2025年08月15日 ロシア軍事演習で中国潜水艦の実態露呈 中露「海上連合2025」と情報戦
ロシアと中国が実施した合同軍事演習「海上連合2025」では、中国のキロ級潜水艦「長城210」号の存在がロシア側によって公表されました。中国は当初、国営メディアで潜水艦の参加を伏せ情報統制を図りましたが、ロシアメディアが写真や映像を公開したことにより、実態が明らかになりました。
「長城210」号はロシアから購入した旧式キロ級潜水艦であり、中国は新型と称していません。キロ級潜水艦は1970年代に旧ソ連が設計したもので、現在でも対艦・対潜任務に使われますが、技術的には古い型とされています。中国は原子力潜水艦の開発を目指していますが、現状はまだロシア製の通常型潜水艦に依存し、国産での模倣や改良を続けている段階です。
合同演習では潜水艦を含む両国の参加艦艇一覧がロシア側から公開され、中露の軍事技術面や外交戦略上の弱点が浮き彫りとなりました。また、演習は敏感な対潜演習でありながら、ロシアは敵潜水艦の発見・撃破という実績を演習後に詳細に発表し、米国に向けたメッセージとしました。中国側はこれを理解しつつも、報道は控えめにとどまりました。
さらに、演習中にロシアが中共軍に救助技術や医療装備を披露したこともあり、中国海軍がロシアから技術面で依然学んでいることも示されました。総じて、中国側は潜水艦の参加を隠そうとしたものの、ロシアの情報公開によって実態が露呈し、両国の軍事協力には温度差や複雑な思惑があることが明確になりました。中国は派手な宣伝を避けつつ、演習での役割を果たしましたが、ロシア支持を示しながら米国や同盟国からの警戒を避けるための慎重な情報統制が背景にあります。
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