山田 敏弘「ウクライナ側が先にロシア部隊に手を出したかのように見せることで、ロシアのウクライナ侵攻を正当化」

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ウクライナに童話「北風と太陽」の太陽のようにロシアが接すればこうはならなかった?

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2025年08月21日  「欧州が大半負担を」ヴァンス米副大統領 ウクライナの安全の保証

アメリカのヴァンス副大統領は8月20日、トランプ大統領が示した「ウクライナへの安全の保証」に関して、米国が主導して大部分を担うべきではなく、ヨーロッパ諸国が中心的に負担すべきだと強調した。

米国はロシアの2022年からの侵攻以降、累計669億ドルの軍事支援を行っており、2014年以降では697億ドルに達している。ヴァンス副大統領は、戦争を止めるために必要なら米国も関与すべきだとしつつも、最終的な責任はヨーロッパにあるとの認識を示した。

つまり、米国政権としてはウクライナ支援を完全に放棄する姿勢ではないが、「主体は欧州が担う」という方針を一貫して打ち出している。これは米国内で高額な支援に対する反発が強まっている背景を反映している。

 

 

ヴァンス副大統領の発言が米欧関係やNATOの内部バランスにどのような影響を与えるか

1. 米国の方針転換の明示化
トランプ政権は「アメリカ第一」の外交姿勢を掲げており、ウクライナ支援においても従来の「米国主導モデル」から「欧州主導モデル」への転換を明確に打ち出している。ヴァンス副大統領の発言はその延長で、欧州諸国により多くの負担を求める強いメッセージとなる。

2. 欧州側への圧力
ウクライナを最も脅かすロシアは地理的に欧州に隣接しており、安全保障的には欧州の課題であると米国が認識を示したことで、NATOの中でもドイツ、フランス、ポーランドといった主要国の責任が拡大する可能性が高い。軍事支援や財政支援の比重をEUが増やすよう求められるため、欧州内での統一や分担の議論が活発化すると考えられる。

3. NATO内部のバランス変化
従来のNATOは事実上「米国主導」で成り立ってきたが、今回の方針が持続するなら「欧州主体・米国補完」という新しいバランスが志向される。これはNATOの役割を再定義する動きを促すかもしれない。

欧州各国が防衛費をさらに増額する圧力がかかる。

東欧諸国(特にポーランド、バルト三国)は米国の関与低下を懸念し、より前のめりな自主防衛姿勢を取る可能性。

西欧諸国(ドイツ、フランス)は「自立した欧州安全保障」の議論を進める契機となりうる。

4. 米欧関係への潜在的摩擦
米国が欧州に過度な負担を求める場合、欧州側は「米国のリーダーシップ後退」と受け取り、信頼性に対する不安を抱く可能性がある。特に戦費やエネルギー危機に直面している欧州世論の中には、さらなる負担増に反発する声も強まることが予想される。こうした摩擦は米欧間の外交交渉を難航させる要因となり得る。

5. 長期的影響
もし米国が従来の支援水準を縮小し、欧州がその穴を十分に埋められなければ、ウクライナの戦況や防衛力に直接影響が出る可能性がある。それはロシアにとって戦略的余地を与える要因となり、東欧全体の安全保障環境にも波及するだろう。

まとめると、ヴァンス副大統領の発言は単なる一時的なコメントではなく、米国主導から欧州主導へのシフトを示す戦略的シグナルであり、NATOと米欧関係全体の力学を大きく変える可能性を含んでいる。

 

 

ウクライナ戦争の終結シナリオにどのような影響が及ぶか

1. 欧州が主体的に動き、支援が強化される場合

  • 欧州諸国が一致して支援を拡大するシナリオ。
  • ドイツやフランスが財政負担を増やし、東欧諸国(ポーランド、バルト三国)が兵器供与や訓練をリードすれば、米国の関与縮小を穴埋めできる。
  • ウクライナ軍の戦力は維持され、ロシアの軍事的優位は阻止される可能性が高い。
  • この場合、戦争は長期戦となる可能性があるが、ロシアに譲歩を迫る圧力は継続する。
  • 終結シナリオは「停戦交渉」や「東部地域の事実上の現状固定」が現実味を帯びる。

