日本は国産ロケットの開発が遅れている

技術

 

2025年08月24日 中国政府が密かに打ち上げ続ける人工衛星群「国網(Guowang)」の目的とは?

国網は2021年に設立された企業SatNetが管理し、約1万3000基の衛星からなる巨大ネットワークの構築を目指している人工衛星群です。公開情報が極めて少なく、消費者向けサービス提供の予定も示されていません。

表面的にはSpaceXのStarlinkのような衛星インターネットサービスを想起させますが、実際には軍事利用が念頭に置かれている可能性が高いです。アメリカ側は国網を、中国軍の「キルチェーン」(標的検知から攻撃までを連結する軍事ネットワーク)の一環として捉えています。

具体的には、国網の衛星は通信だけでなく、レーザー通信端末や合成開口レーダー、光学リモートセンシングといった高度なセンサーを搭載している可能性があり、これらが結合されることで、敵の動きをリアルタイムで把握・追跡し、軍事的優位性を確保しようとしていると見られています。

また国網は複数の軌道(低軌道約500~600kmと中高度約1145km)に衛星を配備し、広範囲をカバー。使用するロケットは既存のものより高い高度に衛星を投入できる能力を持っており、衛星一基あたりのカバー範囲も広いため、数を効率的に用いてネットワーク構築を目指しています。

アメリカ宇宙軍やインド太平洋米宇宙軍は、中国が打ち上げペースの拡大や衛星技術の多様化により、アメリカの軍事資産を狙う能力を高めていると警戒しており、これが太平洋地域における軍事的な緊張の一因となっています。

まとめると、

  • 国網は軍事的な監視・通信網のハイブリッドメガコンステレーションである可能性が高い
  • センサーと通信機能を融合し、中国軍の戦術優位性確保を狙う
  • 高高度に衛星を配置することで効率的に広域をカバー
  • アメリカや同盟国の軍事活動をリアルタイムに把握し、攻撃能力も向上させる狙いがある

ということになります。外交・安全保障面で中国の宇宙技術の急速な発展とその軍事的応用が注目されています。

 

 

2025年08月24日 商業衛星打ち上げの多くを海外ロケットに依存している日本

時価総額1兆円超の米ファイアフライ社、北海道からのロケット打ち上げ計画で合意

2025年08月18日、北海道大樹町にある民間ロケット射場「北海道スペースポート」を運営するスペースコタン社が、米国の宇宙企業ファイアフライ・エアロスペースと基本合意を締結した。これにより、ファイアフライ社の小型ロケット「ALPHA」(全長29.5m)を北海道から打ち上げる検討が始まる。

日本国内では商業衛星打ち上げを担う国産ロケットの開発が遅れており、多くを海外ロケットに依存している。そのため国内資金が海外へ流出しており、今回の「黒船」となる海外ロケットの進出は日本の宇宙産業に新たな刺激を与えるとみられる。

ファイアフライ社はテキサス州を拠点とする宇宙・防衛企業で、小型ロケット、月着陸船「ブルーゴースト」、軌道上輸送機といった事業を展開。2025年03月に民間機では2例目となる月面着陸に成功し、評価と時価総額を高めた。今後もNASAの「商業月面ペイロードサービス(CLPS)」契約のもと、月裏側や月南極への輸送計画を予定している。契約総額は最大1090億円規模に達する。

まとめると、時価総額1兆円超の成長企業ファイアフライが日本の北海道に進出し、国内依存度の高いロケット打ち上げ市場に大きなインパクトを与える可能性がある、という内容である。

 

 

北海道が選ばれる理由

地理的優位性

  • 北海道は日本の最北端に位置し、周囲に広い海域がある。
  • 衛星打ち上げに必要な「安全に落下させられる海域」が確保しやすく、人口密集地から比較的離れているためリスクが低い。
  • 特に大樹町の北海道スペースポート(HOSPO)は東側にも太平洋が広がっており、衛星軌道投入に適した発射方向を取りやすい。

国家戦略との整合

  • 日本政府は「宇宙基本計画」で打ち上げ能力の強化を掲げており、北海道を民間に開かれた宇宙拠点として成長させることが国策の一部となっている。
  • 日本独自の商業宇宙港が整備されれば、海外ロケット依存の構造を一部回避できる。

スペースポートの整備進展

  • 大樹町は古くから宇宙推進の拠点として活動しており、インフラや地元の協力体制が整っている。
  • 滑走路、射場、追跡設備が整備されつつあり、海外企業を受け入れる「民間宇宙港」として利用可能になっている。

海外企業にとっての魅力

  • アジア市場へのゲートウェイとしての地理的環境。
  • 日本が持つ技術者ネットワークや精密部品供給網と接続できる利点。
  • 安定した法制度と米国との安全保障・技術協力の親和性の高さ。

まとめると、北海道は「広い海域による安全性」「政府戦略との一致」「地元の宇宙産業基盤」「アジア市場に近い拠点」という条件が重なり、米ファイアフライにとっても魅力的な発射場となっているのです。

 

 

北海道スペースポート(HOSPO)の将来像

アジアの民間宇宙港の中心を目指す

  • HOSPOは「アジア初の本格的な民間商業宇宙港」として位置づけられている。
  • これまでは打ち上げ市場を米国(スペースX、ファイアフライ、ロケットラボなど)や欧州に依存してきたが、HOSPOはアジア領域における発射拠点のハブとして成長を狙う。

複数のロケット企業を誘致

  • 国内ベンチャー(インターステラテクノロジズなど)に加え、海外の宇宙企業を受け入れる。
  • 今回のファイアフライ社の進出はその象徴であり、将来的に他の米国や欧州の企業が加わる可能性もある。

多様な用途に対応するインフラ整備

  • 小型・中型ロケットの発射場の拡充。
  • 人工衛星打ち上げに加え、宇宙旅行・宇宙観光の拠点としての利用。
  • 追跡管制施設、再使用ロケットに対応できる滑走路の拡大整備など。

地域経済と産業クラスターの形成

  • 大樹町周辺を中心に、航空宇宙関連産業の集積を進める。
  • 部品供給・整備・観光まで含めた新しい産業構造を築くことで、北海道経済の新たな柱に育てる狙い。

国際協力の拠点へ

  • NASAとのCLPS関連事業に関わるロケットの拠点としての利用。
  • アジア諸国からの衛星打ち上げサービスの受け入れ。
  • 将来的には国際宇宙拠点として、日本における「宇宙港の国際競争力」を担う存在になる見込み。

まとめると、HOSPOは単なる打ち上げ場ではなく、アジアにおける商業宇宙の拠点・国際的な宇宙産業クラスターを目指しており、今回のファイアフライ進出はその方向性を大きく後押しする動きといえる。

 

 

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