3つの逆境のナゾ 読み進めるにつれ、随所に盛り感が色濃く出ていて めまいがし、心にスッと入ってこない。

松本杏奈さんの母を名乗るアカウントが登場

  • 学費と塾代で毎月15〜20万円かかってたよね?高2までの海外渡航も49回。真実を伝えないと読者は勘違いするよ
  • 一部細かく違っていた点に反論するのはいいが、真実を暴露された点に反省はないのか?

と、まさかの長文レビュワーサイドを味方する

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リアルタイム / Google トレンド / Yahoo!ニュース 松本杏奈

大切な娘を守る為、今まで嘘の投稿等に一切の反論を控えておりましたが、娘以外にも大切な親、親族等がおり、娘の言うところの田舎故に誹謗中傷、被害が家族にも及んでおりますので、これからは反論すべきところは真実に基づき、していこうと思います。

裕福とはどこからですか?文理の学費、週7の塾代、毎月15万から20万はかかっていました。高校2年までに海外渡航歴49回と数えてたよね。後輩の為にとか言うけれど、こういった真実を伝えないと、誤解して期待してしまう人もでてくるのでは?

真実を暴露された点については反省もなく、違った点についてだけ猛攻撃するのは違うと思います。ロサンゼルス、ロンドンの短期留学、MIT、ハーバードの9日間見学ツアー。海外大学に入るため、ボランティア活動が必要とかでカンボジアボランティアツアーに参加、ミャンマーにもボランティア。

Amazonの長文レビューを書いた方、恐らく凄く良く知ってる人なんだと思います。本人に色んなことを気付いてほしい、応援の意味を込めて書いたのだろうなと解釈していたのですが、細かい点が間違っていたことで、誹謗中傷だ!事実と違う!とか責められ、申し訳ない気持ちです。

3つの逆境のナゾ

2022年4月23日

読み進めるにつれ、随所に盛り感が色濃く出ていてめまいがし、心にスッと入ってこない。

医学部を強く勧める学校や親のせいで、自分を不遇の身に仕立て、挙げ句の果てに何もかも自分で開拓したというのは、どうなんだろう。

地方だからいうより、そもそも昔から徳島文理は医学部至上志向で有名だから、そこに12年間も通っていて、医学名誉博士の親の強い意向もあって、説得にかけられたんだよね。

出すところは熱く盛って、隠すところは(百歩譲って、もう記憶にないとか?)出さないでは
信憑性に欠け、参考にならないな。

田舎からスタンフォード大学に合格した私が身につけた 夢をつかむ力
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自分の努力と被害感情だけ

松本さんは無意識にしても自分をプロデュースするために、公表する事実と無かったことにする事実を使い分け、何もかも自分で切り開いてきたように印象操作し、幻想の中で生きている気さえした。何事も自分の感じ方次第だが、松本さんの場合、周囲の働きかけをあまり感じることができず、自分の努力と被害感情だけ、ことさら強く感じるのか。

そもそも彼女の学習環境が一般的ではなかったので、学習方法も再現性を含めて参考にならない。本書では触れていなかったが、高価な海外語学研修に数回行っていたり、塾の先生に勧められて、早速MITまで見学旅行にいくなど、一般家庭では難しいだろう。合格率を上げるために、大学にはわざと奨学金を申請せず、親の了承の下、最低1千万円以上の財政証明書、あるいは借用書を発行してもらって出願している。これも、一般家庭ではなかなかできないと思う。

味方なし、お金なし、英語力なしで、どうやってボストンへ即行、飛べたんだろう。その結果、目や耳で実感した興奮は、誰だって忘れがたく、努力しなくてもモチベーションをしっかり維持できるだろう。

空腹と葛藤したこともなく、小学校からエスカレーター式の私立でくすぶりながら、中学高校と受験にエネルギーを使わず温存して機が熟し、大きく海外受験に出ることができた。

それにしても、つくづく3つの逆境なんて、よくキャッチフレーズにしたもんだ。おまけに彼女のセルフブランディング色でテカテカと囲みまで入れて。事実はどこか遠くに追いやったのか。良心が痛まないのかな。味方なし、お金なし、英語力なし、は違うだろう。どういう事かは後で、もう少し詳しく検証したい。

味方なし?

