真因はプラボウォ政権のバラマキ政策と対立したこと
2025年09月18日 崩壊へ突き進む?インドネシアが「経済安定の要」失う…スリ・ムルヤニ財務相更迭は大惨事を招くか
- この記事は、インドネシアのスリ・ムルヤニ財務相更迭が市場と政情に大きな衝撃を与え、同国経済の安定性が揺らいでいる現状を分析している。
スリ・ムルヤニ氏とは
- インドネシアを代表するテクノクラートで、2005年のユドヨノ政権から複数政権で財務相を務めた。
- IMF理事や世界銀行専務理事も歴任し、国際的にも評価が高い。
- 財政規律の徹底と透明性を重んじ、市場からの信頼を獲得。コロナ禍でも柔軟な政策運営でルピアと経済を安定させた。
更迭の背景
- 直接の理由はデモ拡大による「責任転嫁」とされるが、真因はプラボウォ政権のバラマキ政策と対立したこと。
- プラボウォ政権は無償学校給食(国家予算の約10%相当)や補助金拡大を打ち出し、スリは財政規律重視の姿勢でこれにストップをかけていた。
- 結果的に政権に「邪魔な存在」と見なされ、退場させられた。
市場・経済への影響
- 更迭直後にルピアは急落、株式市場は下落し、中銀が介入を余儀なくされた。
- 新任のプルバヤ財務相は赤字上限維持を表明したが、市場不安は収まっていない。
今後懸念されるのは以下の点:
- 赤字拡大が続き国債発行依存 → 資本流出リスク
- 中銀の独立性低下 → ルピアの信認喪失
- 通貨安進行による物価・金利高騰 → 政権支持率低下と政情不安
中長期の展望
- インドネシアは人口ボーナス期にあり、内需拡大や鉱物資源、ASEANの中心という強みをもつ。
- しかし、それを生かす条件は財政健全化と通貨の安定。
- 「経済安定の要」を失ったいま、体力のある経済基盤を維持できるかは財政政策の舵取り次第とされる。
このため記事は、スリ・ムルヤニ更迭を「単なる人事」ではなく、インドネシアが負のサイクルに陥る可能性をはらむ重大な転換点だと位置づけている。
50万ルピア、首都の最低賃金の約10倍
2025年08月31日 インドネシア抗議デモ、主要都市で激化-少なくとも3人死亡
インドネシアで2025年8月下旬に発生した政情不安により、プラボウォ大統領が予定していた中国への公式訪問を中止しました。
- 抗議活動の背景
最近の抗議は、議員への住宅手当の大幅な増額(50万ルピア、首都の最低賃金の約10倍)が提案されたこと、そして生活費の高騰や税制変更などが重なったことが引き金となりました。議員側の不適切な発言や物価高、雇用情勢の悪化が国民の怒りを招いています。 - 抗議と暴動の展開
抗議は首都ジャカルタや地方都市に広がり、学生、労働者、バイクタクシー運転手などが参加。特にマカッサルでは州議会庁舎が放火され、3人が死亡、5人が重傷を負いました。バンドンでも議会庁舎が放火されたものの、死傷者は出ませんでした。各地で警官隊が催涙ガスや放水銃を使用しました。 - 大統領の対応
暴動が激化し、警察車両による配達員の死亡事故も発生しているため、プラボウォ大統領は混乱の鎮静と状況の監督を優先し、中国での国際サミット参加を見送る決断をしました。 - 市民生活への影響
公共交通機関の運休、企業の在宅勤務指示、主要道路の封鎖など、日常生活にも大きな影響が及んでいます。
この一連の抗議は、プラボウォ政権にとって厳しい試練となっており、政府は事態の収拾と国民の不満解消に向けて対応を迫られています。
プラボウォ、経済成長の促進、汚職撲滅、社会福祉の拡充
インドネシアの政治家であり軍人のプラボウォ・スビアントのことを指します。彼は2024年10月に第8代インドネシア大統領に就任しました。過去には軍の特殊部隊司令官を務め、スハルト政権末期に反政府活動家の拉致や監禁問題で軍籍を剥奪された経歴がありますが、その後政治に復帰し、複数回の大統領選に挑戦して4度目で当選しました。
