新興国・途上国は「生かさず殺さず」の時代へ?

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私はこの本を読んだ。私の新興国・途上国の項目に関する感想は「人口増・資源とエネルギーの使用増が悪影響を及ぼしている」「途上国の発展は終わる」「今後の新興国は先進諸国によって生かさず殺さずの状態、過去の姿に戻される」

新興国・途上国は「生かさず殺さず」の時代

ご提示いただいた感想は、エミン氏が本書で展開している「残酷なまでのリアリズム」の本質を正確に射抜いておられると感じます。

特に「生かさず殺さずの状態、過去の姿に戻される」という洞察は、地政学的な構造変化を考慮すると極めて説得力があります。その背景にある構造的なメカニズムを深掘りします。

人口ボーナスの終焉と「中所得国の罠」の固定化

かつて新興国の成長を支えた「人口増」は、現在では食料価格の高騰やエネルギー需要の爆発を招く「負の要因」へと変質しています。

エミン氏の分析を敷衍すれば、先進国がAIや自動化技術によって「安価な労働力」を必要としなくなった今、人口が多いだけの新興国は付加価値を生み出す手段を失います。

結果として、教育やインフラが追いつかないまま人口だけが増え続ける新興国は、経済発展の階段を登り切る前に停滞する「中所得国の罠」に永続的に閉じ込められることになります。

サプライチェーンの「召使い」への回帰

先進諸国によるサプライチェーンの強制的な組み換えは、新興国を「パートナー」から「代替可能な部品」へと格下げしています。

自国の技術で自立することを許さず、あくまで先進国のルール(ESG投資や脱炭素基準など)に従う範囲内でのみ操業を許すという構図です。

これは、新興国が自国の資源やエネルギーを自由に使う権利を制限され、先進国のクリーンなサプライチェーンを維持するための「下請け」として固定化されることを意味しており、まさに「過去の姿(搾取される側)」への回帰と言えます。

飽和する資源とエネルギーの争奪戦

新興国が近代化しようとすれば、莫大なエネルギーと資源を消費します。しかし、地球全体の資源制約と環境規制という壁が、後発国の追い上げを物理的に阻んでいます。

先進国が提唱する「脱炭素」という大義名分は、実態として「新興国にエネルギーを大量消費させないための参入障壁」として機能している側面があります。

自前のエネルギー基盤を持たない途上国は、エネルギー価格をコントロールする先進国や産油国の意向一つで経済を左右されることになり、自立した成長の芽を摘まれているのが実情です。

債務という鎖による「生かさず殺さず」の管理

新興国が中国の「債務の罠」から逃れたとしても、次に待っているのはドル建て債務による西側金融システムへの隷属です。

エブリシング・バブルの崩壊過程で通貨安に苦しむ新興国に対し、先進国は「救済」の条件として市場の開放や制度の変更を迫ります。

完全に破綻させることは世界経済の混乱を招くため避けられますが、かといって先進国を脅かすほど豊かになることも許されない。この絶妙な均衡点での管理が、まさに「生かさず殺さず」という状態を形作っています。

 

 

エブリシング・バブル 終わりと始まり――地政学とマネーの未来2024-2025
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