富山県高岡市 財政破綻した第二の都市

2017年10月05日 財政悪化なぜ起きた?自治体と議会の責任は

みのたけ ~富山県高岡市財政再建への道のり~

2017年11月、富山県第二の都市・高岡市で突如、市の財政難が発覚しました。市長は「新幹線関連事業に対する身の丈を超えた投資が要因」と謝罪しましたが、突然の公表に市民からは怒りの声が相次ぎました。新年度、財政再建策として打ち出されたのは、コミュ二ティーバスの廃止など市民生活に直結するものでした。市はなぜこのタイミングで財政難に陥ったのか、そして行政を監視すべき市議会の役割は果たされていたのか。高岡市財政再建の道のりを俯瞰します。

「身の丈」。取材を通じて、市当局や市民から最も多く聞いた言葉です。悲願だった北陸新幹線の開業から3年足らずの2017年11月。地元紙が「高岡市40億円の財源不足」と報じました。どの自治体でも予算を編成するときは、歳出と歳入のギャップ、いわゆる財源不足が生じることはあると、当初、市民や私自身もそれほど問題視はしていませんでした。しかし、その一カ月後、高橋市長が発表したのは、市が当面の目玉事業として掲げていた新総合体育館の建設中止と、「財政健全化緊急プログラム」という災害でも発生したかのような対応でした。なぜ財政難に陥ったのか。今まで考えもしなかった事態に、市民の不安や不満の声が急速に高まるのを強く感じました。そして、本格的に高岡市当局や市議会への取材に入ると、さまざまな問題点に気づかされました。

まずは、北陸新幹線開業に合わせ整備された二つの駅です。新幹線整備では、市は新幹線駅・在来線駅の併設を調節できず、二カ所に分離しました。ハード事業だけで250億円超の投資。中でも、市が重視したのは、市の玄関口となる在来線駅の整備でした。新幹線をきっかけに駅周辺の活性化を狙い、空中経路や地下街など、都会をまねた立体的な構造にしましたが、効果は薄く商店街は閑散としたままです。

次に、平成の大合併です。2005年、人口16万人だった高岡市は、隣接する人口1万4000人福岡町との合併にこぎつけました。「当時の財政のためには“合併特例債”が欲しかった…」合併調印した前高岡市長の橘衆院議員と元福岡町長の石澤氏は語ります。その特例債を使って建設された「ハコモノ」の維持管理費は、今もボディブローのように財政を圧迫し続けます。改めて市内を見渡すと、その他にも立派な施設が多く存在し、市長や市民の言う「身の丈を超えた」という言葉に納得しました。

その頃、市は新年度予算の策定作業に取り組んでいましたが、なぜか緊張感が感じられず、市民の怒りを真摯に受け止めているのか、疑問を感じました。一方、市議会議員の定数は27人、うち20人が自民会派です。2018年3月、市が提案した新年度予算は議会で原案通りに可決されました。これまで新年度予算が否決されたことはないと言います。市議会の最大会派自民同志会の会長にこの点をただすと、「今まで市当局とは水面下で議論を重ねてきた」と答えました。議会とは何のための場なのか、行政だけでなく、議会にも疑問を感じざるを得ませんでした。

新年度予算では、当初案の通り、市民に親しまれ、必要とされてきたコミュニティーバスが廃止されました。「今までバスで美容院に行っていたのも、今はタクシーを使っていかなければならない」交通費は何倍にも増したと市民は嘆いています。今後、5年間かけて取り組む財政健全化緊急プログラム。しかし、市が示した策を検証すればするほど、市民生活へのしわ寄せと借金返済の先延ばしに過ぎない実態が浮き彫りとなってきます。借金にあたる市債1100億円も残ったままです。私たちの生活を決める市と市議会はいかにあるべきなのか、番組を通して考えます。

富山は日本のスウェーデン 変革する保守王国の謎を解く
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ごくつまらない人間 富山ブラックジョーク『ここは退屈迎えに来て』

2018年8月18日

クルマで通勤する女性の多さに衝撃を受けたって!?富山はクルマがないと生きられないの。駅前で知ったというのが象徴的で誰も公共交通機関を利用しないのです。だから、運転代行も富山県が発祥になっている。

