キャリルーは、社内の内部告発者からの情報をもとに取材を進め、同社の脅迫や隠蔽工作に屈することなく調査報道を続けました。その一連のスクープ記事がきっかけとなり、セラノスの不正が公に暴かれ、最終的に会社は破綻へ追い込まれました。

主なトピック

  • エリザベス・ホームズの生い立ちとスタンフォード大学の中退、セラノスの創業
  • 期待された血液検査機器「エジソン」および「ミニラボ」の技術的欠陥とデータ捏造
  • 有名政治家や著名投資家を巻き込んだ巧みな心理戦とボードメンバーの盲信
  • 内部告発者に対する社内監視、脅迫、訴訟を辞さない高圧的な隠蔽体制
  • ジョン・キャリルーによる徹底した調査報道とスクープ記事の裏側

 

 

Grok

ウォール・ストリート・ジャーナルの記者ジョン・キャリールーが2018年に刊行したノンフィクションです。

シリコンバレーの血液検査スタートアップ「セラノス」とその創業者エリザベス・ホームズによる大規模な詐欺事件を、内部告発者や元従業員の証言を基に詳細に描いています。キャリールー自身が2015年から同紙でスクープを連載し、企業の崩壊を加速させた当事者でもあります。

一時は評価額約90億ドル(約1兆円規模)に達した企業が、技術が機能しないまま資金を集め、患者や投資家を欺いた実態が明らかにされます。

内容の要点

エリザベス・ホームズは19歳でスタンフォード大学を中退し、2003年にセラノスを設立しました。

「指先のわずか数滴の血液で数百種類の検査が可能」という革命的な技術を掲げ、スティーブ・ジョブズを模倣した黒いタートルネック姿で投資家や政治家を魅了しました。

ヘンリー・キッシンジャーやジョージ・シュルツら著名人を取締役に迎え、ウォルグリーンズとの提携も実現。しかし実際の機器は精度が低く、従来の大型検査装置で代用する偽装が常態化していました。

社内では反対意見を抑圧する恐怖政治が敷かれ、従業員の監視や訴訟の脅しが繰り返されました。キャリールーの取材に対しても、強力な弁護士団による圧力がかかりました。

2015年の報道をきっかけに規制当局の調査が入り、企業は2018年に消滅。ホームズは後に有罪判決を受け、長期の実刑を科されています。

本書の評価と意義

ピュリッツァー賞受賞記者による緻密な調査報道を基にした作品で、読み物としてもスリラーに近い緊張感があります。

シリコンバレー特有の「まず嘘をついてでも資金を集め、後から技術を完成させる」文化が、医療分野でどれほど危険かを示す事例として広く読まれています。

日本語版は2021年に集英社から刊行され、関美和・櫻井祐子訳です。

最近では関連ドキュメンタリーの影響で再注目され、ベストセラーリストに再び上がる動きも見られます。

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