そもそもアメリカの大学、殊にMITを紹介し勧めてくれたのは、中学3年の時から通った医学部受験生御用達の国語専門塾の先生だし(もともとお父さんと同じ東大理Ⅲ志望だったが、この先生のアドバイスで路線変更したようだし)、勧められるとすぐにMITまで見学に行ってるし!かのボストン・現地を散策すれば、いやでもモチベーションがアゲアゲになるはず。

結局お父さんも高校3年時には後押ししてくれる形になったし(お父さんが、2009年からスタンフォード大学教員の招聘を毎年行うスタンフォード・ジャパンプログラムに尽力されているそうなので、間接的にしてもやはりプラスの影響を受けたのではないか)、学校の先生も20校( ! )あてに推薦書を書いてくれた。松本さんがどこかのインタビュー記事で、『通信簿の成績は比較的甘くつけてくれていたように思うので、それが米国の大学受験にはよかったのかも。』とコメントされている。20校も受験したなら、忙しい先生たちは彼女のために、慣れない海外への事務作業にどれだけ翻弄され、時間を割いてくれたんだろう。

大学ごとに推薦状と、経年にわたる成績証明書を解説付きで全て英文で用意しなければならない。
海外大学進学者が多い学校では、膨大な作業負担を減らすために出願数に上限が設けられている。
知る限り、多くても10校だ。
にもかかわらず、自分の気が済むまで20校も受けさせてもらえた環境への感謝の念を、
松本さんから聞いたことがない。

アイビーリーグに通う女子大生主導の下、海外受験塾に長年通った経験のある人のノウハウが満載の
進学大学支援プロジェクト、アトリエバジも密にメンタリングしてくれた訳だし。

でも思春期の女の子にとって、何より大きな精神的な支え、味方は親ではなく、彼氏だろう。
松本さんの彼は、バリバリの帰国子で開成・灘という学歴を持ち、
最終的に松本さんと同じ大学、奨学財団に合格している。
これ以上強い同志、味方はいるだろうか。

この点も、一般的な高校生には、そうそう同じ有名大学を目指す破格のエリートな
交際相手が居るとは考えにくいので、『逆境』克服の参考にならないだろう。

<< お金なし? >>

他のレビューにあったように、経済面でもゼロスタートとは程遠く、参考にならない。
まず、前述のように、塾の先生からMIT受験を勧められるやいなや、すぐMITに見学に飛んでいる。
実際にキャンパスを見学すれば、そりゃあモチベーションはイヤでも上がるだろう。
平均的な家庭では、思い立ったからといってすぐボストン行きの往復航空券と滞在費をポンと出せないし、
出してあげないだろう。
そのくだりは、松本さんの口からは聞いたことがない。
松本さんによれば、ネットで調べただけで突然モチベーションに火がついたということか。
後輩たちのためにも、MITのキャンパスで興奮したこと、ボストンの印象など書いてくれれば
すごくイメージしやすくて、コロナで大変な今、松本さんの巧みな言葉使いで
想像力を働かせることができただろうに。

また、結構な財産を証明しないと、彼女のように大学に奨学金申請をせずに受験できない。
どういうことかというと、彼女のように合格率が下がるのを恐れて
大学に奨学金を依頼しない場合、財政証明書を必ず提出しなければ受験できない。
最低でも1年間の学費、寮費、滞在費を賄える額、普通は2年分が望ましい。
つまり、スタンフォードの場合1千万円の財政証明が必要になる。
持ち合わせていない場合は、借入れ先の証明が必要になる。
いずれにせよ、未成年の松本さんの一存ではできない。
本当にお金がない受験者は、合格率が大幅に下がっても、
大学に直接奨学金を申し込んで受験せざるをえない。
本当に不遇な環境からの受験者は、こうした奨学金申請書類を、大学へたくさん作成し提出するのだ。
ところで、国内奨学金応募の際も家庭の年収証明書が必要なので、親が協力してくれたはずだ。

松本さんと違って家庭の財力が本当になく、どうしても親の協力を得ることができない生徒は、
最初から大学に直接奨学金を申し込み、負け戦に臨むしかない。
出願時に結果が出ている給付型奨学金はほとんど無いからだ。

ご自慢の絵画展も、自己負担で数万円かけて展示。東京までの往復を考えるとすごい。
高校1年生の時に参加しているOxford International Program でも、
航空券を除いても最低数十万円はかかってるが言及していない。
中学3年次には学校行事としてオーストラリア語学研修にも行ってるが、
これについても一切触れられていない。

