イランはハマスを支援していた。ガザ地区で譲歩せずハマスに圧力をかけた。イランに攻撃した。イスラエルの戦略が正しかった。

戦略目標の未達成、人道危機の深刻化、地域の不安定化といった現状を踏まえると「正しい」とは言い切れない

イラン、ハマス、ガザ、イスラエルの戦略評価

イランのハマス支援について

  • イランは長年にわたり、ハマスやレバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派など、反イスラエル武装勢力を支援してきました。これらの勢力は、イランの地域戦略の一環としてイスラエルに対する圧力を強める役割を担っています。

ハマスへの圧力とガザでの対応

  • イスラエルは2023年10月以降、ハマス壊滅と人質解放を掲げてガザ地区で大規模軍事作戦を継続しています。イスラエルはガザ地区への支援物資搬入の制限や軍事作戦の拡大を通じて、ハマスに強い圧力をかけてきました。しかし、ハマスの壊滅や人質解放という戦略目標は未だ達成されておらず、現地の人道危機が深刻化しています。

イランへの攻撃について

  • 2024年以降、イスラエルはイラン本土やイランの代理勢力への限定的な攻撃を行ったと報じられていますが、これが戦略的にどこまで効果的だったかについては議論があります。イラン自身もイスラエルに対しミサイル攻撃を行っており、地域全体の緊張が高まっています。

イスラエルの戦略は正しかったか?

イスラエルの戦略は、短期的にはハマスやイラン系勢力への軍事的圧力を強化することで一定の抑止効果を狙ったものですが、以下の点で課題が指摘されています。

  • ハマス壊滅や人質解放という主要目標は未達成。
  • ガザ地区の人道危機が深刻化し、国際社会からの批判が強まっている。
  • イランやその代理勢力との対立が激化し、イスラエルの安全保障リスクがむしろ増大している。
  • ハマスはガザ北部などで再結集し、戦闘を継続しているとの報道もある。

専門家や国際社会の多くは、軍事的手段だけでは根本的な解決に至らず、停戦や人道支援、包括的な和平交渉が不可欠と指摘しています。

結論

  • イランがハマスを支援していた事実や、イスラエルがハマスに圧力をかけてきたことは明らかです。しかし、イスラエルの戦略が「正しかった」と断定するには、戦略目標の未達成、人道危機の深刻化、地域の不安定化といった現状を踏まえると、評価は分かれます。軍事力だけでは持続的な安全保障や和平には繋がっていないというのが現時点での主な分析です。

イランは戦争を選び日本は戦争に巻き込まれる

  • 2025年6月13日、イスラエルはイランの主要な核施設や軍事施設を含む10か所以上に対して「ライジング・ライオン作戦」と呼ばれる大規模な先制攻撃を実施しました。これによりイランの革命防衛隊幹部や核科学者が殺害され、イランの軍事力に深刻な打撃が与えられました。
  • イランはただちに弾道ミサイルによる報復攻撃を行い、イスラエルの軍事施設だけでなく民間人も巻き込む戦略爆撃を実施。これにより両国は事実上の戦争状態に突入しました。

米英の関与と国際社会の反応

  • イスラエルがイラン上空の制空権を獲得すると、アメリカとイギリスはイスラエル防衛のために空母や戦闘機を中東地域に派遣。さらにアメリカのトランプ大統領は6月22日、B2爆撃機によるイラン核施設3カ所への攻撃を実行しました。
  • 国際社会の多くの国は、イスラエルの先制攻撃を「防勢攻撃」として正当化し、これまで自制を求めていた欧米諸国もイスラエル支持に回っています。一方、中国など一部の国は米軍によるイラン核施設攻撃を強く非難しています。

停戦合意の動き

  • アメリカのトランプ大統領は6月24日朝、SNSで「イスラエルとイランが完全かつ全面的に停戦することで合意した」と発表しましたが、現時点で両国政府から公式な声明は出ていません。

イランの選択と日本への影響

  • イランは「ウラン濃縮の停止と戦争の選択を迫られるなら、戦争を選ぶ」と明言し、トランプ大統領の無条件降伏要求がイランの徹底抗戦姿勢を強めたとみられています。このまま戦争が長期化すれば、ホルムズ海峡やマンデブ海峡の封鎖による世界経済への影響、特に日本のエネルギー安全保障や物流にも大きなリスクが生じると指摘されています。

日本の対応

  • 日本は集団的自衛権に基づき、アメリカやイギリスと連携して自衛隊の中東派遣を検討すべきとの意見が出ています。これは海上交通路の防衛が日本の国益に直結するためです。

まとめ

  • イスラエルの先制攻撃によりイランとの全面戦争が勃発。
  • 米英が軍事介入、国際社会はイスラエル支持が多数。
  • 停戦合意の報道はあるが、公式声明はまだ。
  • 日本はエネルギーと国際秩序維持の観点から対応が迫られている。

イスラエル諜報機関 暗殺作戦全史(上)
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