アメリカの関税政策は、成功していると言える?

一時的な「産みの苦しみ」なのか、構造的な経済衰退の始まりなのかは不明

2025年後半にかけては、関税によるインフレと不確実性が企業投資を抑制

  • トランプ氏の関税政策が「成功しているか」については、評価する立場や指標によって正反対の結論が出る状況にあります。2025年12月現在の経済データと専門家の分析に基づき、多角的に整理します。

1. 「成功」と評価されうる側面

  • 政権側の意図や、特定の経済指標に注目すると以下の点が挙げられます。
  1. 政府収入の劇的な増加:関税による税収は2025年12月までに約2,500億ドルに達し、月間ベースでは2024年の3倍近く(300億ドル超)を記録しています。これは財政赤字の補填や減税の原資として機能しています。
  2. 交渉のレバレッジ(武器)化:他国との貿易交渉において、関税を「脅し」や「譲歩を引き出す道具」として活用し、実際に日本車への関税引き下げや、一部の東南アジア諸国との相互関税率の調整など、二国間交渉を動かした実績があります。
  3. 一部の国内生産への回帰:コスト増を避けるため、大手企業を中心に米国内での生産能力を拡大する動き(ニアショアリング・リショアリング)が見られます。

2. 「失敗・課題」と指摘される側面

  • 一方で、経済全体への副作用も深刻化しています。
  1. インフレと家計負担の増大:関税は「輸入業者への増税」であるため、最終的に消費者が負担する形となっています。2025年の米国家計あたりの負担増は平均1,100ドル〜1,300ドルに達し、衣類(約37%増)や食品、自動車価格を押し上げています。
  2. 企業倒産の急増と雇用への影響:輸入部材に頼る製造業や建設業を中心にコストが耐えきれなくなり、2025年の企業倒産件数は2010年以来の高水準を記録しました。製造業全体では約7万人の雇用が失われたとのデータもあります。
  3. 他国の報復と輸出への打撃:EUや中国による報復関税により、米国の輸出企業(特に農産物や高級品)が市場を失い、米国の実質GDP成長率を0.5%程度押し下げたと分析されています。

3. 総評:成功と言えるのか?

  • 結論から言えば、「国家間の交渉力を高め、税収を増やす」という政治的・財政的な目的においては一定の成果を上げていますが、「米国の経済成長や国民の生活水準を向上させる」という経済的な目的においては、マイナスの影響が目立つのが現状です。
  • 特に2025年後半にかけては、関税によるインフレと不確実性が企業投資を抑制しており、これが一時的な「産みの苦しみ」なのか、構造的な経済衰退の始まりなのか、専門家の間でも激しい論争が続いています。

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