それにしても地方の教育格差を声高にする松本さん、徳島には医学部受験生御用達の国語専門塾が
あるなんて、すごく恵まれている!国語だけを専門に教えてくれる名門塾に通わせてもらえて、
その先生から米国大学進学アドバイスまでもらえてラッキーだな。ゼロからの出発じゃないよね。

で、その塾代は親が出してくれたんだよね。どうして何もない所から這い上がって来たと言えるのか
理解に苦しむ。私が知る地方は、遠くまで行ってやっと進学実績もショボい宿題お助け塾みたいなのが
1つあるくらいだが。

<< 英語力なし? >>

英語力ゼロと宣う根拠が見えない。
オーストラリア語学研修やイギリスの研修プログラムに行っても英語が全く喋れず、
MITへは全然喋れない状態なのに、親は多額の費用を払って見学に行かせてくれたとは信じがたい。
まさか現地でお父さんの知り合いのガイドさんでも雇ってもらったとか?

公立小学校は近年ようやく高学年から英語教育が始まったが、
松本さんが通った文理小学校は、開校以来1年生から毎週あるし、
前述のように中学3年時には、オーストラリア語学研修がある。
いくら不熱心だったとしても、片鱗でも恩恵はあったはず。

上記のような矛盾点を払拭してくれる内容を期待していただけに残念だ。
ただ、長文には弱くても、SNSのようなショートメッセージで、世の不満を代弁するような物言いが上手だ。本音の吐き出し方を心得ていて、読むとカタルシスになるので、彼女のメッセージは
本よりそちらでチェックした方が安上がりでいい。
絶大なフォロー数を誇る謎がそこにある。アケスケな言い方に嫌悪感を覚えるかもしれないが。
本書内では唯一ショートエッセーが秀逸だ。スタンフォードが好む、常識にとらわれない、自分を絶対的主人公にしたエッセーに仕上げているからだ。

米国大入試は、エッセーの内容を始め、経歴、家族情報などなど、言ったもん勝ちなので、
真偽は確かめようがないところもあり、共通試験で評価される日本の一般入試と比べて、
自己演出、自己表現力にかかっている。
ある意味不公平かもしれない。そういう点を主に海外大学受験塾で習うが、
松本さんの場合、国語専門塾に通っていたこともあり、自己陶酔できる気性もあり、
演出力はピカイチなので、エッセー添削など必要なかったと思う。

地方出身で不自由な環境から這い上がり、できる限りの挑戦をし、地元を愛しながら、
世界に羽ばたきたい、みたいなストーリーをブレずに構築し、エッセーや推薦状に反映させたはずだ。
その辺りは、しっかりアトリエ・バジでも叩き込まれたはずだ。

海外大学受験は、決して彼女が言うように、本当に『中身で戦う』のではなく、
そのままの中身でなく、いかに演出できるかにかかっている。

日本人は留学生の中でもマイノリティーなので、留学生が多い中国、インド、韓国、カナダ出身の
外国人学生と比べて審査に有利であるし、松本さんのように日本人の中で地方色・不遇環境を
猛烈にアピールする候補者も稀なので、それも審査官の胸を大いに打ったはずだ。

去年の米国大学入試はコロナ禍に配慮し、SATの提出が任意となり、一層エッセーと経歴アピール1本勝負となった。こうなれば松本さんの最も得意分野での勝負となる。

スタンフォード教育政策研究所が去年4月に発表した分析結果では、
エッセーの得点高と家庭の裕福度は相関関係にあるので、経済的機会の平等を考慮するなら、
今後エッセー審査にウェイトを置き過ぎないように警鐘を鳴らしていた。
そうなる前に受験できたのも運が良かったようだ。。

<< 情報格差? >>

海外名門大学へ進学するには、
東京で海外大学進学実績のある高校+海外大学受験塾に通う人だけがトップ校に合格するわけじゃない。
そういう人たちが持つ、地方にない苦しみや葛藤には思いを馳せないのか。

多様性という観点から米国大学は、通常、同じ高校から何人も取らない。
しかし、アイビーリーグには毎年同じ高校、塾から何十人も受験する。
それって逆に精神的に辛いと思う。不合格の時も含めて。
かえって、地方だと自分ひとり、場合によっては松本さんのように初めてという意気込みもあるし、
入学審査時には地方出身というラベルこそ有利だ。
同じくらいのクオリティの日本人受験者なら、絶対地方出身が選ばれるはずだ。
また、地方高校の方がむしろ高めの評定平均も取りやすい傾向すらある。

