- **マール（Merle）模様**は、犬の毛色の一種で、特有のまだら模様や大理石模様が特徴です。特に「ブルーマール」などが有名で、ボーダー・コリーやシェットランド・シープドッグ、ラフ・コリー、ウェルシュ・コーギー・カーディガンなどの牧羊犬種に多く見られます。
マール模様の流行の経緯
- 日本での認知度の高まり・・・マール模様が一般的に知られるようになったのは、近年のペットブームやSNSの普及によるものが大きいと考えられます。特に「ブルーマール」は、その希少性と美しさから注目を集め、ペットショップやブリーダーでも人気が高まっています。
- 犬種の広がり・・・元々はボーダー・コリーやシェルティなどの特定犬種で見られる毛色でしたが、過去にはチワワやポメラニアンなどでもマール模様を持つ個体が生まれたことがあります。ただし、健康リスクが高いため、現在はスタンダードとして認められていない犬種もあります。
- 流行の時期・・・明確に「いつから流行し始めたか」という年次データは見つかりませんが、2010年代以降、SNSやペット情報サイト、ブリーダーサイトでマール模様の犬が頻繁に紹介されるようになり、一般の飼い主の間でも人気が高まったと考えられます。
注意点
- 健康リスク・・・マール模様は遺伝的な要因によるもので、同じマール同士での交配は高い確率で難聴や視覚障害などの健康問題が生じるため、慎重な繁殖管理が必要とされています。
まとめ
- ペットの犬におけるマール模様の流行は、2010年代以降のSNSやペットブームを背景に広がったと考えられます。特に希少性と美しさから注目され、人気犬種を中心に多く見られるようになりましたが、健康リスクもあるため、繁殖には注意が必要です。
犬の「純血種」信仰とその弊害
- ケネルクラブ、ドッグショー、ブリーダーによる犬の「ブランド化」が進むなか、多くの純血種の犬が遺伝性障害や健康問題に苦しんでいる。
- 品種の固定や外見重視の改良が優先され、健康や本来の犬の気質が軽視されてきた。
- たとえばブルドッグは、極端な短頭化によって呼吸困難や体温調節の問題、心臓麻痺のリスクが高まっている。
犬の「純血」信仰の歴史と社会背景
- 純血種の多くは比較的近年に作られたものであり、伝統や血統への信仰は近代以降に強まったものだと指摘されている。
- かつては貴族など限られた階層が「高貴さ」の象徴として犬を飼っていたが、一般層にも広がることで「血統らしさ」を保証する基準（スタンダード）が必要となり、ドッグショーやブリーダーによる細分化が進んだ。
ビジネス化と動物福祉の問題
- ドッグショーやペット産業の商業主義が、犬の健康や福祉よりも「見た目」や「ブランド」としての価値を優先し続けている。
- 著者は、こうした「純血種」信仰や改良の歴史が、犬の心身にどれほどの苦痛を与えてきたかを告発し、動物福祉の観点から根本的な見直しを訴えている。
目次・構成例
- 序文（マーク・ベコフ）
- イギリスの古き良き伝統
- 純血種への行き過ぎた信仰
- 犬による社会的地位の証明
- 優生学と犬と人間
- 見世物にされた犬たち
評価・特徴
- 犬種改良の負の歴史や、現代ペット産業の問題点を鋭く指摘する内容で、特定の犬種好きには厳しい現実を突きつける面もあるが、単なる雑種礼賛ではなく、ブリーディングそのものへの根本的な問いかけがなされている。
- 日本では動物福祉の観点がまだ十分に浸透していない中で、こうした本が翻訳・出版された意義は大きいと評価されている。
まとめ
- 『純血種という病』は、純血種信仰とペット産業の歴史を批判的に紐解き、犬の健康と福祉を犠牲にした人間中心の価値観・商業主義を問い直す書籍です。犬たちが「人類最良の友」としてどのように扱われてきたのか、その暗い側面と未来への課題を示しています。