中南米ではラセンウジバエをどのように対処しているか

Screwworm

アメリカ農務省、野生動物のラセンウジバエ駆除に向け飼料へのイベルメクチン添加を試験運用へ

  • USDA To Trial Ivermectin In Feed To Control Screwworm In Wild

アメリカ農務省(USDA)は、国内で再発生した新世界ラセンウジバエ(New World Screwworm)の野生動物への感染拡大を防ぐため、経口飼料にイベルメクチンを混ぜて野生動物に投与する試験運用の検討を開始しました。

ラセンウジバエ再発生の背景と現状

アメリカ国内において過去60年間確認されていなかった新世界ラセンウジバエが、テキサス州の牛やニューメキシコ州の犬などで相次いで確認されました。

この寄生虫は温血動物の傷口に卵を産み付け、孵化した幼虫(ウジ)が健康な生きた肉を食い荒らすため、家畜だけでなく野生動物やペットにも重大な脅威となります。

イベルメクチン飼料の試験運用

USDAのラセンウジバエ局長であるマイケル・シュモイヤー氏によると、野生動物の間での感染および拡散を抑制するため、イベルメクチンを配合した飼料を野生環境に配置する試験に乗り出す方針です。

家畜に対しては、すでに緊急使用許可(EUA)を受けたイベルメクチンなどの注射剤や外用薬が使用されていますが、広範囲に生息する野生動物に個別の注射を打つことは不可能なため、経口摂取によるアプローチが模索されています。

テキサス州などでは野生動物への補給給餌が広く行われている背景もあり、処理されたトウモロコシやプロテインペレットなどの飼料を通じて薬を届ける方法が最も現実的かつ効果的であると考えられています。

根絶に向けたその他のアプローチ

ラセンウジバエの完全な根絶には、不妊化させた雄のハエを大量に放出して繁殖を阻害する「不妊虫放飼法(Sterile Fly Technique)」が不可欠とされています。

現在、アメリカ政府はパナマにある既存の施設から不妊ハエを調達して散布しているほか、テキサス州に新たな大量生産施設の建設を進めるなど、複数の防衛策を同時に展開しています。

イベルメクチンの開発には北里大学の大村智特別栄誉教授が大きく貢献し、ノーベル生理学・医学賞を受賞したことでも知られています

 

 

温暖化によって新世界ラセンウジバエが中南米からアメリカに来た

地球温暖化や気候変動により中南米から北上し、アメリカへ侵入・拡大している「新世界ラセンウジバエ」は、生きた動物(人含む)の傷口に卵を産み付け、孵化した幼虫が肉を食い荒らす極めて危険な寄生バエです。新世界ラセンウジバエ(New World screwworm fly)に関する具体的な事実や現在の状況は以下の通りです。

特徴と危険性食性

成虫のメスは恒温動物(牛、羊、ペット、人間など)の新鮮な傷口や粘膜に数百個の卵を産み付ける。被害: 孵化したウジ(幼虫)は生きた組織に潜り込んで食い荒らし、組織の損傷や二次感染を引き起こす。家畜が死亡したり、人間が感染した場合は重篤な状態に陥る可能性がある。

アメリカへの拡大と原因かつての状況

アメリカでは徹底した根絶計画(不妊虫放飼など)により、数十年前に根絶が宣言されていた。侵入の再発: 数年前にパナマ・コロンビア国境の防衛線が突破され、中米地域を通って急速に北上を開始した。温暖化と拡散要因: 温暖化による生息域の拡大に加え、急増した移民や動物の移動に伴ってメキシコ国境からテキサス州などへ侵入。テキサス州などの子牛への感染や、渡航者(人間)への寄生例も確認されている。

アメリカ政府の対策不妊虫放飼

野生と交尾しても繁殖できない「不妊化」したオスのハエを大量に放出し、個体数を激減させる手法をとっている。国境での警戒: 米国農務省(USDA) は国境沿いに探知犬を配置し、感染した家畜やペットの持ち込みを厳重に監視している。

 

 

中南米では新世界ラセンウジバエをどのように対処しているか

中南米では、家畜の肉を食い荒らす「新世界ラセンウジバエ」に対し、放射線で不妊化した雄のハエを大量に放出して野生の繁殖を断つ「不妊虫放飼(SIT)」を中米各国と協力して実施し、防除を行っています。

具体的な対策手法は以下の通りです。

不妊虫放飼(SIT)の実施

放射線を当てて繁殖能力をなくした雄のハエを毎週数百万〜数十億匹の規模で野生環境に放ちます。野生の雌と交尾させることで、孵化しない卵を産ませて世代を重ねるごとに個体数を激減させます。

検疫とバリアの構築

拡散を防ぐため、地域間の移動や国境検疫で動物や家畜の検査を徹底し、ハエの移動を物理的に遮断しています。

傷口の治療と殺虫剤の使用

既に寄生された家畜に対しては、幼虫の摘出や傷口の徹底的な消毒、殺虫剤による局所的な処置が行われます。

監視ネットワーク

アメリカ合衆国農務省(USDA)や国連食糧農業機関(FAO)なども協力し、中南米諸国と連携して定期的なモニタリングを実施し、被害拡大を監視しています。

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