2025年12月14日 米FRB、意見割れる中で3会合連続0.25%利下げ―1-3月は利下げ停止視野に
- この記事は、米連邦準備制度理事会(FRB)が2025年12月のFOMC会合で3会合連続となる0.25%の利下げを決定した一方で、今後は金利引き下げをいったん停止する可能性が高まっていることを報じています。以下が要点です。
FOMCの判断と内部対立
- 今回の小幅利下げには3名の委員が反対票を投じ、意見の分裂が明らかになった。FRB内部では「インフレ再燃への懸念」が依然として強く、追加利下げには慎重な空気がある。
パウエル議長の見解
- インフレ率は2026年初頭に再上昇し、その後減速するとの見通し。
- 1~3月期は据え置きの可能性が高いが、4月以降に再び緩和余地があると示唆。
- 政府機関閉鎖の影響で雇用やCPIなどの経済データが「当面信頼できない」とし、慎重な政策運営を強調。
- 現在の金利水準は「中立的」とし、拙速な利下げに否定的な姿勢を示した。
政策運営の方向性
- FRBは「完全雇用と物価安定のバランスが取れていない」と認め、今回は**インフレ抑制を優先した“タカ派的利下げ”**との見方が多い。市場では今後「長めの利下げ据え置き期間」が続く可能性が指摘されている。
国債購入再開(事実上の流動性供給)
- 12月12日から毎月約400億ドル規模の国債購入を再開。これは短期市場の流動性逼迫に対応する措置で、株式などのリスク資産を押し上げる要因ともなる。
FRBのバランスシートは一時9兆ドルまで膨張したが、現在は約6.5兆ドルに縮小している。今回の決定で、量的引き締め(QT)は事実上終了。
政治的要素
- パウエル議長の任期は2026年5月まで。トランプ大統領は、2026年1月に国家経済会議(NEC)委員長のケビン・ハセット氏を次期議長候補に指名する方針で、後任人事をめぐる思惑も市場注目点となっている。
今後の見通し
- FRBは2026年1月と3月は金利を据え置き、次の利下げ再開は最短でも4月以降とみられる。今回の動きは、単なる景気テコ入れというよりも「インフレ再燃を防ぎつつ、流動性を確保する慎重かつ調整的な政策転換期」と位置付けられる。
要約すると、FRBは2025年末時点で利下げサイクルの「中休み」に入り、金融緩和のペースをゆるめる方向へ転じつつあります。背景には、データの信頼性低下、インフレへの根強い警戒、そして政治的な移行期を控えた慎重姿勢があると言えます。
