マサチューセッツ州空軍州兵 ジャック・テシェイラ Jack Teixeira (21)

米情報管理の「穴」が露呈、21歳の下級兵士が機密情報にアクセス

ウクライナの戦況分析などが含まれていた米国の機密文書が外部に流出した問題で米当局は空軍州兵を逮捕したが、21歳の州兵がどうしてこの10年で最大の米情報漏えいを行うことができたのかについて、バイデン政権は説明に苦労するとみられる。容疑者の職務である「サイバー・トランスポート・システム熟練者」の要件は高校卒業と運転免許のほか、最長1年半の実地研修のみだからだ。

連邦捜査局(FBI)はマサチューセッツ州在住のジャック・テシェイラ容疑者を13日に逮捕。14日に罪状認否が行われる見込みだ。ガーランド司法長官は逮捕理由を「国家の国防機密を許可なく持ち出し、保持、送信した」容疑と説明した。

容疑者の職務は米国防総省ではかなり下級

テシェイラ容疑者の職務は米国防総省ではかなり下級とされており、空軍の職務説明では「通信システムを維持し、成功を続けるのに不可欠な役割を果たす」と規定されている。軍務記録によると、同容疑者は2019年に空軍州兵に入隊した。

こうしたことから、下級の州兵がこれほど慎重を要する情報にアクセスできるなら誰でも入手可能なのではないかという疑問が浮かぶのは当然と言える。

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「言語道断」

デニス・ワイルダー元米国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長は「この種の文書が下部の州兵部隊と共有されるのは言語道断だ」とし、「これは国防総省にとって大問題だ」と述べた。

バイデン大統領は今回の情報漏えいを重視しない姿勢を示しているものの、専門家や元当局者らはウクライナの戦況分析だけでなく、米国が世界でどのように情報を収集しているかも明らかにする重大な暴露だと指摘した。

同盟国の当局者は、米国では情報機関の失態が相次いでおり、機密保持の問題があらためて突き付けられていると述べた。オースティン国防長官は13日、情報漏えいの再発防止のため国防総省の「情報アクセスや責任、管理手順」を再検討するよう命じたと語った。

機密情報漏えいの動機が何であれ、今回の事件で明らかになったのは極めて多くの人が国家機密にアクセスできるという現状だ。米国家防諜(ぼうちょう)安全保障センター(NCSC)によると、2019年10月時点で300万人近くが機密文書へのアクセスが認められていた。この背景には2001年9月11日の米同時多発テロの後、情報をより多くの人に伝えることで新たな攻撃を回避できる可能性があるとして情報共有の拡大に取り組んだことがある。

「正直言って恥ずかしい」

FBIでかつてモスクワと北京で防諜活動に従事したトレンチコート・アドバイザーズ創設者、ホールデン・トリプレット氏は「極めて多くの人が機密情報にアクセスできるという問題を米国が抱えていることは明らかだ」とした上で、「どのような情報をいつ誰に与えるかをコントロールするという点で米国が可能な限りの改善を図ってきたとは思わない」と指摘した。

テシェイラ容疑者はオーティス空軍州兵基地(マサチューセッツ州)の第102情報航空団に属していたとみられている。同航空団のウェブサイトによると、海外での戦闘支援と国土安全保障に向け、経験と訓練を積んだ空軍兵と共に、世界の正確な機密情報および指揮統制を提供するとしている。

米欧州陸軍の司令官を務めたベン・ホッジス氏は「私が覚えている限りでは、毎年、機密資料の扱いについて研修を受けるか、あるいは認定を得ていた」とする一方で、今回の件については「正直言って恥ずかしい」と語った。