2025年11月13日 「気候変動が人類滅亡につながらない」ビル・ゲイツが主張を変えた背景…日本は環境ビジネスに力を入れるべきなのか?
ビル・ゲイツの主張転換の背景
- ビル・ゲイツは長年、温室効果ガス排出ゼロの実現を目指し、イノベーションによる気候変動対策を推進してきた。
- しかし2024年10月の「ゲイツ・ノート」で「気候変動は人類滅亡につながらない」と述べ、優先順位を気候変動よりも貧困・疾病対策に置き換えた。
この転換の背景には、
- 脱炭素目標(2050年ネットゼロ)の非現実性
- インフレと資材高騰による再生可能エネルギー事業の停滞
- 生成AIの拡大で急増する電力需要
といった新たな現実がある。
エネルギー情勢の変化とリアリズム
- 新興国の化石燃料利用が減らず、世界の二酸化炭素排出量は再び増加基調。
- 洋上風力発電など再エネ導入コストが高騰し、事業の撤退が相次ぐ。
- データセンター需要拡大で電力消費が急増し、再エネのみでは供給が不十分。
- ゲイツは原子力の比重を重視する戦略(再エネ2/3、原子力1/3)を提唱。
気候変動と人類の関係
- 「気候変動は重要な課題だが、文明社会の終わりではない」とゲイツは述べる。
- 健康と繁栄を高めることが、結果的に気候変動への最大の防御になるという立場。
- 単純な「気温上昇=破局」という構図を否定し、より現実的な優先順位を提案している。
日本への示唆
- 日本は長年「環境ビジネスが成長を生む」と主張してきたが、成果は限定的。
- エネルギー価格高騰と生活苦に直面するなか、限られた資源を脱炭素ではなく経済成長・所得向上政策へ振り向けるべきと筆者は主張。
- ビル・ゲイツの戦略転換を日本も教訓とし、「環境理想主義」よりも「現実的成長戦略」を優先すべきだという結論。
つまり、この記事は「脱炭素の理想を追うよりも、経済と生活の安定を優先する時代に入った」との視点を提示しており、日本が環境ビジネス中心の政策から転換する必要性を論じています。
「中国」という捏造:歴史・民族・領土・領海はいかにして創り上げられたか

中国という近代国家の歴史、民族、領土、領海などがどのように創り上げられたかを詳細に検証した書籍です。この「捏造」という表現は刺激的だが、著者はこうした国家の創出過程は中国だけに特有なものではなく、近代国家が共通して経験する事象として説明しています。
本書の主な内容は、中国の国名や歴史認識、民族構成、言語、領土問題に至るまで、いかにして国家としての中国が「創造」されたのかを考察し、中国的な特徴を浮き彫りにするものです。中国共産党の統治や国家戦略の文脈でこれらの歴史的・民族的・地理的な事実がどのように形成されてきたかを分析しています。著者は英国のチャタム・ハウス(王立国際問題研究所)のアジア太平洋プログラム所属であり、その視点から欧州の国家形成の事例と比較しつつ、中国の特殊性を解説しています。
要点としては、
- 中国国家の歴史や民族、領土は固定的なものではなく、近代になってから政治的・戦略的に「創られた」側面がある。
- この「創作」は中国独自の現象ではなく、他の近代国家も経験しているが、プロセスと内容はそれぞれ違う。
- 中国の領土・領海問題、民族統合政策などが歴史認識の再構築を通じて国家戦略の一環として構築されている点が詳述される。
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