待機児童ゼロったって児童がゼロだからだ。

獅子舞のキリコと呼ばれる踊り子もいなくなって隣町から借りて、今は外国人の踊り子になっている。

今度高校が4校削減されることになっていて高校がない地域も生まれる。

北欧の議会制度は参考にすべきところが多いけど、真逆なのが富山。

富山市は14人もの議員が辞職した市議会の政務活動費不正で有名だが、エアコン設置率がゼロ。子どもの健康を犠牲にして「環境モデル都市」を誇っている。まさか、富山はスウェーデンだからいらないというのだろうか?そういうのを涼しい顔というのだよ。

高岡市議会も市の予算の不健全さを全くチェックできず、財政を破綻させた。

富山には家事手伝い、専業主婦というカテゴリーがない。働かざるもの食うべからず、で三世代同居で女性が働いていなかったら、何て言われるかわからない。専業主婦と専業農家率も最低で、みんな兼業でやっているから所得も伸びる。これでは祖父江孝男の『県民性』の頃の富山は真宗で家族を大切にして男は売薬に、おんなは留守を守って働き者という、クリシェの繰り返しだ。どうせなら、銭湯経営者が多い北陸人とサウナの多い北欧との比較にしたら心温まるかも。なんてこともなく、富山と金沢と福井は全然違う国だ。

持ち家率1位というのも21世紀には負の遺産だ。
周り中、空き家だらけで、動ける人も少なく、僕は行政が動員をかけてくるボランティアを確保するのに苦労している。
空き家は「負動産」として自治体や住民にのしかかっている。
所有者不明の土地も増えて「崩蝕の国土」という富山のドキュメンタリーは9月30日深夜に全国放送された(内容は検索して)。
我が町は10年前の半分の人口になった。
若者はみんな三交代で働いているから頼みようがない。
別に田舎だからじゃなくて、総曲輪、中央、御旅屋とシャッター商店街になっている。金沢の香林坊とは程遠い。
イタリアンの落合務シェフは富山を閉店して直後に金沢で開店。「富山県は援助してくれない」と何度も嘆いていた(「必ず県に伝えます」という約束はこれで果たしました)。

住んだことのない人が書いているようだが、観光で訪ねた人もクルマがないと何もできないことがすぐにわかるはず。レンタカーを借りないと色々行けない。
車は休日には天国だけど、渋滞で毎日が通勤地獄。
僕も高齢者ドライバーになったら、どうなるか心配。団塊が後期高齢者になるから、あと数年で大きな問題になる。
高岡だってサティが撤退して買い物難民で全国放送されたくらいだ。
三世帯だって、高齢まで働くことになれば、孫の世話など難しい。すでに崩壊し始めている。何より嫁の、女性の視点が欠如している。嫁たちの愚痴に耳を傾けたこともないのだろう。安倍の働き方改悪で老人が孫の面倒を見ることも少なくなってきた。

書かれているのは都会の人のノスタルジーだ。田舎は「何で結婚式に鯛のでっかい蒲鉾つけんが?」とか「歳暮に寒ブリ一匹持っていかんにゃんならん!」「1000万の仏壇でないがやったら、金出さんぞ」という毒爺ばかり。僕が富山に戻って来て自転車でトイレットペーパーを買いに行ったら「あんたとこはあんちゃん=長男にそんなもの買わせている」と批判された。周りはスパイだらけ。
ひっそりと葬儀を行う人も増えた。墓じまいを口にしている人も多い。真宗王国なのに寂しい限りだ。
県の担当者の送迎付きの歓待(上げ膳スウェーデン?)だけで富山が分かるはずもない。
3日だけでも、うちに来て生活してみませんか?
2時間に一本のバスで、数キロ先にスーパーがあるだけ。
舟橋村も褒めてあるけど、日本中が日本一小さい村になれるはずもない。
県民からすれば地域エゴにしか見えない。
この本にはスウェーデンの思い出も書かれてないが、筆者はスウェーデンに長く住んだことがあるのでしようね?

2年、少なくとも1年のフィールドワークを経験しないで他文化をカタる人を人類学では「アームチェア学派」という。フレーザーの頃は博学とされたが、今なら学問の良心が問われる。「長期参与観察」はマリノフスキが確立した方法だ。戦争で動けなくなった偶然でもあるけど。
年に何本も書ける分野っていいよねー。
他の学問の世界は知らないが。

これだけのヨイショをされたら、県や市の職員は買うから忽ちベストセラーだけど、県民は買ってはくれません。当たり前で、まるでコロンブスが「新大陸」を発見したみたいに、北陸にもこんなところが、と今更言われても腹が立つだけ。富山は富山だ。
勿論、悪い部分も書いてあるが、だったら他県の人の参考になるんだろうか?

