世界で進む「富の移転」 富裕層に一番人気はUAE、流出著しいのは英国と中国
流入(移住先) 純流入人数(2025年予測)
- アラブ首長国連邦(UAE) +9,800人
- 米国 +7,500人
- サウジアラビア +2,400人
流出(移住元) 純流出人数(2025年予測)
- 英国 -16,500人
- 中国 -7,800人
富裕層の移動が加速
- 2025年、世界では過去最大規模となる約14万2,000人の富裕層(投資可能資産100万ドル以上)が、居住権や市民権を求めて国外に移動すると予測されています。
- 2026年にはこの数が16万5,000人に達する見込みです。
- UAEは世界で最も富裕層に人気のある移住先となり、2024年の6,700人から2025年には9,800人へと大幅増加。
- サウジアラビアも急速に人気を伸ばし、2025年は2,400人以上の富裕層が流入する見込みです。
- 米国も引き続き主要な富裕層の受け入れ国となっています。
流出が著しい国
- 英国は2025年、過去最大規模となる1万6,500人の富裕層が国外に流出すると予測され、世界最多となります。
- 中国も7,800人の流出が見込まれ、英国に次ぐ規模です。
英国の富裕層流出の背景
- 英国では、労働党政権による「富裕層課税」政策が大きな要因とされています。
- 具体的には、外国人居住者(ノンドム)への税制優遇措置の廃止や、海外資産への課税強化、キャピタルゲイン課税の引き上げなどが導入・表明され、富裕層の国外流出「Wexit(ウェグジット)」が拡大しています。
なぜ「富の移転」が重要か
- 各国は人材だけでなく、資本の獲得を巡って競争しており、これは経済的影響力の大転換を意味します。
- 例えばUAEは、包括的な政策革新を通じて、中東の金融ハブから世界的な富の中心地へと進化しています。
富裕層の移住の実態
- 富裕層の「移住」は必ずしも物理的な転居を意味せず、投資移民制度を利用して選択肢を増やすため、他国で居住権や市民権を取得するケースも多いと指摘されています。
まとめ
- 2025年、富裕層の「富の移転」は加速し、UAEや米国が最大の受け入れ国、英国と中国が最大の流出国となっています。
- 英国の流出増加は、税制改革など政策要因が大きく影響しています。
- 各国は富裕層の誘致を巡り、税制や投資環境の整備を強化しています。
超富裕層の人種差別戦略~善意の裏でボロ儲けするアメリカのビリオネアたち~
- アメリカ社会において人種差別や不平等がどのように超富裕層の利益と結びついているかを、データと具体的な事例をもとに明らかにする書籍です。
主な内容とテーマ
- 本書は「戦略的レイシズム」という概念を軸に、アメリカの少数のビリオネア集団がどのように公共政策を操作し、自らの富を増やしているかを暴露します。
- 具体的には、以下のような現象が取り上げられています。
- 公立学校の民営化推進
- 犯罪の厳罰化による刑務所人口の増加
- 移民取り締まりの強化
- これらの政策の背後には、世界的企業や超富裕層の利益追求があり、政策が彼らの利益に適うように活動する組織として「ALEC(アメリカ立法交流評議会)」が登場します。
- ビル・ゲイツ(マイクロソフト)、マーク・ザッカーバーグ(メタ)、ウォルトン一族(ウォルマート)などの著名な経営者たちが、こうした活動に巨額の資金を投じている実態が明かされます。
目次構成
序章 戦略的レイシズム
第1章 レイシズムでぼろ儲けする人々
第2章 才能を潰され、使い捨てにされる若者たち
第3章 あなたには厳罰を、私には奉仕と保護を
第4章 ジム・クロウからフアン・クロウへ
第5章 巨人を倒すために
著者について
- ジム・フリーマンは弁護士であり、デンバー大学社会運動支援研究所所長。オバマ政権下で教育改革やアフリカン・アメリカンの教育イニシアチブに携わった経験を持ち、制度的人種差別の解体に取り組んできた人物です。
本書の意義
- 本書は、表向きは「よりよい社会づくり」を掲げる超富裕層が、実際には人種差別や社会的不平等を利用して利益を上げている「見えない搾取」のメカニズムを明らかにし、格差社会の本質に迫っています。
『超富裕層の人種差別戦略』は陰謀論ではありません。
著者ジム・フリーマンは、オバマ政権下で教育改革に関わった弁護士であり、制度的人種差別の解体に取り組んできた実務家です。本書は、アメリカの公立学校民営化や刑務所人口の増加、移民取り締まり強化などの現象について、超富裕層や大企業の利益追求がどのように関与しているかを、データや具体的な事例に基づいて分析しています。
「戦略的レイシズム」という概念は、制度や政策の中に組み込まれた差別構造を批判的に検証する社会科学的なアプローチであり、根拠のない陰謀論とは異なります。本書の主張は、批判的人種理論(Critical Race Theory)などの学術的な枠組みにも関連しており、特定の集団が社会制度を利用して利益を得る構造的な問題を明らかにするものです。
まとめると、本書は陰謀論ではなく、制度的・構造的な差別と格差の実態を検証した社会科学・政策批判書です。