- 日本史の通史書で、中国史との関係を軸に日本史を俯瞰的に描いた意欲作です。
本書の主な内容・特徴は次の通りです。
- 日本史は古代において中国文明の模倣(コピー)から始まったが、平安時代以降徐々に自立・独自化してゆく流れを解説している。
- 国家成立のプロセスを農耕民族と遊牧民族の境界という広い東アジア史的視点から捉え、島国日本が大陸の中国と異なる経緯で発展した事情を示す。
- 江戸時代の「凝集的」な農民中心社会と中国の中央集権的社会との違いに注目し、日中の社会構造の根本的違いとその影響を論じる。
- 近代以降の日本の対外拡大(帝国主義)や日中外交の歴史を、中国との外交関係の中で位置づけている。
- 「政冷経熱」(政治は冷え込んでいても経済の関係は熱い)という日中関係の複雑さにも触れている。
- 気候変動、人の移動、経済ネットワークなどの多角的な視点から歴史を再考し、教科書ではあまり語られない「真実の日本史」を示す。
著者は、中国の歴史と日本の歴史を切り離すことなく二国の相互作用や相克(対立)を重視しており、従来の日本史観を刷新する内容になっています。近代以前の日本史が中国に強く影響されて形成され、逆に現代の中国にも日本の近代史が影響を及ぼしたという「歴史の相互関係」が描かれています。
書籍は2021年10月に東洋経済新報社から刊行され、四六判・266ページ、定価は1,760円(税込)です。書評では「日本史の見方が大きく変わる」「日本史は中国史なしには語れないという事実を痛感させられる」など高い評価を得ています。
章構成例(目次例):
- 日本史は中国の“コピー”から始まった(古代~平安時代)
- アジア・システムからの離脱(平安~鎌倉時代)
- 「日本全体が入れ替わった」時代(室町~戦国時代)
- 「国家」の成立(江戸開府~元禄・享保時代)
- 「凝集」する日本(享保時代~開国前夜)
- 開国と日中対立の始まり(幕末~明治維新)
- 朝鮮半島をめぐる外交と戦争(明治時代)
- アイデンティティの破滅へ(大正~昭和初期)
- 現代への展望
要するに、この本は日本史を中国史と結びつけて理解することで、日本の歴史的特質や日中関係の本質的な構造を掘り下げる視点を提供します。単なる日本史の要約ではなく、中国との歴史的つながりを重視した「新しい日本全史」として評価されています。
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