2025年10月26日 ジャック・アタリ独占インタビュー、日本は世界初の「命の経済国」になれる
アタリ氏は「命の経済」とは健康、生命、福祉に関わる産業分野を指し、これからの時代において重要な新しい経済の柱になると説いています。彼は現代社会の個人主義の問題点を指摘し、利己的な態度が社会問題を悪化させていると述べています。そのため、利己的な利他主義や合理的な利他主義を拡げることが、気候変動や格差などの課題解決に欠かせないと強調しています。
また、「命の経済」の中心には健康、衛生、食料、農業、水、環境などの分野があり、この領域で先進的な取り組みを行う国が今後発展していくとの見解です。日本はすでに命の経済の重要性に気づいており、世界初の「命の経済国」になれる可能性があるとアタリ氏は述べています。
さらに、コロナ禍後の社会変革や企業のあり方についても語り、日本の企業や社会がこの新たな経済の方向に進むことを望んでいます。具体的には、健康・教育・文化・民主主義などの分野が今後の成長分野となるとされています。
まとめると、ジャック・アタリ氏は日本が「命の経済」を中核に据えることで、世界に先駆けて持続可能で人間中心の経済社会を築けると期待しており、日本の可能性と責任を強調しています。
人類の「破局的未来」、回避するための「自己変革」
第1章 明日は我が身 ― 悲惨な世界の現状
- 世界は少子高齢化が急速に進み、経済成長と社会保障の維持が難しくなっている。
- 技術革新が進むにもかかわらず労働生産性は停滞し、世界経済は減速中。
- 富の集中が進み、上位10%が世界の富の約88%を所有。中産階級の貧困化が進む。
- 特にコロナ禍で少子化と格差が拡大、先進国では中流層が崩れ始めている。
第2章 貧困・怒り・暴力 ― アタリが描く絶望的未来
- 2030年までにテクノロジーの進歩で雇用の半数が消失。失業の慢性化が進行。
- 格差拡大により中産階級が崩壊、貧困と不満が世界中に蔓延。
- 政府債務は膨張し、インフラ・医療・教育が崩壊。
- 教育崩壊により若者の過激化が進み、民主主義が否定され独裁と監視社会が進行。
- 経済・軍事・社会の不安定化により、世界的な危機が同時多発的に発生する。
第3章 世界を変えるための「自己変革の10段階」
- アタリは、「集団を変えるには、まず個人が変わらなければならない」と説き、次の十段階を提示する。
- 死の不可避性を自覚する・・・限られた命を意識することで人生を本気で生きる。
- 自己を尊重する・・・自分の時間と才能を大切にし、凡庸なことに時間を費やさない。
- 変わらない自分の価値観を見出す・・・普遍的な倫理を持ち、自己を裏切らない。
- 世界の動きを観察し意見を持つ・・・常に調べ、他者の立場に共感を持つ。
- 幸福は他者とつながることで得られると悟る・・・利他的に生きることが自己の幸福。
- 複数の人生を同時に送る・・・多面的なライフワークを持ち、自己実現と交流を深める。
- 挫折に耐える力を養う・・・批判・失敗を成長の糧とする。
- 不可能を否定しない・・・不確実な未来でも行動を止めない。
- 具体的な行動に移す・・・現実的かつ利他的な目的で実践する。
- 世界のために行動する準備をせよ・・・傍観者ではなく、変革の主体となる。
結論
- 世界の破局は避けられないものではなく、個人の意識変革から希望は生まれる。
- 自己変革の積み重ねが、やがて社会・文明レベルの変化を起こす。
- 利他主義を理性的に熱望する人々が増えれば、資本主義の歪みを超える新しい時代が到来する。
「未来を救うのは政治や技術ではなく、一人ひとりの心の変革である」というアタリの思想を簡潔に伝えています。
2017/8/9
2030年ジャック・アタリの未来予測―不確実な世の中をサバイブせよ!

2030年までに予想される世界の大変化を論じています。内容は健康、教育、労働、住宅、農業、エネルギー、自動車、航空、娯楽、芸術、リサイクルなど多岐にわたり、これらの分野で社会がどのように変わっていくかを示し、未来に向けて行動すべき10のアクションも提案されています。
アタリ氏は過去にソ連崩壊やリーマンショック、トランプ大統領誕生などを的中させた知性であり、この本でも気候変動や保護主義の台頭、富の偏在など人類が直面する危機を指摘しています。ただし、未来予測の根拠は膨大な情報収集と論理的解釈に基づくもので、現実的な対処法の提案は時に理想主義に傾くという評価もあります。
この本は、不確実性が増す現代社会で生き残るための視点を提供し、変化に適応するための思考材料として有用です。一方で、悲観的な予測が大半であり、深く啓発される内容を期待するとやや期待外れとの感想もあります。2030年を見据えた包括的な社会ビジョンを知りたい人に適しています。
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