急速に変化する米国政治
- ロサンゼルスで移民摘発めぐり抗議激化 トランプ政権が州兵2000人派遣
ロサンゼルスでの現状
- 2025年6月、トランプ政権による不法移民摘発の強化を受けて、ロサンゼルスでは大規模な抗議デモが発生し、一部が暴徒化しました。6月6日、移民・関税執行局(ICE)がロサンゼルス郡全域で一斉検挙を実施したことをきっかけに、デモ参加者が連邦当局と衝突し、ロイバル連邦ビルへの強制侵入を試みるなど緊張が高まりました。
州兵派遣の決定と背景
- トランプ大統領は、暴動の拡大と治安悪化を受け、州兵2,000人の派遣を命じる大統領覚書に署名しました。ホワイトハウスは「状況は悪化の一途で、無法地帯に対応するため」と説明していますが、カリフォルニア州のニューサム知事は「緊張を激化させる」として州兵派遣に反対しています。
現地の対応と反発
- ICEは、連邦政府の建物がデモ隊に包囲され、職員が襲撃された際にロサンゼルス市警に複数回通報したものの、対応に2時間以上かかったと主張。一方、市警側は「安全な状況が許す限り迅速に動員した」と反論し、現場の混乱が浮き彫りとなっています。
全米に広がる抗議の波
- ロサンゼルスだけでなく、全米各地でもトランプ政権の移民政策や強制送還、富裕層優遇策などに対する抗議デモが相次いでいます。5月1日のメーデーには、200以上の団体が連携し、移民政策や司法への圧力に反発する大規模なデモが全米で行われました。
政治の急速な変化と社会の分断
- トランプ大統領が2025年1月に2期目を開始して以降、不法移民の大量強制送還政策に対する反発が強まり、カリフォルニア州をはじめとする多くの州で抗議運動が頻発しています。政権の強硬な対応と、それに反発する市民・地方政府の対立は、米国社会の分断と政治情勢の急速な変化を象徴しています。
まとめ
- ロサンゼルスでの移民摘発強化に対し、抗議デモが激化し一部暴徒化。
- トランプ政権は州兵2,000人を派遣し、治安維持を図るも、州政府や市民の反発が強い。
- この動きは全米に波及し、米国社会の分断と政治の急変を浮き彫りにしている。
激変する中国 黙らせる者と叫び続ける者
- 「天安門事件」前後にネット配信者が大量封殺 中国で強まる言論統制
天安門事件から36年、言論統制がかつてなく強化
- 中国共産党はここ数年、「ネット浄化」を名目とした「清朗行動」を継続し、ネット上の言論統制を年々強化しています。特に天安門事件の記念日である6月4日前後は「敏感日」とされ、当局による監視と検閲が一層厳しくなります。
ネット配信者への大規模な弾圧
- 2025年の天安門事件36周年を前に、中国では数十万人のフォロワーを持つ人気ネット配信者が、理由も告げられないまま次々とアカウントを凍結・削除される事態が発生しました。中国版TikTok「抖音(ドウイン)」で活動していた配信者・易(えき)さんは、配信中に「今日は敏感日だからネットにアクセスできない人も多い」と発言しただけでアカウントを封鎖されたと証言しています。
- このような措置は、投稿の削除や配信禁止、アカウント凍結など、手段を選ばず行われており、当局は「ネット秩序の整備」と正当化していますが、市民の間では「影響力のある発信者を事前に排除するための粛清」との認識が広がっています。
徹底した情報封鎖と若者への影響
- 天安門事件に関する情報はインターネットや生成AIでも検索できず、学校教育でも一切教えられていません。事件を示唆するキーワードや絵文字(例えば「ろうそく」や「5月35日」など)も即座に削除される徹底ぶりです。そのため、中国国内の若者の多くは事件自体を知らないか、正確な情報にアクセスできない状況が続いています。
海外で続く叫びと記憶の継承
- 一方で、カナダやイギリス、アメリカなど海外では毎年天安門事件の追悼集会が開かれ、中国政府による言論弾圧への批判や事件の記憶を継承する動きが続いています。また、「中共との決別(三退)」運動も広がりを見せており、国外の中国人や民主活動家らが声を上げ続けています。
まとめ
- 天安門事件前後、中国当局はネット配信者やSNSの発信者を大規模に封殺し、言論統制を強化
- 事件に関する情報はネット・AI・教育現場から徹底的に排除
- 若者世代の多くが事件を知らず、国内での記憶の継承が困難に
- 一方、海外では記憶と批判の声が受け継がれている
このように、中国国内では「黙らせる者」と「叫び続ける者」の対立が鮮明となっており、言論の自由をめぐる攻防が続いています。
22世紀の民主主義 選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる
現代の民主主義は機能不全
この書籍は、現代の民主主義の機能不全を鋭く指摘し、従来の「選挙」や「政治家」といった枠組みを根本から問い直す内容です。成田氏は、「若者が選挙に行っても日本は変わらない」と断言し、政治参加のあり方そのものではなく、「選挙や政治、民主主義というゲームのルール自体」を変革することの重要性を説きます。
1. 民主主義の機能不全とその要因
- 現代の民主主義は、SNSやインターネットの発達によって意見が拡散し、従来のような「熟議」や「選挙」が機能しなくなっていると指摘。
- 選挙はリアルタイムで民意を反映できず、偏った意見が政策に反映される危険性がある。
2. 「無意識民主主義」の提案
- 成田氏は、「選挙抜きの民主主義=無意識民主主義」を提唱。
- 技術革新によって収集・解析可能となった膨大なデータをもとに、人々の選好や価値観を量的に把握し、エビデンスに基づいて政策を決定する仕組みを描く。
- このプロセスでは選挙も熟議も不要となり、政治家の能力も問われなくなる。バイアスを排除した政策決定が可能になるとする。
3. 「政治家はネコになる」の意味
- データとアルゴリズムが民意を直接反映し、政策決定を自動化する未来では、従来型の政治家は不要になる。
- 極端な例えとして「政治家はネコでもよい」とすることで、政治家の存在意義そのものを問い直している。
目次構成(抜粋)
第1章:故障(民主主義の機能不全の現状分析)
第2章:闘争(現状の民主主義に対する批判と試み)
第3章:逃走(既存制度からの離脱・代替案の模索)
第4章:構想(選挙なしの民主主義、アルゴリズムによる自動化、政治家不要論)
評価と位置づけ
- 成田氏の提案は、従来の民主主義論を超え、AIやビッグデータ時代の「新しい民主主義」の可能性を大胆に描いています。哲学者・東浩紀氏の「一般意志2.0」とも比較されるが、成田氏はリアルタイムで民意を可視化し政策へ反映する仕組みをより積極的に評価しています。
まとめ
- 『22世紀の民主主義』は、現代民主主義の限界をデータとアルゴリズムの力で乗り越え、「選挙も政治家も不要な民主主義」の未来像を提示する、唯一無二の問題提起書です。