まとめ
- HHKBやリアルフォースに匹敵する中国製高級キーボードが出現。
- Atom66他のNiz社キーボードは価格、機能性、野心で日本企業を圧倒。
- アニマルスピリット溢れる中国中小企業に大企業病の日本企業は敗北へ。
日本製の半額
Atom66はPFU、東プレの国産高級品の市場を奪う存在となる。
その第1の理由は価格である。同性能同等品では日本製の半額近い価格である。
BLUETOOTH版では1万9000円対3万円だ。Atom66EC-BLEは169ドルである。これは華南からの送料込みである。対してHHKB/BTは2万8686円だ。税込では2倍近い価格差となる。
USB版でも変わらない。有線型のAtom66EC-Sは129ドル、HHKBは税抜2万7500円から2万3000円だ。
ちなみにリアルフォースにも同様の価格優位に立つ。Nizは東プレ同様に75鍵、84鍵、108鍵ほかの無接点キーボードを販売している。そのUSB版の価格は東プレ製のほぼ半額である。BT版でも東プレのUSB版よりもなお安いのだ。
まずは価格で優位にある。その点でNizはPFUや東プレの高級国産キーボードを圧倒するのである。
日本企業は中国企業に敗北する
なお、最後に挙げた野心の差は日中経済環境の差異そのものである。
勢いある中国企業は得てして中小企業である。社長はオーナーでありアニマルスピリットに溢れている。蛇は寸にして呑牛の志を持つという。Niz社のように新機軸により世界市場を狙う。そのためにはリスクを恐れず寝食を惜しんで事業を進める。
対して日本企業は大企業中心である。社長は雇い人だ。しかも組織の中で高評価獲得に特化した人物である。まずは野心を持たない。結局は身過ぎ世過ぎの商売しかしない。
両者が競えばどうなるかということだ。それはやがて歴史が教えるだろう。
これは日本産業停滞の原因でもある。
革新は中小企業から生まれる。イノベーションや新市場開拓は野心を持った中小企業から誕生する。世界ではそう考えられている。だから経済改革では規制緩和が進められる。中小企業の成長を促す政策が取られるのだ。
だが、日本は大企業保護が続けられている。税金や補助金、為替は大企業有利である。規制緩和も大企業が益する形で進められている。そこには中小企業成長の余地を作る着意はない。産業が廃れるのも当然なのだ。