ノウハウを自分で調べる時間が惜しいと嘆くなら、最初から海外有名大学は目指すべきでない。
先生や親を説得することから始めるのは当たり前とすら思う。
友人同士で直に交換する情報は、ネット上で掲載されているものと殆ど変わりないし、
むしろ迷走してしまうだろう。昔から(ネットが無い祖父母、父母の代から?)、海外でなくとも、どこの学校も地方では、家族の了解を得られない前例のない進路選択はあった。

松本さんは自身が『情報の絶対的貧困層』にあるって言うけど、手紙一枚届くのに何ヶ月もかかる密林に住んでるのかな。それとも学校にも通えず、住所不定でホームレス状態だったとでもいうのか。
絶対的の意味を理解してるのかな。あり得ないほど恵まれている人が全く自覚なく、さらに上とばかり比べているのでは。

<< バラ色のシリコンバレー? >>

それにしても、戦争じゃあるまいし、強行突破よりもう少し周りへの感謝(目に見えて応援してくれる人にだけでなく)と思いやりを持っていただきたい。
スタンフォードは特権区だが、立地するのが全米で最もホームレスの多い地域であるだけに
キラキラ感だけで、闇の部分は紹介しない点も気になった。

米国教育省の経年統計(警察に届け出があった件数。裁判件数ではない)では、アイビーリーグを始め、トップ大学の中でもスタンフォードは昔からキャンパス(寮内)レイプ・準強姦が群を抜いて多いのは別の側面だ。また、キャンパス内の自転車窃盗も有名なので、モラルの欠如に悲しくもなる。全て彼女の口にかかれば、
あっけらかんと覆い隠され、バラ色の日々が宣伝されるばかり。
その点のみ、これからの留学を目指す人たちに過度な幻想を与えないでほしい。

ちなみにスタンフォードの寮はトップ大学の中でも驚くほど狭い。
例えるなら6畳一間に2段ベッドが2つと小さめの勉強机が2つ。
松本さんは確か運動選手たちばかりと3人、4人部屋だったっけ。
閉所恐怖症の人には難しいかも。

松本さんはTwitterで、進学先大学のステータスが上がるような記事ばかり掲載しているように見える。
そこからは、学生が毎日取り組む典型的な様子は見えてこない。
なんだか、観光客やメディアの取材目線のようだ。

<< みんな家族で悩んでいる >>

この本はそもそも、松本さんが全てを出し切って世のために出す、と聞いたので大いに期待してしまった。
プライベートは出さなくても良いが、米国大学の共通出願用メインエッセーは、
どこかの記事で、さわりの箇所だけ公開されていて、
家族の再生をバックグランドに、父と同じ科学を志向するまでがテーマに見えた。

共通出願用メインエッセーは、全大学に向けた最も長いメインエッセーとなるので、
自分について一番知ってほしい、アピールしたいポイントを書く。
松本さんの場合、それが家族と科学の関わりだったようなのに、この本についてはそうした葛藤・克服について少しも触れていないので、18歳まで曲がりなりにも養い守ってもらい、
(親にとっても発達障害で癇癪持ちの子どもを育てる大変さもさぞかしだろう)、
小学校からエスカレーター式に高校まで私立に通わせてもらい、傷つけ合い、生きてきた軌跡が全く見えない。
家族を公に中傷するだけで、感謝の気持ちは聞いたことがない。

メイン読者の思春期の学生や保護者、教育者にとって、家庭のイザコザは、
プライバシーに配慮しつつ勉強法以上に最も知見を共有すべき問題だと思う。
語るのは松本さんが痛くない程度、多数の目に留まるエッセーに出せた程度で構わない。
SNSでは家族について一切触れません、と公言しながら、
彼女を有名にした海外大学受験にはメインのアピールポイント・メッセージとして提出したなら、
なおさら彼女の勝因が不明なままで、後に続く人たちの参考にならない。
大学共通テストはスタンフォードの中では最下位グループであったので、コネ以外ではエッセーが絶対的な勝負所になったに違いない。

毒親として世間に向けて親を非難するだけなでなく、解決できなくても、どう折り合って財政証明書を発行してもらうなど、割り切って利用するに至ったか触れてほしかった。
夫婦別姓を強く支持し、旧姓を持ち続けたいと主張する松本さんなら、
ざわつきながらも家族との絆を心の底では大事にしていそうだ。
それだけに家族との付き合い方を提言してほしかった。