プラボウォ政権の特徴は、大規模な超党派連立政権で、多数の政党を巻き込み閣僚数が増加し、軍人の存在感も強い点にあります。また、経済成長の促進、汚職撲滅、社会福祉の拡充などを政策として掲げています。副大統領には前大統領ジョコ・ウィドドの長男が就任し、ジョコ・ウィドド政権の政策継続も訴えています。
さらに、プラボウォは汚職撲滅を最優先課題に掲げ、内閣改造も行っているなど、政権運営の安定化と改革を進めています。
総じて、プラボウォはインドネシアの新たな政治の中心人物であり、その政権は軍の影響力を背景に安定した大連立政権を築き、国の経済成長や社会政策に注力している状況です。
スリ・ムルヤニ・インドラワティ氏はインドネシアの著名な財務大臣で、複数の大統領に仕え、長期にわたり財政運営を担ったテクノクラートです。米国で経済学の博士号を取得し、世界銀行の専務理事も務めました。彼女は財政規律を重視し、税制改革やマクロ経済安定の推進、新型コロナ禍や世界的な金融危機の対応などで高く評価されてきました。
しかし、2025年9月に国内で政府批判のデモが拡大し、その背景には国会議員の高額手当問題などもありました。この状況下でプラボウォ・スビアント大統領は内閣改造を行い、スリ・ムルヤニ財務相を解任しました。解任の背景には、彼女が分かりやすい批判の標的となり「生け贄」にされたとも見られています。市場ではこの解任を受けて不透明感や財政管理への懸念が広がりました。後任にはエコノミスト出身のプルバヤ・ユディ・サデワ氏が就任しています。
まとめると、スリ・ムルヤニ氏はインドネシアの経済安定に貢献した重鎮である一方、政治状況の変化で2025年に解任され、市場や政治に影響を与えました。
プラボウォ大統領はスリ・ムルヤニと対立し、関係が悪化
スリ・ムルヤニ財務大臣とプラボウォ・スビアント大統領との関係は複雑です。スリ・ムルヤニ氏は2019年から2024年までジョコ・ウィドド前大統領の内閣で財務相を務め、その後プラボウォ氏が大統領に就任した2024年からも財務相として留任していました。しかし、両者の関係は次第に難しくなり、特にプラボウォ政権では財務省が経済担当調整省から大統領直轄へ移されるなど大統領の財政介入が強化されました。
スリ・ムルヤニ氏は財政保守主義的なアプローチを取り、慎重な財政運営を志向していましたが、一方でプラボウォ大統領は大規模な支出計画を進めており、両者の政策方針には不一致が生じていました。特に、プラボウォ氏の掲げる無料食事プログラムなど大規模社会支出をめぐり、スリ・ムルヤニ氏の立場は困難となりました。
2025年9月の反政府デモ拡大や国家予算を巡る問題でスリ氏が政治的な批判の標的となったこともあり、プラボウォ大統領は内閣改造でスリ・ムルヤニ氏を解任しました。関係筋によると、両者は意思疎通が難しく、ほとんど直接会うこともなかったとされています。スリ氏の解任はプラボウォ大統領の財政運営への関与拡大を示すとの見方もあります。
簡潔に言えば、プラボウォ大統領はスリ・ムルヤニ氏の保守的な財政方針と自身の積極的な財政支出拡大方針との間で対立し、関係が悪化した結果、2025年に解任に至ったということです。
あなたがブラックホールについて知っていることはほぼすべて間違っている

オックスフォード大学の天体物理学者ベッキー・スメサーストによる2025年発刊の書籍です。この本はブラックホールに対する一般的な誤解を解きほぐし、ブラックホールの最新の研究と宇宙の理解をわかりやすく解説しています。
主な内容には、ブラックホールは実は「黒くない」、深い穴というより山のような構造であること、「掃除機のように何でも吸い込むわけではなく、むしろソファのようにあるものを包み込む」こと、事象の地平線の向こう側では未来という時間が空間の方向に広がることなど、従来のイメージを覆す話が多数含まれています。著者はYouTubeチャンネル「Dr.Becky」でも人気の科学コミュニケーターであり、ユーモアを交えながら最新知識を伝えています。
コメント