フェンタニルはどれほど強力で、なぜ違法薬物市場で重宝されるのか
フェンタニルの強力さと危険性
- フェンタニルは合成オピオイドの一種で、医療用としては強力な鎮痛剤ですが、違法薬物として流通すると極めて危険です。
- モルヒネの約100倍、ヘロインの約50倍もの鎮痛効果があり、わずか2mg(塩の数粒程度)が致死量とされています。
- 脳の血液脳関門を容易に通過し、少量でも急速に強い多幸感や鎮痛効果をもたらしますが、その分、効果が切れるのも早く、強い禁断症状や依存を引き起こします。
なぜ麻薬の売人にとって都合がいいのか
- コストと効率:フェンタニルは非常に少量で効果があるため、運搬や隠匿が容易です。アメリカ全土に出回っている量は「トラック1台分」にも満たないとされます。
- 製造の容易さ:化学合成で大量生産でき、モルヒネやヘロインのようにケシ畑を必要としません。
- 混ぜ物としての利用:売人は他の違法薬物(ヘロイン、コカイン、メタンフェタミンなど)にごく微量のフェンタニルを混ぜて流通させます。これにより薬物の「効き」を強め、依存性を高めてリピーターを増やす狙いがあります。
- 利益率の高さ:少量で強い効果があるため、同じ量のヘロインやコカインよりもはるかに高い利益が得られます。
社会への影響
- フェンタニルの過剰摂取による死者は2013年から2023年の10年間でアメリカだけで40万人を超えています。
- 2023年にはアメリカの麻薬取締局(DEA)が1億1500万錠以上のフェンタニル入り錠剤を押収し、そのうち70%は致死量を超えるフェンタニルが含まれていました。
- 他の薬物に混ぜられていることが多く、利用者が知らずに致死量を摂取してしまうケースも多発しています。
まとめ
フェンタニルは「最悪の薬物」とも称されるほど強力かつ危険であり、その高い効力と製造・流通の容易さから、違法薬物市場で売人にとって極めて都合の良い存在となっています。極少量で致死的なため、利用者だけでなく社会全体に深刻なリスクをもたらしています。
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