中国では結婚率と出生率が急激に低下 幼稚園や学校の閉鎖

中国

 

2024年には約2万箇所の幼稚園が閉鎖、保育児童は509万人減少

1年で500万人の幼児が消えた⁉︎ 結婚・出生率が急減

中国では結婚率と出生率が急激に低下し、その影響で幼稚園や学校の閉鎖が相次いでいます。2024年には約2万箇所の幼稚園が閉鎖され、保育児童は509万人減少しました。これは大都市の人口がまるごと消えたほどの規模です。さらに小学校の閉鎖も進んでおり、例えば上海では小学校の新入生受付が早々に終了するなど、教育機関の閉鎖ラッシュが始まっています。

2024年の中国の出生率は6.77‰(1000人あたり約6.77人)で、自然増加率はマイナス0.99‰とされていますが、この数字も実際はさらに悪化している可能性が指摘されています。主な原因としては、25歳から35歳の若者のうち約半数が結婚しておらず、2025年には独身者数が3億人を超える見込みであることが挙げられます。経済的な負担が大きく、特に農村部では未婚の40歳近い独身者も多く、お金の不足が結婚や出産を阻んでいます。

結婚件数は2025年第一四半期で181万組と前年度より減少(約8.1%減)、一方で離婚件数は増加傾向にあります。中国政府は結婚・出産の促進を呼びかけていますが、若者の経済的な不安や将来の希望喪失が根深い問題となっています。

また、医療機関でも産科や小児科の閉鎖が進み、妊婦検診だけが残る状況もあり、出産支援体制の弱体化も懸念されています。これらが複合的に影響し、子どもの教育や将来の生活の見通しが立ちにくくなっていることが、人口減少の大きな要因となっています。

全体として、教育機関の閉鎖、若者の結婚・出産離れ、経済的圧力の増大、そして医療の出産支援縮小が連鎖的に影響し、中国の人口問題が深刻化している現状が示されています。

 

 

中国で結婚・出生率が低迷する理由

中国で「結婚・離婚手続きの簡素化」 なぜ中国人は子を産まないのか

中国では近年、結婚率と出生率の急落、離婚率の上昇が深刻な社会問題となっています。これに対処するため、中国政府は結婚や離婚手続きの簡素化や補助金支給などの施策を講じていますが、抜本的な改善には至っていません。

主な要因は以下の通りです。

  • 住宅価格の高騰
  • 教育費や医療費の負担増加
  • 雇用の不安定さ
  • 「子を持つことがリスクになる」という中国特有の社会構造

特に、共産党政権下では、子供が大人を当局に従わせる手段として使われることがあり、政府に異を唱えた市民が「子供の進学や就職に影響する」と脅されるケースが後を絶ちません。このため、若者の間では「子供を持てば国家に弱みを握られる」との不安が広がり、家庭を持たない選択をする傾向が強まっています。

また、SNSでは「生まれ変われるなら、もう中国人にはなりたくない」といった投稿が数百万回もシェアされるなど、若者の間に将来への絶望感が蔓延しています。これこそが結婚や出産をためらう最大の壁となっており、政府の制度改革だけでは根本的な解決にはつながらない状況です。

まとめ

  • 中国の結婚・出生率低迷の背景には、経済的負担や社会構造への不信感、将来への絶望感が大きく影響している。
  • 手続きの簡素化などの政策だけでは、若者の意識や社会の根本的な問題を解決することは難しいと考えられています。

 

 

中国で「結婚・離婚手続きの簡素化」 なぜ中国人は子を産まないのか

by 李凌

中国で「婚姻手続きを簡略化する」新法を施行、果たしてこれで若者の結婚意欲を呼び戻せるか?

中国の「結婚・離婚手続きの簡素化」と若者の結婚・出産意欲

中国政府は結婚・離婚手続きを簡素化する新たな法改正を進めています。主な狙いは、結婚のハードルを下げて若者の結婚・出産を促進し、深刻な少子化問題に歯止めをかけることです。

結婚・離婚手続きの主な変更点

  • 戸籍簿(戸口簿)の提出不要:これまで必要だった戸籍簿の提示が不要となり、身分証のみで結婚手続きができるようになります。
  • 地域制限の撤廃:従来は戸籍所在地でしか結婚登録できませんでしたが、今後は居住地など全国どこでも手続き可能となります。
  • 離婚手続きの厳格化:離婚には30日間の「冷却期間」が設けられ、どちらかが離婚を望まない場合は申請が取り下げられる仕組みとなります。

これにより、親や家族の干渉を受けずに若者が自分たちの意思で結婚できるようになり、再婚希望の高齢者にも配慮した内容となっています。

それでも「子を産まない」理由

手続きの簡素化だけでは、若者の結婚・出産意欲の回復にはつながっていません。その背景には、以下のような複合的な要因があります。

1. 経済的負担の大きさ

  • 不動産価格や結納金(彩礼)の高騰、教育・養育費の増加が結婚や出産の大きな障壁となっています。
  • 結婚には住宅購入が必須とされる慣習(丈母娘経済)が根強く、経済的に自立できない若者が増加しています。

2. 若者の価値観の変化

  • 「結婚はコスパが悪い」「一人の生活が自由で快適」と考える若者が増え、結婚や出産を人生の必須と捉えなくなっています。
  • SNSなどで「結婚しない」「子どもを持たない」ことを選択するインフルエンサーが支持を集めています。

3. 将来への不安と社会構造

  • 経済成長の鈍化や雇用不安、親世代の苦労を間近で見て「結婚や子育てに夢を持てない」と感じる若者が多いです。
  • 一人っ子政策の影響で結婚適齢期の人口自体が減少していることも構造的な要因です。

4. 教育・養育コストの高騰

  • 競争の激しい教育環境や、子育てにかかるコストの増加も大きな要因です。

政府の狙いと現実のギャップ

  • 政府は手続きの簡素化で結婚率・出生率の回復を目指していますが、実際には若者の意識や社会の構造的問題が大きく立ちはだかっています。特に離婚手続きの厳格化については「結婚後の関係悪化を恐れる」として、かえって結婚をためらう若者も多く、政策の逆効果も指摘されています。

まとめ

中国の「結婚・離婚手続きの簡素化」は、形式的な障壁を下げるものの、経済的・社会的な根本要因を解決しない限り、若者の結婚・出産意欲の回復には直結しないと考えられています。

 

 

 

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