イギリスで「自分たちからもっと税金を取れ!」と訴える富豪たちの運動

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大富豪の過半数が富裕税に賛成、不平等巡る暴力を恐れる声も

調査結果の概要

  • G20諸国を対象としたイギリスの富裕層団体「パトリオティック・ミリオネアズUK」が行った2024年調査によると、1000万ドル(約14億8,000万円)以上の資産を持つ億万長者の「58%」が、いわゆる「富裕税(財産に対する2%の課税)」に賛成しています。5000万ドル(約74億円)を超える層ではその賛成率は66%、1億ドル(約148億円)以上では69%に達しました。

富裕税支持の背景・理由

  • 賛同者の多くは「極端な富が民主主義に対する脅威」になると考えており、特に社会不安や暴力拡大を未然に防ぐ観点から、財産課税の必要性を訴えています。
  • また、調査対象の4分の3が「十分な公共サービスや安定した社会基盤が起業家精神や強い経済の前提」と認識しており、富裕層による社会貢献と公平な分配の必要性が高まっています。

資産規模別の賛成率

  • 1000万ドル以上の資産層では4割が「反対」または「分からない」と答えており、資産額が大きいほど富裕税支持の割合が高い傾向があります。

グローバルな議論と政治的動向

  • 2024年以降、G20財務大臣会議やダボス会議など世界経済の主要なフォーラムで、ブラジル・ドイツ・スペイン・南アフリカといった諸国が2%の富裕税導入を公式提案・支持し、フランスなど一部欧州諸国がこれに賛同を表明しています。
  • ただし、現時点でグローバルな法制化や合意には至っておらず、検討・議論が続いています。

不平等データと富の集中

  • 世界の富の分配状況については2023年、アメリカの上位10%層が国内の70%以上の富を保有。イギリスは57%、日本は約57.8%。世界の最上位1%が富の約36.3%を有し、下位50%層はごくわずかしか所有していません。日本も近年、格差拡大傾向にあります。

現場の声や課題

  • 調査では「富裕税は資本逃避を招き経済に悪影響」という意見も根強いものの、多くの富裕層は現実的に居住地を変える意思はなく、民主主義の強化や社会的安定、世界的な課題の解決に向けた税収確保のための変革を歓迎しています。

補足

  • 世界の世論調査でもG20諸国国民の68~70%が富裕税や高所得税、大企業課税に「賛成」しており、市民レベルでも同様の意識が広がっています。
  • オックスファム等の国際団体も、世界の不平等是正へ富裕税導入を強く求めています。

このように、富裕税の議論は大富豪自身や市民の間で広く支持が拡がっており、国際政治の現場でも具体化へ向けた動きが活発化しています。

 

 

「自分たちからもっと税金を取れ!」英国で国を愛する富豪たちが抗議

英国在住の作家・コラムニスト、ブレイディみかこさんによるAERAの巻頭エッセイ「eyes」で書かれています。内容は、英国で富裕層自身が「自分たちからもっと税金を取ってほしい」と声をあげる新しい動きを紹介しています。ロンドンでは「Patriotic Millionaires(国を愛する富豪たち)」という団体が、財政支出削減の計画に抗議し、選挙運動のようなバスで「我々の国は週4億6千万ポンド(約880億円)の富裕税を取り逃がしている」などと主張しています。ミュージシャンのブライアン・イーノも富裕税賛成の声を上げています。

また、労働者階級出身で億万長者となったエコノミストのギャリー・スティーヴンソンも「Tax the rich(富裕層に税を)」を訴え、YouTubeチャンネルの登録者が130万人を超えるなど注目を浴びています。この運動は、かつての左派の「下から立ち上がれ!」のパターンとは異なり、社会の上層にいる富豪たち自身が経済格差の是正を求めている点が特徴とされています。背景には、労働者や若者が貧しくなる一方で、政府が財政難を叫ぶ中で、富裕層だけが余裕を持っているという現実があるようです。

