ロシア極東のサハリン2プロジェクトで生産された「サハリンブレンド」 米欧制裁の例外措置を活用

太陽石油、米欧制裁のタンカーが輸送するロシア産原油を受け入れ

概要

  • 太陽石油は、米国財務省および欧州連合(EU)の制裁対象となっているタンカー「ボイジャー」が輸送したロシア産原油(サハリンブレンド)を受け入れたことが明らかになりました。これは日本が過去2年以上ぶりにロシア産原油を輸入した事例です。

取引の詳細

  • 原油の種類と出所・・・対象となった原油は、ロシア極東のサハリン2プロジェクトで生産された「サハリンブレンド」です。日本のサハリン2関連取引は、米欧の対ロシア制裁の適用除外とされています。
  • 輸送と荷揚げ・・・タンカー「ボイジャー」は、2025年5月25日にサハリン南部プリゴロドノエで原油を積み込み、6月9日に愛媛県菊間港に到着し、約60万バレルの原油を荷下ろししました。
  • 経済産業省の関与・・・太陽石油は経済産業省の要請を受けてこの原油を購入したと説明しています。サハリン2では天然ガスと原油が同時生産されており、原油の取引が停止されるとプロジェクト全体に影響が及ぶ可能性があるためです。

制裁と例外措置

  • 制裁対象タンカーの利用・・・「ボイジャー」は、2025年1月に米財務省外国資産管理局(OFAC)から制裁対象とされ、EUも2月に追随しました。所有会社は制裁回避のため、UAEの2社に名義を移しています。
  • 日本への例外適用・・・日本のサハリン2からの原油輸入は、エネルギー安全保障を理由に米欧双方から例外を認められています。EUは2025年6月下旬まで、米国は6月28日までの適用除外を決定しており、通常は延長される見込みです。
  • 米国・EUの見解・・・経産省によると、米国政府から「制裁対象タンカーの利用も認められる」との確認を得ており、EUには二次制裁がないため、日本の取引には影響がないとされています。

背景と国際的な動向

  • 慎重姿勢の変化・・・ロシアのウクライナ侵攻以降、日本を含む多くの国がロシア産原油の購入を控えていましたが、トランプ政権発足後、買い手の慎重姿勢が後退しつつあると指摘されています。

他国の事例

  • インドや中国、シリア向けにも、米制裁対象タンカーによるロシア産原油の輸送が継続しています。

まとめ

  • 太陽石油による今回の原油受け入れは、日本政府の要請とエネルギー安全保障を背景に、米欧制裁の例外措置を活用したものです。制裁対象タンカーの利用についても、米国・EU双方から日本のケースは認められており、現時点で法的リスクは限定的とみられます。

イスラエルについて知っておきたい30のこと
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概要

  • ユダヤ教とシオニズム、ホロコーストの政治利用、欧米諸国のイスラエル支持など、パレスチナ/イスラエル問題の根本に迫る内容。
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