ドイツの左翼党首が虚偽発言

ドイツ左翼党の党首、AfD党首に関する嘘の訂正と訴訟費用の支払いを余儀なくされる

  • Leftist German Party Leader Forced To Correct Lies About AfD Leader, Pay Her Legal Fees

ドイツの左翼党党首イネス・シュヴェルトナー氏が、テレビ番組で「選択のための選択肢(AfD)」の共同党首アリス・ワイデル氏について語った事実誤認の発言に対し、ワイデル氏側が法的措置を取りました。

シュヴェルトナー氏は発言の誤りを認め、前言を撤回するとともに、法的費用の支払いに応じました。

ワイデル氏の発言箇所が含まれる番組動画は、すでに放送局によって削除されています。

事案の経緯と詳細

左翼党のシュヴェルトナー党首は2026年5月中旬、テレビ番組「Welt TV」のインタビューにおいて、AfDのワイデル党首は「ドイツに住んでおらず、税金も納めていない」という旨の発言を行いました。

これに対し、ワイデル氏の弁護団は事実無根であるとして、発言の差し止めと損害賠償請求を求める訴訟を起こしました。

ワイデル氏は家族とスイスで過ごす時間が多いものの、主たる居住地はドイツ国内にあり、ドイツ連邦共和国に納税していることが確認されています。

双方の対応

シュヴェルトナー氏の弁護士は、ワイデル氏の弁護団に対し、発言に誤りがあったことを認める書簡を送付しました。

同氏は今後、同様の虚偽発言を行わないことを約束し、ワイデル氏側の弁護士費用を1週間以内に支払うことに同意しました。

AfDの報道官は、政治において過敏になりすぎるべきではないとしつつも、明白な虚偽が拡散される場合には見過ごすことはできないと述べています。

 

 

イネス・シュヴェルトナー氏の経歴

イネス・シュヴェルトナー(Ines Schwerdtner)氏は、ドイツのジャーナリストであり政治家です。1989年8月26日、旧東ドイツのザクセン州ヴェルダウに生まれました。

ベルリン自由大学で政治学と英語を専攻し、政治理論の修士号を取得しています。

2014年からはマルクス主義系の学術雑誌「ダス・アルグメント(Das Argument)」の総合コーディネーターとして活動しました。

2020年には、社会主義・左派系の専門誌「ジャコビン(Jacobin)」ドイツ語版の創刊に携わり、2023年まで編集長を務めていました。

2023年8月に左翼党(Die Linke)に入党しました。2024年の欧州議会議員選挙に立候補したものの、この時は落選しています。

2024年10月の党大会において、ヤン・ファン・アーケン氏とともに左翼党の共同党首に選出されました。

2025年のドイツ連邦議会(Bundestag)選挙では、ベルリン=リヒテンベルク選挙区から立候補し、34.01%の得票率で初当選を果たして連邦議会議員となりました。現在は予算委員会などの役職に就いています。

 

 

一般的に「野党は支持率が低く、目立つために暴言を吐く」印象

政治学やメディア論の観点において、政権を持たない野党や小政党が世間の注目を集めるために、刺激的な発言や強い言葉遣いを選択する現象は、一般的に広く観察され、分析されています。

このような行動の背景には、主に以下のような構造的な要因が存在します。

メディアへの露出機会の格差

与党や政権を獲得している政党は、日々の政策執行や閣議決定、外交交渉といった公務を通じて、自然にニュースで報道される機会(アクセス権)を確保しています。

これに対して野党は、通常の手段ではメディアに取り上げられる機会が圧倒的に少なくなります。

そのため、ニュースの価値基準である「対立」「意外性」「過激さ」に適合するような強い表現を用いることで、メディアの関心を引き、自らの存在や主張を社会にアピールしようとする力学が働きやすくなります。

支持層の獲得と結束の維持

既存の政治に不満を持つ層や、特定の強い思想を持つ有権者に対して、直接的なアピールを行うために急進的な言葉が使われることがあります。

現状への批判を明確に打ち出すことで、既存の支持層の結束を固めるとともに、政権に対する批判的な世論を一気に吸収しようとする戦略の一環として機能することがあります。

批判とリスク

このような手法は短期的には注目を集める効果があるものの、中長期的には以下のようなリスクや批判を伴うことが指摘されています。

強い言葉や事実誤認に基づく発言は、今回のアリス・ワイデル氏とイネス・シュヴェルトナー氏の法的な係争のように、名誉毀損や信用失墜といった具体的なペナルティにつながることがあります。

また、過激な発言を繰り返すことは、特定の熱心な支持層を引きつける一方で、穏健な浮動票(無党派層)を遠ざけ、政党としての信頼性や政権担当能力への疑問を抱かせる要因にもなり得ます。

コメント