トランプ「防衛費は自分で負担すべきであり、これ以上の補助はしない」今後、日本やアジア各国は中国の軍事力に対してアメリカを頼れない

トランプ氏の後退に伴い、アジアは中国への対応を迫られる

  • アメリカの欧州に対する取引的なアプローチが、アジアにも波及している。

Asia reckons with China as Trump pulls back. America’s transactional approach to Europe is carrying over to Asia.

アメリカのトランプ政権が、アジアの同盟国に対しても「防衛費は自分で負担すべきであり、これ以上の補助はしない」という厳しい姿勢を示しました。これにより、日本やアジア各国は中国の軍事力に対してアメリカを頼り切れなくなり、独自の外交や防衛の道を模索し始めています。

シンガポールで開催された安全保障会議(シャングリラ・ダイアログ)において、アメリカのピート・ヘグセス国防長官は、同盟国に対して防衛費をGDPの3.5パーセントまで引き上げるよう強く求めました。

アメリカがアジアの防衛から一歩引く姿勢を見せたことで、これまでアメリカの後ろ盾を頼りに中国と対峙してきたアジア各国に動揺が広がっています。

会議の場では、アメリカへの信頼を口にしつつも、裏では「アメリカなき後のアジア」を真剣に検討する動きが見られました。

日本は防衛費の大幅な増額を進めつつも、中国との直接対話の機会を模索しています。

フィリピンやインドなどの周辺国も、中国との決定的な衝突を避けるために慎重な態度を取り、警戒を強める中国メディアとの接触を避けるなどの動きを見せました。

一方の中国は、軍内部での大規模な粛清が続いているものの、会議の場では強硬な姿勢を崩していません。

中国の学者や軍関係者は、アメリカの将官や日本の防衛大臣に対して過去の歴史や発言を引き合いに出して直接抗議を行うなど、外交的な配慮を欠いた強気な主張を展開しています。

 

 

日本やアジア諸国にある米軍基地は撤退するのか?

現時点で、日本やアジア諸国にある在日米軍や在韓米軍などの基地が、すぐに全面撤退する計画はありません。

アメリカのトランプ政権の基本方針は、基地を引き揚げることではなく、「同盟国側がもっと防衛費を支払い、自分の国は自分で守る能力を高めよ」という負担増の要求(ディール)です。アメリカ自身もアジア太平洋地域を重要な拠点と位置づけており、基地のネットワークを維持しつつ、運用のあり方を変えていく方針をとっています。

ピート・ヘグセス国防長官の演説が示す通り、トランプ政権の狙いは「アメリカが一方的にコストを支払う関係の終了」です。

基地をなくすのではなく、駐留経費の負担割合(思いやり予算など)の大幅な引き上げや、同盟国自身の防衛費(GDP比3.5パーセントなど)の増額を迫ることが主な目的です。

アメリカはアジア太平洋地域を「国家の安全保障と経済において最重要の地域」としています。中国の軍事拡大に対抗するため、米軍の存在自体は不可欠と考えているのが現状です。

ただし、一つの巨大な基地に兵力を集中させるのではなく、攻撃を分散させるために「分散配置」を進めるなど、運用の最適化を進めています。

今後は、在日米軍や在韓米軍の駐留経費をめぐる交渉が本格化します。

アジア諸国がアメリカの要求する負担増を受け入れ、自国の防衛力を強化できるかどうかが、今後の米軍基地の規模や体制を左右する大きな焦点となります。

 

 

日本は「思いやり予算」としてアメリカに払っている

日本が「思いやり予算(在日米軍駐留経費負担)」としてアメリカに支払っている費用は、在日米軍基地で働く日本人従業員の給与、光熱水費、訓練移転費、施設整備費などです。

この予算は日米地位協定の原則を超えて、日本側が「思いやり」として自主的に負担を始めたものであり、現在は数年ごとに特別な取り決め(特別協定)を結んで金額や負担範囲を決定しています。

日米地位協定の本来のルールでは、米軍の維持に関わる基本的な経費はアメリカ側が支払うことになっています。しかし、アメリカの財政悪化や円高が進んだ1970年代後半から、日本が特例として負担を開始しました。

主な負担項目は以下の通りです。

  • 労務費:
    基地で働く日本人従業員の基本給や手当
  • 光熱水費:
    基地内で消費される電気、ガス、水道の料金
  • 訓練移転費:
    周辺地域への配慮から、訓練場所を別の地域や海外(グアムなど)へ移転させるための費用
  • 施設整備費:
    基地内の隊舎や家族住宅、福祉施設などの建設・改修費

近年は、単純に米軍の運営費を肩代わりするだけでなく、日米の共同訓練や基地の即応性を高めるための「資機材・訓練環境の調達」といった、同盟を強化するための性質を持つ費用への移行が進んでいます。

金額については、日本の財政状況や日米関係の動向をにらみながら、およそ5年ごとに政府間で「特別協定」を更新し、総額や各項目の上限を設定しています。

 

 

アジア諸国も「思いやり予算」としてアメリカに払っている?

日本以外の多くのアジア諸国は、日本と同じ「思いやり予算」という名称ではありませんが、在留米軍の費用を分担する「防衛費分担(コスト・シェアリング)」という仕組みでアメリカに資金を提供しています。

特に韓国は、日本と同様に明確な政府間協定を結び、毎年多額の駐留経費を負担しています。一方で、フィリピンやシンガポールなど常駐の米軍基地がない国々は、現金での維持費支払いではなく、共同訓練の受け入れや港湾施設の利用協力といった形で負担を担っています。

韓国には約2万8,500人の在韓米軍が駐留しており、日本と非常によく似た負担を行っています。

  • 米韓防衛費分担特別協定(SMA):
    数年ごとに協定を更新し、総額を決めています。
  • 主な負担項目:
    基地で働く韓国人従業員の労務費、軍事建設費、物流支援費などです。
  • 負担の性格:
    これも日米地位協定と同様、本来は米側が負担する原則になっているものを、韓国側が特別に負担する形をとっています。

常駐の巨大な米軍基地を持たない国々は、日本や韓国のように現金を直接支払う形とは異なるアプローチをとっています。

  • フィリピンやオーストラリア:
    米軍が一時的に滞在したり、共同で利用したりする施設の建設費や改修費を分担しています。
  • シンガポール:
    米軍の艦船や航空機が立ち寄る際の、港湾や基地施設の優先的な利用を認めることで貢献しています。

このように、現金を直接支払う仕組み(日本・韓国型)と、土地や施設の利用・共同訓練を支援する仕組み(東南アジア型)に分かれていますが、いずれの国もアメリカから「さらなる負担増」を要求されているのが現状です。

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