バンク・オブ・アメリカ「ピークは近い、株を売れ」ゴールドマン・サックス「過熱気味だから短期的には株価は下がる。中長期ではまだ上がる」

「あと一歩」:ゴールドマン・サックスの米国株式チーフストラテジストが、株式市場の熱狂度(過熱感)を評価する

  • ‘Getting Closer’: Goldman Chief US Equity Strategist Evaluates Equity Market Exuberance

ゴールドマン・サックス(GS)の米国株チーフストラテジスト(ベン・スナイダー氏)の見解によると、足元の米国株式市場の急速な上昇は「根拠のある業績成長」に裏付けられており、過去の投機バブル(1999年や2021年)とは性質が異なります。

ただし、市場のモメンタム(勢い)の急激な高まりや、特定の大型ハイテク株への極端な集中(狭い市場の広がり)は、市場がピークに「近づきつつある(Getting Closer)」ことを示す警戒シグナルとして評価されています。

市場の過熱感(Exuberance)に対するGSの分析

現在の市場上昇と、過去の歴史的なバブル期における株価バリュエーション(投資尺度)や市場構造の違いは以下の通りです。

  • 株価収益率(P/E倍率)の比較
    過去のピーク時、市場を牽引する上位10社の中央値P/E倍率は、1999年のITバブル期が50倍、2021年のコロナ禍明けが40倍に達していました。これに対し、現在の主要大型株のP/E倍率は30倍前後に留まっており、株価の上昇が企業の利益成長(EPSの拡大)と概ね一致しています。
  • 利益成長の背景
    現在の市場を牽引しているのは、人工知能(AI)インフラ投資に伴う爆発的な企業利益の増加です。2026年のS&P500の企業利益(EPS)は前年比24%増の340ドルに達すると予想されており、この強固なファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)が株価を支えています。GSはこれを理由に、2026年末のS&P500の目標値を従来の7,600から8,000へと引き上げています。

3.ピーク接近を示唆する警戒シグナル

一方で、チーフストラテジストは市場がピークに近づいているサインとして、以下の動向に注意を促しています。

  • 投機的熱狂と市場の集中
    過去の高バリュエーション・高集中型(一部の銘柄に資金が集中する)の強気相場が終焉を迎える際に見られた「投機的熱狂」のダイナミクスが、足元で徐々に強まっています。市場の広がり(上昇銘柄の多様さ)が限定的であり、少数の銘柄に依存した上昇である点はリスク要因です。
  • センチメントの急速な回復
    投資家の心理状態を示すGSの米国センチメントインジケーターは、一時期のマイナス圏からプラス0.8へと急回復しています。これは過去の過熱相場のピーク(歴史的な天井)ほどの極端な水準には達していないものの、市場における「恐怖よりも強欲(Greed over Fear)」の割合が増していることを示しています。

結論として、現在の株価上昇は企業業績を反映した健全な側面が強いものの、上昇の速度と市場の集中度が歴史的な警戒水準に「接近しつつある」という二面性を持った局面であると評価されています。

 

 

「危険信号が多すぎる」バンク・オブ・アメリカ、ITバブルとの類似性の急増を受けて顧客に「利益確定」を指示

  • “Too Many Red Flags”: BofA Tells Clients To “Take Profits” Amid Spike In Dot Com Bubble Similarities

この記事は、2026年6月にハイテク株を中心とした大幅な急落が発生したことを受け、ウォール街の専門家の間で意見が分かれている状況を伝えています。

バンク・オブ・アメリカ(BofA)などの慎重派は、現在の市場がITバブル(ドットコムバブル)の崩壊前に酷似しており、危険信号(レッドフラッグ)が多すぎるとして、利益確定売りを推奨しています。

一方で、今回の急落を一時的なものと捉え、年末に向けた業績成長を背景に「押し目買い」を勧める大手金融機関も存在します。

急落の規模と特徴

今回の市場の動きには、以下のような特徴が見られます。

  • AI関連の株価上昇が9週間でストップし、ハイテク株が急落した。
  • フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が1営業日で10%以上下落し、2020年以来の最大の下落率を記録した。
  • この急落は「レッドソックス」とも呼ばれ、1994年のデータ算出開始以来、史上4番目に悪い下落幅となった。
  • SOX指数のワースト5取引日の内訳は、2000年(ITバブル崩壊期)が2日、2020年(コロナショック期)が2日、そして今回の2026年が1日となり、過去の歴史的危機の局面に匹敵する規模となっている。

 

 

リスクのバランスは依然として強気派に有利

  • 場の逆風対追い風に関するゴールドマン・サックスのパスクアリエロ氏の見解

‘Balance Of Risks Still Favor The Bulls’: Goldman’s Pasquariello On Market Headwinds Vs Tailwinds

ゴールドマン・サックス(GS)のヘッジファンド・カバレッジ部門責任者であるトニー・パスクアリエロ氏は、現在の市場を取り巻く逆風(ヘッドウィンド)と追い風(テイルウィンド)を比較した上で、リスクのバランスは依然として強気派(買い手側)に有利であるとの見解を示しています。

企業の堅調な業績拡大やAI関連の強力な投資需要が主導するマクロ経済の底堅さが、現在の市場にとって最大の追い風となっています。

主な追い風(THE TAILWINDS)

ゴールドマン・サックスが分析する、株式市場のさらなる上昇を支える具体的な追い風要因は以下の通りです。3つ(あるいはそれ以上)の要素が市場の強力な推進力となっています。

企業業績(堅調なEPS成長)

マクロ経済の減速懸念や地政学的な緊張が一部で見られるものの、米国企業の利益(EPS)は市場の予想を大きく上回るペースで拡大を続けています。

2026年第1四半期のS&P500構成企業の利益成長率は前年同期比で約25%から28%に達しており、これが株価の下値を支える最も強力なファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)となっています。

AI(人工知能)による技術革新の波

人工知能(AI)のインフラ投資や企業のデジタル化投資が、スーパーサイクル(長期的な需要拡大期)を迎えています。

大手テック企業による大規模な設備投資(カペックス)は2026年も継続しており、ソフトウェア、データセンター、半導体、電力インフラなど多岐にわたるセクターに巨額の資金が流れ込み、市場全体の活力を生み出しています。

民間セクターの底堅さとM&Aの活発化

景気後退(レセッション)のリスクは低く、米国の民間セクターは極めて頑健です。

さらに、中央銀行の政策金利の見通しが徐々に明確化してきたことで、企業の最高経営責任者(CEO)のセンチメント(投資意欲)が改善し、大型のM&A(企業の合併・買収)や新規株式公開(IPO)の動きが劇的に加速しています。資金の流動性が高く、前向きな投資が行われていることが市場の安心感につながっています。

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