アイドルの起源
- 日本における「アイドル」という概念は、1970年代以降の大衆文化として定着したが、その起源はさらに遡り、戦前・戦中の女優や歌手といった「憧れの存在」に由来している。
- 「アイドル(idol)」という言葉自体は英語由来で、元々は「偶像」や「崇拝される存在」を意味し、芸能界においては大衆の憧れや理想像としてのスターを指すようになった。
軍隊との関係
- 戦時下の日本では、女優や歌手などの「アイドル的存在」が、兵士の士気高揚や慰問活動のために積極的に利用された。
- 彼女たちは戦地を訪問し、歌や踊りを披露する「戦地慰問」に駆り出されたり、兵士向けの「慰問雑誌」やブロマイドのモデルとして登場したりした。
- 慰問雑誌には、人気女優や歌手の写真とともに、兵士を励ますメッセージや戦争協力を促す文言が添えられ、軍部が士気維持や戦意高揚のために編集に深く関与していた。
- 兵士たちにとって、アイドルの写真やブロマイドは「つかの間の癒し」であり、戦場の厳しさや不安を和らげる役割を果たしていたが、一方で「異性の爆弾」として戦意を維持させるための道具でもあった。
まとめ
- 日本のアイドル文化は、戦時下において軍隊と密接な関係を持ち、兵士の士気高揚や戦争協力のために利用されてきた歴史がある。
- アイドルは単なる娯楽や憧れの対象にとどまらず、時代背景によっては国家や軍事政策に巻き込まれる存在でもあった。
「兵士たちの心を一番つかむこと、それがアイドルの写真だったり、娯楽です。…彼らに疑問を持たせないため、ある意味ではモルヒネのように、嫌なことを忘れさせるような意味もあったかと思います。」