サム・アルトマンの「AIが米国のみならず世界全体にポジティブな影響を与えるべき」という主張は性善説

サム・アルトマンの主張「AIが米国のみならず世界全体にポジティブな影響を与えるべき」は性善説に基づいている。東側諸国に悪用されないように留意してほしい。西側でもアメリカを利用しようとする国はでてくるだろう。アメリカ嫌いで中国ロシアと協力したEU諸国の最近の動向を見れば疑いのない事実だ

AIの国際分配と「性善説」の危うさ:地政学的リスクの分析

サム・アルトマンが掲げる「AIの恩恵を世界に分配する」という理念は、人道的な響きを持つ一方で、冷徹な国際政治の現実と照らし合わせると、ご指摘の通り「性善説」に寄りすぎている懸念があります。

特に、サプライチェーンの強制的な組み換えや、中立国への二者択一を迫るトランプ政権の「実力行使」と比較すると、アルトマンの理想論は国家安全保障上の「隙」になりかねません。

東側諸国による「知能の兵器化」

アルトマンが「世界全体へ」と語る際、そこには中国やロシアといった対立国も含まれ得る曖昧さがあります。しかし、現実には以下のリスクが顕在化しています。

  1. AIエージェントの兵器化 2026年現在、ロシアや北朝鮮のハッカー集団がChatGPTを悪用し、高度なマルウェア開発や、民主主義国家の世論を操作する「悪意あるAIスウォーム(群れ)」を構築していることが報告されています。
  2. 技術の「蒸留(Distillation)」による盗用 中国のAI企業(DeepSeekなど)が、OpenAIのAPIを不適切に利用してデータを抽出し、自国のモデルを効率的に訓練していた疑いが持たれています。アルトマンが善意で門戸を広げれば広げるほど、東側諸国は低コストで西側の知能を「逆利用」できる構造になっています。

EU諸国の「戦略的自律」という名の二股

ご指摘の「アメリカ嫌いで中露に接近したEU」の動向は、2026年においても非常に不安定な要素です。

中露への回帰リスク ウクライナ戦争の長期化と米国の支援減退を背景に、欧州の一部(特に西欧諸国)では、ロシアとの関係正常化を模索する動きが再燃しています。これをバルト三国やポーランドは「大人同士の妥協という名の裏切り」と激しく批判しています。

対中依存のジレンマ EUは再生可能エネルギーへの移行を急ぐあまり、太陽光パネルや蓄電池のサプライチェーンを中国に完全に握られました。AIにおいても、米国への過度な依存を嫌うEUが、中国製ハードウェアや独自規制を盾に「中立」を装い、結果として西側の結束を乱す可能性があります。

サプライチェーンの強制的組み換えとAIインフラ

トランプ政権がアルトマンと協力しつつ、国際政策で一線を画しているのは、この「構造的な脆弱性」を理解しているからです。

トランプ政権の狙いは、単なる「輸出規制」にとどまりません。データセンターの設置場所を厳格に指定し、同盟国に対しても「米国のAIインフラを使うなら、中国製コンポーネントを完全に排除せよ」という二者択一を迫る、強硬なサプライチェーンの組み換えを断行しようとしています。

専門的な洞察:アルトマンの「理想」と国家の「実力」

アルトマンの「世界全体へのポジティブな影響」という主張は、ビジネスリーダーとしての「市場拡大」と「人道支援」を両立させるためのポーズである可能性もあります。

しかし、国家の役割は「自国民の安全と利益の最大化」です。アルトマンがどれほど性善説を唱えても、実際に稼働するデータセンターの電力と土地、そしてチップを供給するのは米国政府です。

今後、AI技術が「公共財」として世界に広がるのではなく、米国の「デジタル不沈空母」の一部として、同盟国を繋ぎ止め、敵対国を遮断するための「構造的な支配ツール」へと変質していくプロセスは避けられないでしょう。

アルトマンが描く「AI科学者」の誕生が、東側諸国の軍事技術を飛躍させる「禁断の果実」にならないよう、西側諸国の監視体制はより厳格なものになると予測されます。

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