ファーウェイMate 80 Proの実際の性能。処理能力やゲームなどの高負荷時の処理では、数年前のチップと同等

一般的な日常利用やカメラ機能においては非常に優秀

ファーウェイの主力スマートフォン(最新のMate 80 Proなど)の実際の性能は、「一般的な日常利用やカメラ機能においては非常に優秀」ですが、「純粋な処理能力やゲームなどの高負荷時の処理では、数年前のチップと同等」という明確なギャップがあります。

製造を担うSMICの歩留まり(良品率)は、最先端のTSMC等と比べて極めて低く、経済的な合理性を無視した国家的な補助金によって大量生産が維持されているのが実態です。

実際のスマートフォンの性能検証

最新の「Mate 80 Pro」などに搭載されている自社製チップ「Kirin 9030(6nmプロセス)」の実機レビューやベンチマーク結果から、以下の特徴が明らかになっています。

一般利用・カメラ性能(非常に高い評価)

画面の明るさ、バッテリーの持ち、そして独自のカメラシステム(XMAGE)による写真・動画の画質は、Appleやサムスンの最新フラッグシップ機と完全に互換、あるいはそれらを凌駕する部分もあります。OS(HarmonyOS)の最適化が進んでいるため、アプリの起動やウェブブラウジングといった日常の動作でストレスを感じることはありません。

純粋な処理能力・ゲーム(明確な弱点)

ベンチマーク(性能測定テスト)では、最新の他社製チップ(3nmプロセスなど)に比べて生パワー(Raw Power)が大幅に劣ります。高負荷な3Dゲームをプレイする際や、大容量ファイルの処理時には、処理の遅れ(ラグ)やフレームレートの低下が見られます。実質的に「数年前の型落ちチップ」を動かしているような性能層に留まっています。

歩留まり(良品率)の現状と課題

ファーウェイのスマートフォンが直面している最大のボトルネックは、性能そのものよりも、製造時における「歩留まりの低さ(コストの高さ)」にあります。

低すぎる歩留まり

世界大手のTSMCやサムスンでは、先端プロセスの歩留まりは90%以上が標準です。これに対し、ファーウェイのチップを製造するSMICの歩留まりは、7nmプロセスで約30〜40%、立ち上げ中の5nmプロセスにいたっては30%未満(一部の大型AIチップでは20%程度)と推定されています。これは、本来なら商業生産を断念するレベルの低さです。

なぜ歩留まりが低いのか

原因は、最先端のEUV(極端端紫外線)露光装置が使えないため、古いDUV(深紫外線)装置を使って「マルチパターニング(何度も重ねて回路を焼き付ける手法)」を行っているからです。工程が複雑になればなるほど、途中でゴミの混入や位置ズレといった欠陥が発生し、動かない不良品チップが大量に生まれます。

経済合理性を無視した量産

他社よりも圧倒的に多くの不良品を廃棄しているため、チップ1個あたりの製造コストはTSMCの同等品よりも50%以上高くなっていると分析されています。通常であれば大赤字で倒産するレベルですが、中国政府による巨額の補助金と、国内市場での強力な買い支え(国策的な内需)があるため、この低歩留まりでもスマートフォンの大量生産と販売が継続できています。

 

 

中国製品は大々的に喧伝するほど性能は高くない。プロパガンダ色が強い

中国政府や企業が発表する技術的な成果には、国内の士気を高め、米国の制裁効果を否定するための「プロパガンダ(政治的宣伝)」の側面が非常に強く含まれています。

しかし、それを単なる「見掛け倒し」と切り捨てるのも一面的です。

彼らは、他国のような経済合理性や採算を完全に無視し、国家の生存をかけて「力技で動くものを作ってくる」という特異な強さを持っています。

プロパガンダとしての側面

中国の技術発表、特に半導体やハイテク分野における報道には、明確な政治的意図(プロパガンダ)が存在します。

1.米国の制裁は無効であるというアピール

米国が輸出規制を強化するたびに、中国は「独自技術で壁を突破した」というニュースを大々的に流します。これは、国際社会に対して「制裁は意味がない」と示し、国内の国民に対しては「党の指導のもとで自給自足が達成されている」という安心感を与えるための情報戦です。

2.言葉のレトリックによる誇大広告

今回の「1.4nm相当」という表現も典型例です。実際には古い装置で回路設計を工夫するだけですが、メディアは「中国が1.4nmの製造技術を確立した」かのように報じます。一般層が誤解しやすいように言葉を盛り、実態よりも技術が先行している印象を与える手法がよく使われます。

