- 左派・・・「命を脅かす」といった表現で受給者の困窮を強調
- 右派・・・左派紙の報道姿勢を「騒ぎ立て」と批判
生活保護基準額引き下げの本当の「背景」を語らず騒ぎ立てる左派紙
引き下げの主な理由
- 物価下落(デフレ調整)
2008~2011年にかけて物価が4.78%下落したことを根拠に、2013年から生活保護費の引き下げが行われました。これが「デフレ調整」と呼ばれるものです。 - 低所得世帯との均衡(ゆがみ調整)
生活保護受給世帯の消費水準が、非受給の低所得世帯を上回っているという調査結果を受け、両者のギャップを是正する目的もありました。 - 5年ごとの基準見直し
制度上、5年ごとに生活保護基準の見直しが行われ、支給の長期化防止や自立支援強化の観点も背景にあります。
背景をめぐる論争
- 政府・自民党の立場
2012年の総選挙で自民党は「給付水準の原則1割カット」を公約に掲げ、生活保護の「正常化」や不正受給対策を理由に引き下げを進めました。 - 物価指数の算出方法への批判
引き下げの根拠となった「生活扶助相当CPI」には、生活保護世帯が実際にはあまり購入しない耐久消費財(テレビやパソコンなど)の価格下落が大きく反映されており、「物価偽装」との批判や恣意的な算出と指摘されています。 - 社会的な批判と裁判
生活保護費引き下げは「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する憲法25条に反するとの訴訟が相次ぎ、2024年には最高裁が国の対応を「違法」と判断する判決も出ています。
メディアの報道姿勢
- 左派紙の批判
引き下げに反対する立場から、「命を脅かす」といった表現で受給者の困窮を強調する報道が目立ちます。 - 右派・保守系論調
引き下げの背景として、不正受給や制度の持続可能性、受給者の「義務」などに焦点を当て、左派紙の報道姿勢を「騒ぎ立て」と批判しています。
まとめ
- 生活保護基準額引き下げの背景には、物価下落や低所得層とのバランス、制度見直しのサイクル、不正受給対策など複合的な要因がありました。ただし、物価指数の算出方法や引き下げの妥当性については専門家や司法からも厳しい指摘があり、社会的な議論が続いています。
- 生活保護制度について中高生にもわかりやすく解説した入門書です。生活保護を「生きていくための最後のとりで」と位置づけ、その歴史や現状、課題、他国の制度との違いなど、**今知っておきたいリアルな実態と「死なないノウハウ」**が詰まっています。
主な内容・特徴
- 生活保護はどんなときに利用できるのか
- 他国(韓国・ドイツなど)の生活保護制度との比較
- 子どもは高校・大学に進学できるのか、バイトをした場合どうなるか
- 生活保護をめぐる誤解や偏見、バッシングの実態
- 外国人の生活保護利用の現状と課題
- 貧困と生活保護の30年史
- 利用しやすい制度にするための提案や相談先情報
各章では、弁護士や研究者、支援者などの専門家インタビューも掲載されており、現場のリアルな声や具体的なケースが紹介されています。
目次(一部抜粋)
- 今、生活保護をめぐって起きていること
- 生活保護ってどんなもの?(弁護士インタビュー)
- 韓国・ドイツの生活保護制度
- 外国人と生活保護
- 貧困と生活保護の30年
- 巻末資料:全国の相談先・情報サイト
著者について
- **雨宮処凛(あまみや かりん)**は1975年生まれの作家・活動家で、貧困やプレカリアート問題を中心に執筆。反貧困ネットワーク世話人としても知られています。
- この本は、生活保護について正しい知識を持ち、「困ったときにどうすればいいか」を知るための実用的なガイドとして、若い世代だけでなく大人にも役立つ内容となっています。