<< 発達障害で、天才で、クリエイティブだから? >>

ところで、松本さんが自身の独創性をよく引き合いに
折に触れてが語るエピソード(この本でも紹介されている)として、
「小学校で起立と言われ、皆は机の横に立ったが、わたしは机の上に立った。」と自慢げに語り、
先生は自分のユニークな発想を評価せず、ただ注意しかしなかった、と批判している。
なぜ先生の気持ちや立場を考えないんだろうか。
先生は、あなたや周りの安全に配慮したんだよ、あなたの創造性を潰そうとした訳ではない
と思うんだけどなあ。この件に関しては、世界中教師なら同じように、まず注意するだろう。
怒ったのでなく、危ないから注意した、となぜ松本さんは受け止めないのか。

海洋プラスティックプロジェクトの立ち上げに関しては、超エリートの『友だち』たちが立ち上げた経緯は
よく紹介されているが、松本さんがどういった役割を担ったか分からない。
海外大学審査官も連名になっていれば彼女の説明を信じるしか確認のしようがないだろう。
やはりどう表現するかよく知っていると思う。

メンサ会員であることや本人のメディアパフォーマンスから、松本さんを天才と呼ぶ人が多いが、
様々な天才と呼ばれる人たちを見た中で同類には見えない。

私自身、親に連れられ検査を受けてメンサ会員にされたが謙遜でもなんでもなく、決して天才ではない。
人口の上位2%に入ればメンサになるので、どの地域、学校、職場でも統計学上の真値ではなくても、
ごく大雑把に言えば100人に2人は天才になってしまう?
進学校なら、なお有意な対象は増えるだろう。
ほとんどの人がメンサのテストすら受けないので、もっと多くの人が普通にテストを受けるようになれば、
会員数は劇的に増えるはずだ。そうすれば特殊性、天才の定義も見直されるだろう。

米国の大学共通試験SATが、IQテスト代わりに参考にされることも多いが、
海外トップ大学になれば受験者自体のスコアが、大学受験を目指す人口の中で1%に入っている。
英語経験がほとんどない日本人でも準備開始が高3であっても、その中に入れる人も毎年結構居る。
でも、松本さんは本著で書かれている通り、数回受験してやっとギリギリで上位5%くらいだったようだ。
そもそも、いわゆる天才ならリクルート財団奨学金や孫正義育英財団生になっていた確率が高いと思う。

<< 前例を作る? >>

松本さんが知らないだけで、地方から海外名門大学へ毎年合格者がいる。
裕福でない家庭や超進学校でもなく、周囲が猛反対しているケースも含めて。

現に彼女の一つ上に、熊本の地方高校から同じくスタンフォード大学の工学部とソウル大学に合格している、写真通り(それ以上に実際可愛らしく心の優しい)おっとりした天然美人がいる。
彼女の家庭では経済的に留学させることができないので、ごく少数精鋭のリクルート財団に合格している。
彼女も医学部進学を願う親を説得するのにとても苦労したそうだ。

松本さんは、茨城県からハーバードに合格した松野君とタックを組んで、
地方の星としてメディアインタビュー受けていたが、松野君は、松本さんと同じメンタリングサービスに加え、超高額な海外受験コンサルティングサービスを受けていた。
彼は、なんとWikiにも載っているが、掲載内容が同等の青年は世界中たくさん存在しつつも誰もWikiには載っていない。これにも深い闇を感じた。

二人とも地方を切り口に、(実は毎年”前例”は存在するのだが、かつて誰も二人ほど自己顕示欲に溢れていなかったようだ。)ヒーロー・ヒロインに仕立てたい、閉塞感を破りたいメディアに乗っかった模様。

<< 誰も取り残さない社会を? >>

松本さんは自分については、事あるごとに「小さなことでも声をあげたい」と、
キャッチーなアピールをしているけど、お母さんの声は取り合わず無視する。
自分にアンチな人には耳を閉ざす、とは、なんだかいただけないなぁ。

身近な友人や似た価値観をもつ国際的な意識高い系の集団だけに固執し、
ある種、閉鎖的な空間の中で空虚な承認ゲームが展開されているようにも見える。
承認欲の充足で前に進んでいるのかな。