それに富山の人が他県に住んでいないという言い方もおかしい。
売薬の頃から他藩のことは知っていたし、中国とも漢方薬など密貿易していたし、今もYKKなど国際的なビジネスを展開しているところが多いのです。東京の人の方がよほど他県を知らないはず。
富山は安田講堂も建てた安田財閥、京浜工業地帯を造った浅野財閥、ホテルニューオータニを建てた大谷「鉄鋼王」を輩出しているから、ビジネスでは金沢よりも本店があって当たり前なのだ。クレジットの丸井だって「先用後利亅で売薬の伝統だ。
富山を上から目線で馬鹿にしないてほしい。

どうしてこんなに実感と乖離しているのか考えると、クルマの維持費が入っていないからだ。
(本体と冬タイヤと税180+車検2回30)÷7年=年間30+自動車保険2.5+オイルとフィルター交換2.5+自動車税3。
つまり、年間38万はかかり、9年で手放すとしても補修費と車検と冬タイヤが必要になってくるので同じくらいだ。
ガソリン代は通勤費で払われるので相殺と考えてのこと。
一人に一台ずつ持っていて、農業をやっていると軽トラの分も必要で、少しくらい所得が高くても意味がない。
朝日歌壇「ボーナスは愛車のタイヤと保険代あとは家族にドーナツを買う」(富山市)松田梨子

タイトルからして「オリエンタリズム」臭がプンプン。幸福度を指標とするなら『富山は日本のブータン』でいいはず。利賀村で曼荼羅を描いたトラチャンさんはここはブータンそっくりと話していました。
白人国家を手本とするのは明治の「脱亜入欧」の精神構造だ。おっと、「脱亜論」は諭吉=慶應のお家芸だった。

何度読んでも分からないのは富山は豊かというが、その名も中沖豊県政6期で県の財政は住民1人あたりの借金番付でワースト5位のはず。高岡市は北陸新幹線で身の丈に合わない投資をして借金地獄になり、バスなど多くの福祉事業が削減される。

富山ブラック・ジョークにしか住民には感じられなかった。
ネタが尽きた「ケンミンSHOW」だ。
雪の中のドライブ、この猛暑、娯楽施設がない、イベントが少ない、優良な就職先も乏しいから若者が帰って来ない。
教育県ではなく、進学県だから出て行くばかり。他県の人を呼ぶ前に、わが子に帰ってほしいのが県民の悲願だ。どんなに悲しい思いでこの文章を書いているか、分かりますか?
でも、大学から既に若者の受け皿がない。
「御三家」と呼ばれる進学校の目標は県外の有名国公立大学だ。実際、知事の母校では「橋を渡った大学でいいのか?!」と叱咤激励される。優秀であればあるほど、故郷から離れる。
結局、北陸新幹線は、いつでも帰れるからと、スポイト、ストロー現象を起こした。
観光客だって金沢でホテルが取れないからと、富山に泊まって翌朝、金沢に向かう。
さらに山内マリコ『ここは退屈迎えに来て』が映画化された。売るものがないから、ついに退屈を売り始めた。まるで落語「あくび指南」の世界だ。
ちなみに山内の『メガネと放蕩娘』は総曲輪商店街を再生しようと努力する話になっている。慶應のゼミ生はそこまでちゃんとフィールドワークしたのだろうか?
実際、女性は年間300人も富山に戻って来ていない。女性が少ない町で男はどうやって結婚できるのか?「向都離村亅が止まらない。

「なぜこんなに住みやすいのか」って??
同僚の奥さんたちは移住して来て、免許がなくて買い物にも行けない、方言でコミュニケーションが県民と取れず孤立してしまったという。ついでに、初雪は綺麗で嬉しかったけど、まさか重い雪を自分で雪かきしなければならないとは思わなかったという。いつまで住んでも「旅の人」と疎外される。三世代で住みたがる女性も少なくて、周りは独身男女だらけ。

都市人類学でいう「都会の自由な風」が吹いていない。
不二越の社長が富山県民は採らないと言って物議を醸した。県外出身者だったから苦労したのだろう。
そんなこともあるのに自治体の宣伝を丸呑み。
先日、石井知事がいきなり富山に移住することを話した。この本と連動した発言だとようやく理解した。