このエッセイは2025年05月19日号のAERAに掲載されており、ブレイディみかこさんの鋭い社会視点からの分析がなされています。

 

 

英国で「自分たちからもっと税金を取れ!」と訴える富豪たちの運動

  • 英国では近年、「自分たちからもっと税金を取れ!」と訴える富裕層自身による運動が注目を集めています。これは従来の「格差是正」運動とは異なり、下層からの声ではなく、上層の富裕層が自ら立ち上がっている点が特徴です。

運動の背景と実態

  • ロンドン中心部では、選挙運動用のバスに「我々の国は、週4億6千万ポンド(約880億円)の富裕税を取り逃がしている。財政支出削減をやめろ。我々の富に税金をかけろ」といったスローガンが掲げられ、実際に富裕層自身がバスに乗り込んで抗議行動を行っています。
  • この運動を主導しているのは「Patriotic Millionaires(国を愛する富豪たち)」という団体で、福祉予算削減計画に抗議する形で活動を展開しています。

参加者と主張

  • 有名ミュージシャンのブライアン・イーノもこの活動に参加しており、「僕のように裕福な人々で、今よりもっと自分のお金を分け合っても構わないと思う人はたくさんいる」と発言しています。
  • 富の偏在や「フィードバックループ(富がさらに富を呼ぶ構造)」の問題を指摘し、貧困層では逆向きに作用する現実を訴えています。
  • 新たな論客としては、労働者階級出身でシティバンクのトップトレーダーとなり、自らも億万長者となったギャリー・スティーヴンソンが「Tax the rich(富裕層に税金を)」を繰り返し訴えています。彼のYouTubeチャンネルは登録者130万人を超え、自伝もベストセラーとなっています。

従来との違い

  • 10年ほど前にも経済格差や階級問題を掲げる左派の盛り上がりがありましたが、今回は労働者や若者、活動家ではなく、これまで敵視されがちだった富裕層自身が「もっと税金を払いたい」と声を上げている点が大きな違いです。
  • 労働者や若者がどんどん貧しくなり、政府も財政難を訴える中で、元気と余裕があるのは富裕層だけなのかもしれないという現実も指摘されています。

まとめ

英国では、富裕層自身が格差是正と財政健全化のために「自分たちにもっと課税せよ」と訴える新しい社会運動が広がっています。これは従来の階級闘争や左派運動とは異なり、社会全体の持続可能性を憂慮する富裕層の自発的な動きとして注目されています。

 

 

私たちはいつから「孤独」になったのか
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「孤独」という感情がネガティブな欠乏感を伴うものとして認識され始めたのは、18世紀以降の近代社会からです。それ以前は、一人でいることは必ずしもネガティブな意味を持たず、むしろ積極的に選ばれる孤独(ソリチュード)のような意味合いが強かったとされています。

孤独が近代に生まれた理由として、個人主義の台頭、社会の包摂性の低下、共同体の喪失が指摘されており、人口増加や都市化、流動的な労働力の増加によって独居世帯が増え、孤独感が蔓延したことが背景にあります。また、宗教的な信仰心が弱まり世俗主義が強まったことも孤独の拡大に影響しています。

この本は、孤独を単なる「一人でいる状態」ではなく、心理的、身体的に感じられる複合的な感情の「群(クラスター)」として捉え、その歴史的発生や社会的意味を多角的に分析しています。

要点を整理すると:

  • 「孤独」という否定的感情としての認識は18世紀以降の近代から始まった。
  • それ以前は孤独とは、むしろ精神的な隠遁や自己との対話のポジティブな意味だった。
  • 近代社会の個人主義の進展や社会構造の変化が孤独感を拡大させた。
  • 人口増、都市化、流動的労働、市民の世俗化が孤独を広げた要因である。
  • 孤独は単なる孤立ではなく、恥、悲しみ、怒りなどさまざまな感情を含む複合的な感情群として理解される。

以上のことから、人類が「孤独」としての感情を新たに認識し経験し始めたのは、近代化が進んだ18世紀以降と説明されています。

 

 

 

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