中国共産党との直接的な関係は確認されていない
中国の「Cryptoqueen」こと錢志敏（Qian Zhimin）は、2014年から2017年にかけて中国で行われた巨大なビットコインを使ったポンジスキームを主導し、約12万8千人以上の投資家から約50億ポンド（約660億ドル）相当の資金を詐取しました。彼女は、自身の会社「藍天格瑞（Lantian Gerui）」を通じて、暗号通貨のマイニングや技術投資で大きな利益を約束し、多くの年配者を含む投資家を騙しました。実際にはポンジスキームであり、新しい投資金を以前の投資家への配当に充てていました。中国当局の調査が始まると英国に逃亡し、豪華な生活を送りながら偽の身分で英国に滞在しましたが、2024年に逮捕され、61000ビットコイン（英国史上最大の仮想通貨押収）を差し押さえられました。彼女はマネーロンダリングの罪で認められ、イギリスの裁判所で11年8か月の実刑を受けました。
中国共産党との関連については、直接的な情報や証拠は報道されておらず、公的には彼女の事件は個人の詐欺事件として扱われています。彼女の詐欺は中国国内の高齢者を多く巻き込み、ナショナリズムや金融の安全を装った点も特徴ですが、共産党体制や当局との関係は明示されていません。彼女は中国政府の調査逃れのためにイギリスに逃亡した一方で、中国共産党の取り締まりや規制強化の背景も注目されています。しかし、彼女が党組織と共謀していたとの具体的証拠は公開されていません。
総じて、錢志敏は中国における大規模な仮想通貨詐欺の主犯であり、英国での豪勢な逃亡生活と大規模押収事件が注目されていますが、中国共産党との直接的な関係は確認されていません。
2025年11月13日 中国籍「暗号資産の女王」に禁錮11年超 逃亡先の英で豪邸住まい、押収額は「世界最大規模」
銭志敏（47）は2014年から2017年にかけて、中国で「藍天格瑞（ブルースカイ・グリート）」という会社を設立し、高齢者などから「暗号資産採掘で高配当を得る」と虚偽の投資を募り、総額400億元（約8700億円）を集めた。詐欺の仕組みは、後続投資家の資金を先行投資家への配当に充てる典型的なポンジ・スキームだった。
2017年に中国当局が捜査を開始すると、銭は偽造パスポートで英国に逃亡。ロンドン北部ハムステッドの高級住宅地に住み、ビットコイン資産を換金して豪勢な生活を送っていた。ビットコイン価格の上昇で「寝ながら金持ちになる」生活を実現していたという。
英国での逮捕と押収
- 銭は豪邸を借りるため秘書を介して資金を不動産などに換金させていたが、秘書（ジャン・ウェン被告）の不審な取引が警察の注意を引き、2021年に家宅捜索を受けた。多数のハードドライブから数万件のビットコインが押収され、英国史上最大規模の暗号資産押収事件となった。
投資詐欺の手口
- 会社は「紹介システム」で新規投資者を勧誘、紹介するごとに報酬が加算される仕組みで全国に拡大した。高齢者向けに「愛国心」や「高齢者を支援する社会的使命」を訴えた詩や演説を用い、毛沢東の義理の息子までイベントに招くなど信頼を演出した。投資家たちは実際の収益だと信じ込み、借金をしてでも追加投資するようになった。
崩壊と逃亡
- 2017年、中国警察の捜査開始後に支払いが止まり、会社は「一時的な確認」と説明、投資家を警察に通報させないよう抑えた。その間に銭は莫大なビットコインを国外に移し逃亡。英国で「国際銀行設立」や「リベルランドの女王になる」などの野心的な計画を練っていた。
裁判と今後
- 2023年に北部ヨークで逮捕され、2024年9月の裁判で暗号資産の違法保有を認めた。2025年11月、ロンドンのサザーク刑事法院で禁錮11年8カ月の実刑判決を受けた。押収された暗号資産は現在も保管中で、今後の民事訴訟で中国人投資家らに返還されるかどうかが決まる。
多くの被害者は破産・離婚・健康被害に苦しみ、なかには病死者も出ている。投資家の一人・ユー氏は詩を通じ、被害者への追悼と「不正を正す努力」を訴えた。
事件はグローバルな暗号資産詐欺の典型例であり、国家をまたぐ資金洗浄の追跡難と法的処理の複雑さを象徴している。
2025年10月12日 「中国のビットコイン女王」が英国で有罪…押収された1兆円超は誰のもの？ 中国は「返還」要求
「中国のビットコイン女王」と呼ばれる中国籍の女性ジーミン・チアン被告（47歳）は、2014年から2017年にかけて最大300%の利回りを約束する投資商品を売り、12万8000人以上から巨額の資金を騙し取り、その資金の一部で6万1000ビットコインを購入した疑いで英国で有罪を認めました。このビットコインの押収額は約1兆1650億円（約76億2500万ドル）という史上最大の暗号資産押収事件となっています。
押収されたビットコインの所有権を巡っては、英国政府と中国政府の間で対立が生じています。中国政府はこの資金を「被害者の資金」として返還を要求している一方、英政府は裁判所の判断により犯罪収益と認定されれば国家の財源として売却も可能であり、これによって英国の財政赤字の一部を補填しようとしている可能性が高いとのことです。英国の法廷では、この資産が「犯罪収益」か「被害資産」かを基に処理が決まる仕組みとなっており、中国国内で被害者が名乗り出ることはリスクが大きいため、英国側が売却して国家財政に組み入れる可能性が大きい状況です。
まとめると、押収された1兆円超のビットコインは中国の被害者の資金とされて返還が要求されているが、英国は刑事裁判所の裁定に基づき、国家の歳入として利用する方向で動いている状況です。
この事件は世界最大級の暗号資産詐欺事件かつ押収事件で、現在も国際的な法的争いが続いています。
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