中国国内の民意 特に若い世代やネットユーザー層の体制不信や閉塞感 外部からの刺激や挑発によって表面化する可能性

中国 民衆の心に潜む「反共」の火種を炙り出した動画

CIAの「中国スパイ募集」 中国SNSで応募希望が殺到

米中央情報局(CIA)が2025年5月1日に中国語で公開した「中国高官向けスパイ募集動画」は、中国共産党政権への不満を持つ官僚や関係者に向けて、内部情報の提供を呼びかける内容でした。動画は、共産党幹部が失脚の危機に直面し、家族の安全を案じてCIAに連絡するというストーリーで、情報提供者の安全や匿名性が強調されています。

この動画に対し、中国当局は約2か月後の6月25日、公式SNSなどで「公然とスパイを募集する滑稽なパフォーマンス」「子どもじみた手口」などと強く批判しました。しかし、ネット上の中国人ユーザーの反応は当局の意図とは異なり、動画のコメント欄には「給料はいくらか」「福利厚生は?」「応募条件は?」など、スパイ募集への“応募希望”とも取れる質問が多数寄せられました。また、「銃を支給してくれるならやる」「家族の安全が保証されるならやる」といった本気とも冗談とも受け取れる声も少なくありませんでした。

この現象は、表向きは厳しい言論統制が敷かれている中国社会においても、一部の民衆の間に「反共」感情や中共体制への不満が根強く存在していることを浮き彫りにしたと言えます。中国政府や国家安全部門は、こうした“扇動”を「幼稚」「笑いを誘う」と一蹴しましたが、SNS上では体制批判や現状への皮肉、あるいは本音が匿名性のもとで噴出した形です。

この一連の反応は、中国国内の民意の一端――特に若い世代やネットユーザー層における体制不信や閉塞感――が、外部からの刺激や挑発によって表面化する可能性があることを示唆しています。

中国、米CIAを批判 内部情報提供求める動画投稿「子供じみた手口笑ってしまう」

中国の国家安全部門は2025年6月25日、米中央情報局(CIA)が中国共産党の内部情報提供を呼びかける動画をSNSに投稿したことを強く批判しました。
中国側は「公然とスパイを募集する滑稽なパフォーマンス」「子供じみた手口で笑ってしまう」とコメントし、CIAの行動を幼稚であると非難しました。

この動画は5月にX(旧ツイッター)で公開され、中国語の短編ドラマ仕立てで、共産党幹部が失脚の危機に直面し、家族を守るためにCIAに連絡を取るという内容です。動画の最後ではCIAへの連絡方法が案内され、内部情報の提供を呼びかけています。

中国では近年、政府高官や軍幹部の摘発が相次いでおり、CIAによるこの情報戦に中国当局が強く反発した形です。国家安全部門は「かつて情報戦で名声を誇ったCIAも、他国民を扇動する広告手法は幼稚で笑ってしまう」とも述べています。

驚くべきCIAの世論操作
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概要

CIAによるメディア操作や世論誘導の実態を調査報道ジャーナリストの視点から明らかにしたノンフィクションです。著者のニコラス・スカウは、アメリカの調査報道記者であり、CIAとメディア、ハリウッドとの関係や、情報操作の手法について深く掘り下げています。

主な内容・特徴

  • **CIAの非合法行為の隠蔽**や、それを暴こうとするジャーナリストへの圧力・攻撃。
  • ハリウッド映画への影響力。例えば、アカデミー賞受賞作『アルゴ』ではCIAを美化するために史実が歪められた事例を紹介。
  • **大手新聞やテレビなどのメディアとの情報交換**や、世論形成における協力関係。
  • **グアンタナモ収容所のイメージ操作**など、米政府にとって不都合な事実の隠蔽工作。
  • 実際にCIAの情報操作に巻き込まれたジャーナリスト(例:ゲイリー・ウェッブ)のケーススタディ。

目次例

  1. 合わせ鏡の荒野
  2. 私はだいたいなんだって食べちゃうんです
  3. 神と国家のために
  4. 告発者を殺せ
  5. 米軍に「埋め込まれる」従軍記者たち
  6. グアンタナモ収容所の隠蔽工作
  7. 銀幕をねらえ
  8. ザ・ウルフ

評価・意義

  • 本書は、米国だけでなく日本でも政府による情報隠蔽やメディアへの圧力が問題視される中、世論操作の実態を知り、真実を見極める目を養うための必読書とされています。

著者について

  • ニコラス・スカウは1970年生まれの調査報道ジャーナリストで、『オレンジ・カウンティー・ウィークリー』編集長を務めた経験があり、CIAとメディアの癒着や情報操作をテーマにした著作を多く執筆しています。代表作『Kill the Messenger』は映画化もされています。

この本は、CIAの世論操作の手口や、メディアや映画を通じたイメージ操作の実例を知りたい人に強く推奨される一冊です。