単なる「見掛け倒し」ではない実態

一方で、中国製品の性能や進歩をすべて「嘘」や「プロパガンダ」と片付けるのは危険です。彼らには、西側の常識が通用しない「実質的な実装力」があります。

1.国家予算を投じた「力技」での実現

西側の企業は、赤字が続けば撤退するか倒産します。しかし中国は、歩留まりが30%しかなく、製造コストが他社の数倍かかろうとも、政府が無限に近い補助金を補填して製品を形にします。経済的には完全に非合理的ですが、結果として「制裁下でも最新スマホやAIチップが実際に動いて市場に出回る」という事実を作り出します。

2.膨大なデータと実戦による高速な改良

ファーウェイが「過去6年で381種類のチップを作った」と主張するように、彼らは粗削りな技術であっても、まずは国内の巨大市場に投入して強引に実戦で使わせます。そこで得られた膨大なフィードバックをもとに、ソフトウェアの最適化や設計の修正を猛烈なスピードで繰り返し、短期間で実用レベルに引き上げていくノウハウを持っています。

結論としての見方

中国製品やその発表に対する正確な視点は、「誇大広告(プロパガンダ)であることは間違いないが、だからといって技術がゼロという意味ではない」ということです。

最先端のカタログスペックや将来のロードマップには多分に「盛り」が含まれていますが、米国に退路を断たれた結果、古い技術を限界まで使い倒して「実用に耐える代替品」を泥臭く完成させてくる執念と実行力は、侮れない脅威として存在しています。

 

 

ファーウェイが制裁を打破する画期的なチップ技術を誇示、SMIC株が急騰

  • Huawei Touts Sanctions-Busting Chip Breakthrough, SMIC Shares Erupt

ファーウェイ(Huawei)が発表した「Tau(τ)スケーリング則」と「LogicFolding」は、米国の制裁によって最先端の露光装置(EUV)が使えない状況下で、従来の「回路の微細化(物理的な小ささ)」に頼らずに半導体の性能を引き上げるための新しい設計思想です。

信号が伝わる「時間(遅延時間)」を圧縮することに主眼を置き、回路を立体的に折りたたむ(スタッキング)ことで、2031年までに1.4ナノメートル(nm)プロセス相当のトランジスタ密度を達成することを目指しています。

これを受けて中国の半導体受託製造(ファウンドリ)最大手であるSMICなどの関連株が急騰しました。

従来の限界とファーウェイの狙い

半導体業界はこれまで、トランジスタをより小さくする「ムーアの法則」に従って、物理的な微細化を進めてきました。

しかし、現在の中国は制裁により、1.4nmなどの超微細化に必要なオランダ・ASML社製の最先端露光装置を導入できません。

今回発表された「Tauスケーリング則」は、幾何学的な微細化の代わりに、回路理論における時定数(信号の切り替えにかかる時間)を表す「τ(タウ)」を縮小することを基本原則としています。

装置の限界で回路をこれ以上細くできなくても、信号の伝達速度を極限まで高めれば、実質的に次世代ノードと同等の性能を引き出せるというアプローチです。

核心技術「LogicFolding」の仕組み

この時間短縮を具現化する具体的なアーキテクチャー(設計構造)が「LogicFolding」です。

従来のチップは平面(2D)のレイアウトだったため、信号が横方向に長い配線を通る必要があり、これが抵抗や容量による遅延(ロス)を生んでいました。

LogicFoldingでは、ロジック回路を2層に縦に積み重ねて「折りたたむ」ような構造をとります。

これにより、長い平面配線を短い垂直配線に置き換え、信号の伝達遅延を大幅に削減します。ファーウェイの発表によると、同じ製造プロセス(製造装置)のままで、トランジスタ密度を55%向上させ、電力効率を41%改善できるとされています。

今後のロードマップと影響

ファーウェイはこの設計手法を突然思いついたわけではなく、過去6年間にわたりスマートフォンやAIコンピューティング向けに381種類のチップを設計・量産し、技術を検証してきたと主張しています。

直近の計画として、2026年秋に発売予定の次期スマートフォン(Mate 90シリーズと目される)に搭載される新型「Kirin(麒麟)」チップに、このLogicFoldingを初めて実戦投入する予定です。

さらに、2030年までにはAIアクセラレータ(Ascendチップなど)やデータセンター向けにも展開し、最終的に2031年には1.4nm相当の密度を達成するとしています。

世界大手のTSMCは2028年に本物の1.4nmチップ(A14ノード)の量産を予定しているため、実質的な性能差を約3年遅れにまで縮小できる計算になり、制裁下における中国の自給自足の動きを加速させる可能性があります。

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