男の気持ち
2020.12.20
AK男子
テレビドラマで「AK男子」という意葉を知った。「あえて(A)結婚しない(K)男子」だそうだ。なるほど、これは私だ、と思った。
親に言われて毎日、勉強ばかりしていた。登場人物の気持ちは分かるが、同級生の気持ちは分からない。無視されたり、嫌なことをされたりした。全国模試の100位以内に名前が載っても、クラス文集の「かっこいい人」には名前が載らない。バレンタインのチョコだってもらったことがない。
日本で一番と言われる大学に入った。六本木ヒルズにある会社に入った。時間はないけど、お金ならたくさんある。大学名や社名にひかれて寄ってくる女の子はたくさんいるが、彼女たちをどこか見下して粗雑な扱いをしてしまう。付き合ってもいいと思える女の子は、大学のうちにすてきな彼氏を見つけて結婚して、子どもがいることが多い。
こうやって文句ばかり言っているうちに30歳になった。マンションの集合ポストに、大学時代の友人から結婚式の招待状が届いていた。急に寂しくなってラインの「友だち」を全部眺めてみたが、特に通絡したい相手もいない。いや連絡できる相手がいない。もちろん彼女だっていない。冷蔵庫を開けて、成城石井で買った高いビールを飲む。
僕はAK男子だ。あくまでも、自分の意思で、結婚しないと決めているだけ。
東京都 港区
前橋 俊輔
コンサルタント・30歳