「おい、上流よこせ」と、言われたかのよう…なんとも不思議な現象「河川の争奪」
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2025年04月29日
川はどうしてできるのか
藤岡換太郎氏の著書『川はどうしてできるのか』では、川の成り立ちや不思議な現象を地形図を使った「地形のミステリーツアー」として解説しています。川は単なる雨水の流れではなく、地球の地殻変動やプレートテクトニクス、気候変動、長い時間の経過が絡み合ってできる複雑な地形現象です。例えば、ヒマラヤ山脈を越える川や砂漠で突然洪水を起こす川、平地より高く流れる川、他の川の流れを奪う川など、普通では考えにくい川の流れの謎を探ります。
また、川の流れは海まで続き、海底にも川の延長が存在し、土砂が海底谷や扇状地に運ばれていくことも説明されています。川の水は海水より軽いため海面上に流れますが、土砂は川の流路を通じて海底まで運ばれ、地球の大きな循環の一部となっています。
本書は「山はどうしてできるのか」「海はどうしてできたのか」と合わせた「地球に強くなる三部作」の完結編で、川の成り立ちを科学的かつ推理小説のように楽しめる内容となっています。
海はどうしてできたのか
藤岡換太郎氏の『海はどうしてできたのか』によると、海の誕生は地球誕生から約46億年の壮大な進化の過程の中で起こりました。初期の地球は「マグマオーシャン」と呼ばれる溶けた岩石の海に覆われており、非常に高温で不安定な状態でした。やがて地球の表面温度が下がり、大気中の水蒸気が凝結して激しい雨となり、これが地表にたまって原始の海が形成されました。
この原初の海は現在の海とは異なり、猛毒物質や酸性の成分を含み、生命にとっては過酷な環境でした。海水は火山活動や地球内部からの物質の影響で塩分や鉱物を取り込みながら徐々に変化し、現在のような「母なる海」へと進化していきました。
また、海の成り立ちは地球の内部構造の完成や大気の形成とも密接に関連し、隕石の衝突や地球の重力による物質の再配列など、数々の大事件を経て現在の海が誕生したと説明されています。
さらに本書は、海の進化史だけでなく、将来海が消える可能性や地球の環境変動についても考察しており、海が地球生命の基盤であるとともに、変動し続ける存在であることを示しています。
このように、『海はどうしてできたのか』は、地球の誕生から現在までの海の形成と進化を科学的に解き明かす一冊です。
山はどうしてできるのか
藤岡換太郎氏の著書『山はどうしてできるのか』によると、山ができる理由は古来から地質学者の大きな論争のテーマであり、山の成因には地球科学の重要なエッセンスが詰まっています。
本書では、山がいつ、どのようにしてできたのかを多角的に解説しており、主なポイントは以下の通りです。
- 山は地球のプレート運動による断層運動や大陸の衝突、付加体の形成などの地殻変動でできる。これにより地面が押し上げられ、山脈が形成される。
- 火山活動も山の形成に関わり、溶岩の積み重ねによって火山山体ができる。
- 花崗岩や蛇紋岩、石灰岩などの岩石の種類によっても山の成り立ちや特徴が異なる。
- 山は生成と消滅を繰り返す壮大な自然の営みの中で存在している。
- 例えば、ヒマラヤ山脈に海の生物の化石が見つかるなど、山の成り立ちには地球の歴史が刻まれている。
- 山の高さや形は地球の内部の力やプレートの動き、地質学的な過程によって決まる。
この本を読むと、普段何気なく見ている山の成り立ちが科学的に理解でき、地球のダイナミックな動きを感じ取れるようになります。山は単なる「そこにあるもの」ではなく、地球の歴史と活動の証しであることがわかります。