何年も前、カリフォルニアの山中に住み、三日前の株価しか入手していないのに大成功を収めている投機家の存在を知った

何年も前、カリフォルニアの山中に住み、三日前の株価しか入手していないのに大成功を収めている投機家の存在を知った。

彼は年に二、三回サンフランシスコの証券会社を訪ね、売買の注文を出していた。その証券会社によく通っ ていた私の友人が、興味をそそられ彼に質問をしたという。友人はそこで、その投機家が証券会社から遠く離 れたところに住み、めったに訪れることもなく、ごくたまに行くと莫大な量の注文を出すということを知って 驚愕した。

のちに彼を紹介されたとき、山奥に住むその投機家に、どうしてそんな離れた場所でマーケットの動きを追 うことができるのかを尋ねてみた。すると彼はこう答えた。

「私は投機が本職なんです。もし混沌とした中で小さな変動に心を乱され続ければ失敗するでしょう。だから 冷静でいられるように、相場から離れた場所にいたいのです。

リバモア流投機術
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マーケットで起きたことは記録しているので、そのデータを見ればマーケットがどういう状況にあるかにつ いてかなり明確なイメージが得られます。真の変動は始まった日には終わりません。本物の動きが終わるには 時間がかかりますからね。

山のなかに住んでいますから、株価が進展するのに要する時間を十分に費やせる状況にあるのです。ですが、 新聞から株価を拾い、場帳に書き留める日が来ます。記録した価格が、しばらくの間明確に描いてきたパター ンから外れたことに気づいたその瞬間、意を決するのです。私は街に出てやるべき仕事に取り掛かるんです」

これは何年も前の話だ。山中に住むその男は、長期にわたって株式市場から巨額の金を得た。彼は私にとっ て刺激剤となった。

ジェシー・リバモア 「リバモア流投機術」