世の中、進路を反対され勘当されることだって珍しくないのに、自分は親や先生に押さえつけられ、
思うように生きられなかったとマスメディアまで使って訴えるのは執念か。
で、家出したときに、施設は選ばなかったのはなぜ?
違う文化・価値観、世代、境遇、生き方でも、差異を認め合いたいと思うんだが。

そういえば、あれだけ宣伝していた障害者のための触覚デバイス開発はどうなったんだろう。
現時点での研究成果を半ばでも良いので本書で報告してくれているとばかり思っていた。

朝日新聞への執拗な批判も、周囲を巻き込んでベテラン記者を社会的に吊るし上げる結果になってしまった。どんな微細な件も記事にする以上、記者として確証をとる原理を怠ったとはいえ、
海外受験不用品譲渡サイトと銘打って、実質フリマなら1回で取引が完結するであろう使用済み参考書が
数点だけ(更新なし)のサイトを立ち上げたのが、自分でなく友人になっているとして、
あとで訂正と謝罪文を掲載させたが、以降も松本さんが立ち上げたと知らしめる記事を掲載しなかった、と執拗に怒り狂うものなのか。

正直なところ、引き続き掲載、いや記事にするするほど画期的なサイトにはどうしても見えなかった。
結局一人か二人に譲渡するだけで継続性もなく終わる内容だからだ。
彼女については知るほど、どうも印象と事実が乖離してしまう。

超長いレビューの最後になるが、この本はあくまで受験対策本として読んだほうが良い。
書店でも受験勉強法の棚にあったように、あくまで勝ち負けを目指せる立場に居る人限定に感じた。

本書の前半は得意分野でトップを目指した方法を熱く語り、全体としてもいかに得意分野で勝負するか、
好きなことを相性の良い場所で楽しくやろう、とごく基本的なことを語っているが、
障害者や絶対的貧困者など、自分からはなかなかそういった心持ちになれない、声すらあげられない、声をあげても挑戦できる環境にない人はどうなんだろう。そうした人は世界中にごまんといる。
救われない気持ちだけが残った読後感だった。

松本さんは『モノサシを変えれば、』と言うが、モノサシには目盛りがある。目盛りは比べるためにある。
本から滲みでるほど感じたことは、どこかで優位に立つ、勝つことに彼女自身がかなりこだわっているように見えたことだ。彼女が誇らしげにスタンフォードを看板にしていることも、世間一般のモノサシに囚われているようだ。
また、そうでなければ、切に願っていたわけでもないハーバードに落ちた時にあれほど怒り狂わないだろう。世界には数あまた優れた高等教育機関がある中で、松本さんも結局、世間のモノサシに照合しながら選んだのではないか。18歳、19歳なら皆そんなものだろうが。
松本さんは、『誰も取り残さない社会を』と公言しているだけに大変残念だ。

<< 早く社会貢献を! >>

厳しい批評になったが、 それでも松本さんの底力に期待したい。
Twitterで有名になったからこそ、その影響力を学生の留学支援だけでなく
高齢者や障害者など社会の第一線で戦力になりにくい人たちが希望を見出せるよう、発揮してほしい。

実績を売り物に海外留学希望者を増やす、限られた層への狭い貢献でなく、もっと広い層を対象に力を発揮してほしい。
せっかく貧富の差が激しくボランティアが盛んな土地に留学してるなら、身近な所から奉仕活動もして広めてほしいし、(そういった話題こそ聞きたいし、)日本でもどんどん社会貢献してほしい。
米国の名門私立大学の問題は、どれだけ地域活動を促進しても、地域社会から非常に閉ざされた城塞になリがちだ。頭脳だけでなく生活水準も全人口のトップが集まりやすいので、それに惑わされずしっかり現実の社会と向き合ってほしい。
公言していた触覚デバイスの研究成果も期待したい。

日本の同世代で、家に元々お風呂もない、銭湯代も出せずシャワーもなかなか浴びれない、電気・ガス・水道止められた、ご飯もしっかり食べれない、介護がある、高校の学費もアルバイトしなければ通えない子達も多くいることも忘れないで。

米国本土でも経済的な理由で名門大学に合格しても通えない人は本当にすごい数です。
(大学から米国民に出す奨学金はギリギリどころか不足するのが普通で、アルバイトを前提としている。)
『経済的な理由で諦めるのはおかしい、』って日本も含めて世界中生きて行くのがやっとの世帯が多いことを分かっていないのかな。

