2025年11月13日 米下院特別委、中国の重要鉱物支配通じた影響力拡大に警鐘
米議会下院の中国共産党に関する特別委員会は2025年11月12日付の報告書で、中国が数十年にわたり重要鉱物の国際価格操作を意図し、自国の製造業強化や地政学的な影響力拡大のための経済的武器として利用していると警鐘を鳴らしました。報告書は13項目の政策提言をまとめ、その中にはトランプ政権が既に実行している重要鉱物問題の最高責任者ポストの設置や、米国内での鉱物備蓄措置の推進が含まれています。
特別委員会のモーレナー委員長(共和党)は「中国は米経済に銃口を突きつけており、迅速な行動が不可欠」と述べ、中国の慣行で米国民の雇用喪失や鉱業事業者の廃業、国家安全保障の脅威が生じていると指摘しました。
報告書によると、中国は多くの重要鉱物に関して世界最大の加工精製者として振る舞い、米国と同盟国はレアアース(希土類)などの適正価格決定力をほぼ喪失しています。また、ロンドン金属取引所(LME)を香港取引所が保有していることで、中国政府の影響力にさらされやすい状況です。
特にリチウムとレアアース産業を狙い、自国経済の基盤強化のために価格操作を行っていることも明記されました。
2025年11月13日 GM、部品メーカーに供給網の「脱中国」働きかけ 生産リスク回避
GMは世界中の部品メーカーや資材供給企業に対し、中国以外からの調達を求めており、最終的には供給網から中国を完全に排除することを目標としています。一部のサプライヤーには2027年までに代替調達体制を整えるよう通達されました。
この動きの背景には、米中対立の激化とそれに伴うサプライチェーンの政治リスクがあります。特に、2025年初頭に発足した第2次トランプ政権が対中制裁強化を進めたことが、GM内部で「脱中国」が喫緊の課題として浮上する契機となったとみられます。
供給網見直しの内容
- 対象は北米生産の自動車部品と原材料。
- 米政府が安全保障上の懸念を持つロシアやベネズエラも排除対象。
- CEOメアリー・バーラ氏は「生産国に近い調達」を重視すると説明。
- 購買責任者オマール・アミン氏も「単なるコスト重視から、リスク管理重視へ転換する必要がある」と発言。
サプライヤー側の課題
- 中国は照明や金型、電子部品など自動車製造の多くで支配的な地位をもち、代替供給源の確保が極めて困難。再構築には膨大なコストがかかるとみられます。
- 米自動車部品業界団体MEMAのコリン・ショー代表は、
「20〜30年かけて築いた供給網を数年で変えるのは現実的でない」と述べ、現場の苦悩を示しました。
背景的意義
- GMの動きは、米国製造業の「デリスキング(リスク分散)」戦略の一環として位置づけられます。特にEVシフトに必要なレアメタルやバッテリー素材など、供給の多くを中国が握る状況が続く中で、調達の多角化は国家安全保障政策とも直結しています。
- トヨタやフォード、欧州勢でも同様の動きが進みつつあり、「脱中国サプライチェーン圏」が新たな世界経済構造を形作る可能性があります。
中国と経済的な関係強化を推進する勢力が強くなっている
トランプ政権内の対中強硬派の影響力は、2025年の現在、以前に比べて明らかに弱まっていると報じられています。トランプ大統領が中国との新たな貿易協定を模索し、数週間以内に習近平国家主席と会談予定であることが背景にあり、対中強硬派は政権内で周縁化されつつあります。TikTok米国事業の存続容認やAI半導体の中国市場での営業承認など、トランプ氏の決定は強硬派の警戒感を高めています。また、国家安全保障会議(NSC)で対中強硬論を掲げていた多くの顧問が更迭され、対中強硬派の役割と権限が弱まっているとの指摘が多いです。対中政策において経済的な関係強化を推進する勢力が政権中枢で強くなっている現状です。
2025年10月11日 トランプ流「ディール外交」に陰り、中国の反撃で脆さ露呈
トランプ大統領の「ディール外交」には陰りが見え、中国の反撃によりその脆さが露呈しています。トランプ氏は一対一の取引にこだわり、習近平国家主席との大型ディールを模索していますが、中国側は従来の米国政策の大幅な見直しや対中規制緩和を求めるなど強硬な態度を続けており、事実上の対立が続いています。トランプ政権内の対中強硬派が影響力を失い、国家安全保障会議(NSC)に対中強硬派が減少する一方で、TikTok問題やAI半導体販売に関する譲歩もあり、専門家からは中国側に有利な状況との懸念が出ています。
また、2025年6月にはトランプ氏本人も習主席の交渉の難しさをSNSで認めており、中国の強硬な交渉姿勢と戦略がトランプ外交の影響力を弱めていることが明らかになっています。こうした動きは米中貿易戦争の継続や技術分野での競争の激化を背景に、米中関係の不安定化を示しています。

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