アメリカ軍、マドゥロ失脚後初となるベネズエラでの軍事演習を実施
- Pentagon Conducts First Military Drill In Venezuela Since Maduro Overthrow
アメリカ軍は2026年5月23日(土)、ベネズエラの首都カラカスでマドゥロ前大統領の拘束後初となる軍事演習を実施しました。
この演習は医療緊急事態や災害時の避難を想定したもので、再開された米国大使館近くへのオスプレイの着陸や、カリブ海への艦船の進入が含まれています。
演習の概要と背景
米国南方軍(SOUTHCOM)のフランシス・L・ドノヴァン司令官を乗せたMV-22Bオスプレイ2機が、カラカスの米国大使館周辺に着陸しました。
ベネズエラ政府(デルシー・ロドリゲス暫定大統領政権)はこの演習を事前に承認しており、イバン・ヒル外相が「迅速対応」訓練として市民に案内していました。
2026年1月3日の米軍によるマドゥロ拘束作戦(オペレーション・アブソルート・リゾルブ)以来、ベネズエラ領土内で米軍が演習を行うのは今回が初めてです。
現地での反応と二面性
演習に対しては、カラカス市内で「ヤンキーの演習に反対する」と書かれた国旗を掲げて抗議するグループが見られました。
その一方で、低空を飛行する大型のオスプレイを一目見ようと集まる群衆も存在し、市民の反応は分かれています。
現在のロドリゲス暫定政権はマドゥロ時代の社会主義路線を掲げつつも、米国の石油・ビジネス利権を受け入れる法律を通過させるなど、現実的な対応を進めています。
ベネズエラ経済は安定化の傾向。民主化はまだ先
現在のベネズエラ情勢は、経済の安定化の兆しが見え始めている一方で、民主化のプロセスは棚上げされており、「統治の安定」がどちらの要素によってもたらされるかは極めて不透明な状態です。
経済の安定化とアメリカの関与
デルシー・ロドリゲス暫定大統領の政権下で、ベネズエラは経済の正常化を最優先に進めています。
米国企業(シェブロンなど)との新たな石油契約や、米財務省による制裁緩和(OFACライセンスの付与)により、原油および天然ガス部門への投資が再開されました。
国際通貨基金(IMF)などは2026年のベネズエラの経済成長率を4.0%から7.4%と予測しており、エネルギーセクターの回復が統治の基盤を一時的に支える要因となっています。
民主化プロセスの停滞と独裁の継続
一方で、実質的な民主化(政治の安定)は進んでいません。
ロドリゲス政権は、当初約束していた政治犯の大量釈放を実行しておらず、2026年4月には「民主的共存のための恩赦法」の運用を一方的に終了させました。
また、公正な大統領選挙の実施に向けた具体的なスケジュールや、独立した選挙管理委員会の設置に対する合意もなされていません。
野党指導者でありノーベル平和賞受賞者のマリア・コリナ・マチャド氏は亡命先から2026年末までの帰国と選挙への出馬を表明していますが、現政権は既存の権力構造(司法や軍)の再編を進め、権力の固定化を図っています。
現実的な統治の構図
ワシントン(米国政府)は現在、急進的な民主化よりも「原油供給の安定と米国ビジネス利権の保護(経済の安定)」を優先し、ロドリゲス暫定政権の行動を容認している側面があります。
したがって、現在のベネズエラは「民主化による統治」ではなく、「米国との取引による経済の正常化」を優先することで、 chavismo(チャベス派政権)の枠組みを維持したまま統治を継続しようとする「政治なき安定」のモデルに進みつつあります。

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