兵庫知事選候補のデマ投稿 関与の複数人を公選法違反容疑で書類送検
事件の経緯
- 2024年11月の兵庫県知事選に立候補した稲村和美・前尼崎市長に関し、選挙期間中にX(旧ツイッター)上で「外国人参政権を進めている」などの虚偽情報が投稿・拡散されました。
- 稲村氏の後援会は、これらの投稿が事実と異なるとして刑事告発を行いました。
警察の対応と書類送検
- 2025年6月20日、兵庫県警はこのデマ投稿に関与した複数人を公職選挙法違反(虚偽事項公表など)の疑いで書類送検しました。
- 書類送検された人数や具体的な処分意見については明らかにされていません。
- 神戸地検は刑事責任を問えるかどうか慎重に判断する方針です。
Xアカウント凍結問題
- 稲村氏の後援会が運営するX公式アカウントが、選挙期間中に虚偽通報によって2度凍結されました。
- この件についても、兵庫県警は容疑者不詳のまま偽計業務妨害の疑いで書類送検しています。
後援会の主張
- 後援会は「選挙運動が不当に妨害された」として、国民的な議論の必要性を訴えています。
まとめ
- 兵庫県知事選を巡り、稲村和美氏に関する虚偽情報の拡散や後援会アカウントの不当な凍結が発生し、関与した複数人が公選法違反や偽計業務妨害容疑で書類送検されました。
- 今後、検察が刑事責任の有無を慎重に判断する見通しです。
- 堀潤による『災害とデマ』(集英社インターナショナル、2025年)は、災害時にSNSやAIによって拡散されるデマ(虚偽情報)が、被災地の救援や復旧活動にどのような影響を与えるかを、多角的に検証したノンフィクションです。著者はNHKアナウンサー・報道記者としての経験を活かし、東日本大震災、福島第一原発事故、熊本地震、西日本豪雨、能登半島地震など、過去10年以上にわたり災害現場を取材。その集大成として、デマの実態と対策をまとめています。
主な内容と特徴
- 歴史的・現代的視点からの分析
関東大震災から能登半島地震まで、100年以上にわたる災害とデマの関係を歴史的・同時代的に検討しています。 - デマの具体例と影響
2024年の能登半島地震では、「家族が倒壊した自宅の下敷きになっている」という偽のSOSがSNSで拡散され、警察が出動する事態に発展。実際には被害が確認されず、虚偽投稿者が逮捕されました。こうしたデマは人命救助や復旧活動を妨げる深刻なリスクとなっています。 - AIとSNS時代の新たな脅威
生成AIによる偽画像や動画の拡散、SNSの「インプレッション(閲覧数)」を稼ぐための迷惑投稿(いわゆる「インプレゾンビ」)など、現代特有の問題も取り上げられています。 - メディアと市民の役割
著者は自らLINEのIDを公開し、被災者と直接連絡を取り合い、現場の「本当のSOS」を市民メディアを通じて発信。大手メディアが報じない現場のリアルを伝えることで、情報の空白を埋める活動を続けています。 - デマへの対抗策
デマは誰でも被害者・加害者になり得る身近な問題であり、技術の進歩とともに拡散リスクが高まっています。著者は現地取材と検証の重要性を強調し、情報リテラシーの向上や、受け手としての慎重な姿勢の必要性を訴えています。
本書の意義
- 災害時における情報の混乱と、その中で「本当のSOS」を見逃さないために何ができるのかを、具体的事例とともに考察しています。デマが民主主義や社会の安全を脅かす現代において、メディア、市民、SNS利用者それぞれの責任と役割を問い直す一冊です。