小学校から私立に通い、エレベーター進学して窮屈でくすぶりながら生きてきた松本さん。
憧れだけの大学生活でないのは分かるけど、成績維持は大変なんだよって愚痴っているが、結局自分のため。
しかしながら、ラッキーなことに、スタンフォードは以前から全米でも3本指に入るほど成績評価インフレ校なので、ブラウン大学の次に、どの大学よりも良い成績が取りやすいはず。学生への手厚いサポートもある。

これからは、もっと社会に直接貢献する活動を小さいところからでも始めてほしい。
例えば、本著の印税を一部でも福祉施設に寄付するなど。
自分のためでなく、留学挑戦組のためだけでなく、不特定多数の世の光になる活動ができたら、
その時こそ、懲りずに出版してほしい。
Twitterのフォロワーやメディアに褒めそやされて終わらないで。

<< みんな世の中を良くしたいんだよ >>

これ以上、自分を犠牲者だと哀れみ同情を誘うのはやめるべきだ。
こうして苦言を呈するのも、松本さんと同じように世の中を良くしたいからだ。

ご自身のベクトルに合わないからといって、
『足の引っ張り合い落とし合い僻み合い憎しみ合いササイアティに自ら加わりたい人がどのくらいいるか考えてみて』と一刀両断されるのはどうかと思う。
自分と違う意見を容易にアンチと切り捨てないほうが良いと思う。
精神的に叩かれて成長するものでしょう。力強い松本さんと見込んで、こうして思い切って批判している。

甘い言葉だけ聞きたいなら、ご自身のTwitterでフォロワーさんたちの言葉だけ信じて
存分に浸っていれば良いだろう。
とうとうフォロワーさんたちに向けて『あの、本を読んでくださった方、いいなと思ったらレビューお願いします!素敵な言葉、お待ちしております!』と評価挽回すべく、つぶやいているのも
現実を真摯に受け止められないようで、残念だ。それとも出版元から頼まれたのだろうか。

自分を認めてくれる人たちだけに耳を傾け、自分を認めてくれる場所に安住するのは構わない。
ただ、それでは世界は救えないし、誰も取り残さない社会は作れない。

<< レビューポリシーに反する >>

そもそも絶対的なフォロワー数を持つ人、ソーシャルインフルエンサーの肩書きを持つ人が、
自分のアカウントを使って、良いレビューを頼むのは、商品レビューのポリシーに反するのではないか。
レビューを見るだけでは、一般人には誰が元々フォロワーなのか分からないわけだから。

今のところ同種の本なら、7月まで待てばハーバードが誇る才女、親切お姉さんのアヤさんが
大学受験のガイドブックを出版される。そちらがお勧め。
ハーバードを今年卒業されるアヤさんは面白く、大変信頼できる人だ。
あ、発売されたばかりの「ゆじー式」学習法もお勧め。
誰でも何か得るものがあり、再現性もあり、子供から大人までサクッと読めると思う。

<< 内省と思いやりを >>

まるで抑圧を跳ね飛ばす、救世主ジャンヌ=ダルクのように振る舞い、
ご自身でも怒りをバネにしている、とTwitter等で公言しているが、復讐とばかりに、お母さんの顔に泥を塗るような神経は理解できない。
どんな恨み辛みがっても、あまりに思いやりがない。

彼女がスローガンにする『誰も取り残さない社会』には、自分の親は含めないのか。
離婚して、娘も留学し、娘から虐待者であるとマスコミに流されたお母さんの代弁者はいるのか。
お母さんやお父さんの声は聞かないのか。
お父さんにしても、巷で噂されているにご高齢で超インテリの名誉教授なら、
お母さんと同じく社会的に顔向けできない状態になっているのではないだろうか。

親から養育過程で享受したただならぬ援助は前面に出さず、抑圧された事ばかり引き合いに出す。
自分の名前を冠した努力や功績のみ前面に出し、お金がなければできなかった経験は敢えて出さない。
本書は結局、あまり参考にならない自身の武勇伝に終始している。
周りに敢えて苦言を呈してくれる人は居なかったのか。残念だ。

学参なのにグラビアみたいに、自分に酔っているような写真が幾つも入っているのは、
なぜだろう。ビーチリゾート旅行が当たった気分を演出したかったのだろうか。
名門海外大学合格の達成感にいまだに浸り続けているみたいだ。
ヘラヘラした写真なら、見たい人だけに共有した方が良い。