カナダの寄宿学校跡地で先住民の子どもの遺骨が大量に見つかったと報じられたニュースはデマだった

集団墓地という神話はメディアの職務怠慢である

  • A Mass-Graves Myth Is Media Malpractice

2021年にカナダの寄宿学校跡地で先住民の子どもの遺骨が大量に見つかったと報じられたニュースが、実際には根拠のない誤報(ホックス)であったと主張するコラム記事です。

メディアが事実検証を怠って感情的な物語を優先した結果、多額の税金が調査に費やされ、多くのカトリック教会への放火事件が誘発されたと批判しています。

また、著者はこの事例を米国のジョージ・フロイド事件を巡る報道とも比較し、メディアが特定の政治的立場から物語を先行させ、事実を後回しにする姿勢が社会的な暴力を生んでいると結論づけています。

カナダにおける集団墓地報道の虚偽

2021年、ブリティッシュコロンビア州のカムループス・インディアン寄宿学校跡地において、地中レーダー探査により215人の先住民の子どもの遺骨が確認されたという発表があり、世界中のメディアが大きく報じました。

しかし、実際には現在に至るまで人間の遺骨は一切発見されていません。

カナダの大手紙「グローブ・アンド・メール」は、近年になって「公に確認された遺骨はない」と事実上の訂正を行いましたが、その論調は依然として過去の寄宿学校の劣悪な環境を強調し、いつか遺骨が見つかるかもしれないといった推測を交えるなど、自らの報道姿勢への反省が不十分であると指摘されています。

誤った報道がもたらした社会的影響

この報道が社会に与えた影響は甚大であり、主に以下の2点が挙げられています。

数百億ドル規模の政府予算の使途不明

カナダ政府は、先住民グループが「土壌の異常」を調査するための費用として、数億ドル(米ドルに換算しても巨額の資金)の公金を支出しました。

しかし、その多額の税金が実際にどこへ消えたのか、政府は把握できていない状態にあります。

多数の教会を標客とした放火事件の発生

報道によってカトリック教会に対する激しい怒りが煽られた結果、各地で教会を狙った放火や器物破損が相次ぎました。

カナダ国営放送(CBC)の集計によると、2021年から2024年の間に33の教会が全焼し、そのうち24件が放火であると断定されています。また、事件の元となった寄宿学校はカトリック系でしたが、無関係の他の宗派の教会も無差別に襲撃を受けました。

メディアの姿勢に対する批判と米国との共通点

著者は、メディアが事実の検証よりも「先住民が迫害された」という progressive(進歩主義的)な物語(ナラティブ)を優先させたことが、これらの被害を招いた原因であると主張しています。

この構図は米国のメディアにも共通して見られる現象として、ジョージ・フロイド事件の際の報道が例に挙げられています。

事件そのものは事実であったものの、メディアが「白人警察官が黒人を日常的に殺害している」という偏った物語を広めたことが暴動に繋がったとし、カナダと米国の主要メディアは政治的な思惑で報道を歪めるのをやめ、猛省すべきであると結ばれています。

 

 

カナダの先住民問題(19世紀から20世紀後半)

カナダの先住民問題とは、19世紀から20世紀後半にかけてカナダ政府とキリスト教主導の教会が一体となり、先住民の子供たちを家族から強制的に引き離して「寄宿学校」に収容し、独自の言語や文化を抹消しようとした同化政策のことです。

この制度のもとでは、劣悪な衛生環境や虐待によって多くの子供たちが命を落とし、2015年にはカナダの「真実和解委員会」によって「文化的ジェノサイド(集団殺害)」と結論づけられました。

寄宿学校制度の概要

カナダ政府は1883年から、先住民(ファースト・ネーションズ、インイット、メティ)の子どもたちを社会に同化させる目的で、全寮制の寄宿学校(レジデンシャル・スクール)の建設を本格化させました。

最盛期には全国に約130以上の施設が存在し、合計で約15万人以上の子供たちが強制的に収容されました。

運営の多くはカトリック教会やカナダ国本公会などのキリスト教団体に委託されていました。

施設内での被害と劣悪な環境

学校に集められた子供たちは、以下のような過酷な状況に置かれていました。

こうした環境により、数千人以上の子どもたちが家に帰ることなく施設内で死亡したとされていますが、正確な記録が残されていないケースも多く存在します。

言語と文化の強制的な剥奪

子どもたちは独自の伝統的な衣服や髪型を奪われ、制服の着用を義務付けられました。

また、家族と連絡をとることや、母国語を話すことは厳しく禁止され、もし母国語を使った場合は激しい体罰を科されるなど、民族としてのアイデンティティを根底から消し去る教育が行われました。

劣悪な衛生環境と感染症の蔓延

多くの施設は常に過密状態にあり、十分な換気や暖房設備も整っていませんでした。

このような衛生環境の悪さから、結核やインフルエンザなどの感染症がまたたく間に蔓延しました。さらに、提供される食事の質や量も著しく不十分であったため、多くの子供たちが日常的な栄養失調状態にありました。

日常化していた肉体的・精神的虐待

教職員による規律維持を名目とした暴力が横行しており、些細な規則違反でも激しい暴行を受けました。

それだけでなく、外部から遮断された密室の中で、子どもたちに対する性的な虐待が組織的かつ長期にわたって行われていた事例が、のちの調査や生存者の証言によって多数明らかになっています。

国家としての謝罪と和解への動き

この問題は長年隠蔽されてきましたが、生存者たちの告発により社会問題化しました。

2008年、当時のスティーブン・ハーパー首相が政府として公式に謝罪し、実態解明のための「真実和解委員会」が設置されました。

委員会は7年間にわたる調査を経て、2015年に最終報告書を提出し、この政策を「文化的ジェノサイド」と断定しました。

また、2022年にはローマ教皇フランシスコがカナダを訪問し、カトリック教会が運営に関与し虐待が行われていたことについて、現地で直接謝罪を行っています。

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