毎日の齷齪した生活に保守もリベラルも関係ない(ただ、利賀村のインフラ整備がすごいのは村の自民党支持率が日本一だったからとされている)。
富山が保守的なのはテレビ局が少なくて「ニュースステーション」もなかったからというジョークがある。
新聞だって地方紙の独占だ。石川ほどじゃないけどね。
スタバも褒めてあるけど、缶コーヒーの消費は富山市がずっと日本一です。

「おわりに」で家族のお話が出てきて嬉しくなった。移住を決意されたのだ!
でも、酒と肴が褒めてあるだけでした。貧しい我が家は愛媛の養殖ブリと兵庫県産のホタルイカしか食べてないのに。

どうでしょう!ベストセラー記念にご家族で富山に移住なさっては?
お父様、お母様もお呼びしたらいかがでしょうか?
奥様もさぞお慶びなさるでしょう。
新幹線で僅か2時間です。
何なら、ゼミ生も3人くらい富山に就職してもらったら県民は大歓迎です。
小田原みたいにカマボコもあります。
同じ慶應の池田彌三郎は酒席での口約束を守って魚津に住んでいました。
慶應OBからはそれが命を縮めたとされるところです。

『天国にいちばん近い島』のニューカレドニアはイメージとは程遠いと言います。
是非、次作は『天国にいちばん近い富山県』でお願いいたします。
※厚かましくも正月特番に出ていて、KNBがロケまでしたのだが、スウェーデンとの落差が目立つだけ。
三世代同居が1985年30.3%が13.2%に下がっている。これが住み良いから増えているという話にならず。女性の活躍も2015年の管理職の女性比率は全国9.7なのに富山は7.6%と全国44位!
女性を都合よく働かせている実態が浮かび上がってくる。
この改善に県民がみんなでこんな努力をしています、なら分かるが、ごく一部の知られた例ばかりだった。
たまに富山に来て美味しいものを食べている人に何が分かるのか?
町では左義長が廃止されることになった。
児童館もなくなり燃やすべき書初めを書く子どもがいないからだ。
奈良女を出た近所の女の子が春には結婚して大阪に行く。
獅子舞の笛かたが増えずに、また減った。
※皆老人になって獅子頭を持つ者がいなくなって中止に追い込まれた。
町内旅行も15人の最低催行人数を集めるのに大変だった。無料で応募したのにである。
隣家が解体して今ちょうど足場の取り外しが終わった。
空き家と空き地だらけの町をどう運営していけるのか?
今年の運動祭の出場者だってどうすれば確保すればいいの?
何がスウェーデンなものか!?
スウェーデンみたいに冬のスポーツはできない。富山は雪国だからみんなスキーが得意と思われているが、スキー場まで雪が多くて行けなかったのだ。

※2019/1/30の朝日新聞に記事が出た。
(論壇時評)富山=北欧論争 リベラルは上滑りなのか 歴史社会学者・小熊英二
どうでもいいけどね、マイナス面も書いてあるから済むという問題ではない。
一昨日昨日と町内の人が亡くなり、一人暮らし世帯が増えてゴミ出しにも支障が出て苦労している過疎地域の現実がまるで調べないでユートピアを描いても意味がない。
大体、外国に正解があるような幻想を持つとは学者とは思えない。
昨日はNHKで市議会議長の不正と用水路事故で富山がハイライトされていた。家族3人を用水で亡くした女性が出ていた。転落事故はずっと全国一だ。
ひとの土地を物知り顔でカタルのは異文化理解ができていない小中学生より害毒だ。

※東京新聞に「富山=日本の北欧 論争 中島岳志亅が出て検索すれば読めると思います。
※斎藤美奈子『忖度しません』(筑摩書房)に忖度なしのツッコミが載っています。ちなみにこのレビューも引用されています。紹介されている『富山の逆襲』に書いてある富山の進学校の理想のモデルは東大→官僚というのはひしひしと感じるところで、相手にされなかった子ども二人とも「エリート校」が大嫌いになっていました。
※2022年積水ハウスの男性の育児参加に関する独自の調査で「男性の家事・育児力」のランキングで首位が高知県で、石川県は26位、富山県は45位。
※富山で暮らすことについては絲山秋子『まっとうな人生』が最高です。コロナ禍で大雪だった頃がそのまま表現されています。「高周波文化ホール」が「白い服を着た宇宙人みたいな人たちに取り囲まれて、MRIみたいな変な音のする装置に入れられそうな気がしたものだ」と書いている。
※ 女性の転出は “男性の9倍” で2024年4月で100万人を割る。
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