アメリカの州ごとで「平均寿命」に1世紀レベルの格差が発生している理由まとめ
概要
- イェール大学公衆衛生大学院による大規模な研究(1969~2020年、1億7900万人分のデータ分析)で、アメリカの州ごとに平均寿命の伸びに大きな格差があることが明らかになりました。特に南部の一部州では、女性の平均寿命が100年近くほとんど変わっていないという衝撃的な結果が出ています。
主な研究結果
1. 平均寿命の伸びに大きな地域差
- 北東部・西部(ニューヨーク、カリフォルニア、ワシントンD.C.など)
- 1900年生まれ→2000年生まれで30年以上寿命が延びた州も。
- 例:ワシントンD.C.男性は48.7歳→86.5歳(約38年増)
- 南部(ミシシッピ、ウェストバージニア、アラバマ、ルイジアナ、テネシーなど)
- 同期間で10年程度しか寿命が延びていない。
- 女性ではほぼ横ばい、オクラホマ州は逆に0.7年減少。
2. 女性の格差はさらに顕著
- 2000年生まれ女性の寿命が最も長い州(ワシントンD.C.、ニューヨーク、カリフォルニア、マサチューセッツ、ハワイ)は、最大29年の寿命増加。
- 一方、最も短い州(ウェストバージニア、オクラホマ、ケンタッキー、ミシシッピ、アーカンソー)はほとんど変化なし。
3. “老化”の進行速度にも地域差
- 35歳以降の死亡率増加が緩やか(健康的な老化):ニューヨーク、フロリダ
- 急速(不健康な老化):オクラホマ、アイオワ
格差の主な要因
- 喫煙率
- 医療アクセス
- 環境要因(公害など)
- 公衆衛生投資の差
- 貧困率の高さ
- 政策の違い
これらが数十年~100年単位で累積的に影響し、現在の格差を生み出しています。
専門家コメント
- 「今日の格差は、長年の政策・社会状況の結果。意識的な政策変更がなければ、格差は今後も拡大する可能性が高い」
- 「平均寿命が伸びていない州ほど貧困率が高いのは当然。早期の公衆衛生投資が将来の世代の健康を左右する」
まとめ
- アメリカでは、生まれる州によって寿命が数十年単位で違うという現実がある。
- 南部の一部州では、特に女性の寿命が100年ほぼ横ばいという深刻な地域格差。
- 背景には、医療・経済・政策・社会環境の長期的な違いがある。
- 政策介入や公衆衛生投資がなければ、格差は今後も広がる可能性が高い。
一言解説:
- 「アメリカの“生まれた場所”が、人生の長さを大きく左右する時代が、今も続いている」という現実です。