グローバル資産運用会社が中国から逃げ出している
- ‘Chexit’: Global Asset Managers Are Fleeing China
海外の資産運用会社が中国市場から撤退・縮小する「Chexit(チェグジット)」が進んでいる。現地企業との厳しい競争、実績不足、規制の壁や地政学リスクにより、期待した成長や収益を得られなかったことが主な要因である。
Chexitが起きている背景と現状
フィデリティ・インターナショナル(FIL)などの大手海外資産運用会社が、中国での個人向けファンド事業からの撤退や規模縮小を進めている。
2019年に中国政府が外資100%のファンド設立を解禁した際、巨大な市場規模を目指して多くの外資系企業が参入した。
ヴァンガード、リーガル&ゼネラル、シュローダーなどの大手も、すでに撤退や計画の中止、拠点の縮小を実施している。
撤退に至る主な理由
地元の中国系運用会社との激しい競争
中国の国内企業は長年の実績、販売網、個人投資家の嗜好に関するノウハウを有しており、上位の中国系ファンドは高い運用リターンを出している。
単独進出(グリーンフィールド)の苦戦
合弁会社を買収して100%子会社化した既存大手に比べ、新しく単独で参入した外資系ファンドは運用資産の拡大に苦戦し、黒字化の目標に届かなかった。
制度や規制の不利益
アルゴリズム取引への規制強化など、外資系が得意とする手法が制限される局面があった。また、中国の現地企業の方が当局や取引所との関係が深く、市場データや規制面で有利に働く構造が存在する。
歴史的な背景と今後の展望
1950年代にも外資系銀行が過度な負担や制限により中国市場から退場させられた歴史があり、市場開放後も国内企業の優位性が保たれる構図が続いている。
一部の合弁出身の大手外資(JPモルガンなど)は生き残っているものの、後から参入した多くの欧米投資会社にとって、中国市場での採算確保は困難な状況となっている。
欧米の金融機関による中国からの撤退動向(Chexit)は、単なるビジネス上の戦略変更にとどまらず、グローバル金融市場における構造的変化を象徴している。
市場開放の幻想と現実のギャップ
2019年から2020年にかけて中国当局が金融市場を開放した際、欧米の資産運用会社は中国の膨大な個人資産を狙って本格参入した。しかし、現実には現地の独自商習慣や強固な地元ネットワーク、当局とのパイプを持つ中国系金融機関の参入障壁が高く、単独進出(グリーンフィールド)での規模拡大は極めて困難であったことが実証された。
採算性とガバナンスの壁
損益分岐点となる運用資産(AUM)目標に対して実績が数パーセント程度にとどまるなど、収益性の面で事業継続が正当化できない水準に達している。さらに、アルゴリズム取引への規制強化に代表される当局の不透明な政策変更や地政学リスクは、欧米企業にとってコンプライアンスおよびレピュテーション上の大きなリスクとなる。
金融の分断化と二極化の進行
既存の合弁事業を買収した一部の先進企業(JPモルガンなど)が足場を保つ一方で、新規参入組が相次いで撤退を決断している状況は、海外投資家による中国市場への直接アクセスの限界を示している。かつて1950年代に外資系銀行が市場から淘汰された歴史と同様、中国金融市場の自国主体による固めていく構造が再確認された形である。

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