2. 欧州内で足並みが揃わず、支援が減退する場合

  • 欧州内で世論の反発や財政負担への限界から、支援が細るシナリオ。
  • ドイツやフランスが国内経済難や世論の圧力で消極的になると、東欧諸国だけでは支援総量が不足する。
  • 米国の関与縮小と重なり、ウクライナは兵器・資金の不足に直面。
  • ロシアはこの機を捉え、戦況で優位に立つ可能性が高まり、場合によっては前線を押し戻すこともあり得る。
  • 終結シナリオは「ロシア有利の和平合意」や「領土割譲を含む停戦」となるリスクがある。

3. 米欧が最低限の連携を維持する場合

  • 米国は「欧州主導」を強調しながらも、限定的な軍事・諜報支援を続けるシナリオ。
  • 米国は直接の大規模支援は控えつつ、先端兵器や情報共有で影響力を保持。
  • 欧州が財政的・政治的に前に出つつ、米国が戦略の後ろ盾を提供する「折衷型」体制となる。
  • 戦況としては膠着状態が続きやすく、終結は「長期停戦」や「凍結された紛争」として形作られる可能性が高い。

4. 戦争終結シナリオに与える全体的影響

  • 欧州の結束強化:ウクライナが自立的に防衛できる状態を支える流れになり、戦争の長期化を経て「ウクライナの独立維持」につながる。
  • 欧州の不一致:支援縮小でロシアに有利な条件が整い、「領土を失った不完全な終戦」に収束する危険性大。
  • 米国の限定関与:長期にわたる不安定状態が固定化し、欧州の安全保障は恒常的に揺らぎ続ける。

結論として、ヴァンス副大統領の発言は「戦争の行方そのもの」を決定づける可能性をもつ。欧州が一枚岩になれるか、それとも内部分裂するかがウクライナの将来を左右する最大の要因になると考えられる。

 

 

日本やアジアの安全保障にどのような波及影響を及ぼすか

1. 米国の資源再配分

  • 米国がウクライナ戦争での負担を軽減し、欧州に委ねる構図は、逆にアジアでの対中戦略により注力できる環境を整える。
  • 特に台湾防衛や南シナ海、東シナ海での軍事的プレゼンスは強化される可能性があり、日本の安全保障環境には正の効果がある。

2. 米国の「負担分担」要求が日本にも波及する可能性

  • ヨーロッパ諸国に「主体的に負担せよ」と迫る姿勢は、同盟国全体に向けられる。
  • 日本に対しても「防衛費のさらなる増額」や「地域安全保障での主導的役割」が求められる圧力が強まる。
  • 既に日本は防衛費をGDP比2%に引き上げる方針を打ち出しているが、米国から見ればまだ不十分だと位置づけられる可能性がある。

3. 中国への戦略的メッセージ

  • ヨーロッパがロシア問題に前面で立ち、米国がその分アジアに集中するという構図は、中国に対して「米国はアジアの安全保障を軽視していない」という明確なシグナルになる。
  • 一方で、中国が「欧州と米国の間に亀裂」を見抜けば、日米欧の分断を突こうとする外交的・経済的攻勢を強める可能性がある。

4. 日本にとってのリスクと機会

リスク:

  • 米国が「日本も欧州のようにより大きな負担を担え」と要求し、財政負担や自衛隊の海外派遣圧力が増す。
  • アジアにおける米中対立激化が、日本を最前線に立たせる。

機会:

  • 米国のアジア重視により、対中抑止力が強化され、日本の安全保障は米国との協力によってより確固なものとなる。
  • 欧州と同様、日本も「地域での主導的プレイヤー」として台頭する契機になり得る。

5. 長期的展望

  • 米国が欧州に負担を求める構図は「世界各地域での米国主導から地域主導への転換」を象徴している。
  • 欧州は欧州主導でロシアに対応。
  • アジアは日本や豪州、韓国、インドなどが主導で中国に対応。
  • 米国は「後ろから支える役割」を強調する流れとなり、日本にとっては「より主体的な安全保障の担い手」として行動を迫られる未来が見えてくる。

まとめると、ヴァンス副大統領の発言はウクライナに関するものだが、実質的には「米国が世界で単独主導する時代の終わり」を示しており、日本やアジア諸国にとっては「地域の安全は自ら責任を持て」という強いシグナルと言える。
 

ロシアのウクライナ侵攻が発生したのは誰の責任?

ロシアのウクライナ侵攻の責任については、主にロシアのプーチン大統領にあるとされています。2022年2月24日にプーチン大統領がウクライナへの「特別軍事作戦」を開始し、ロシア軍がウクライナ全土に侵攻を始めたことがこの戦争の発端です。欧米諸国はこの侵攻を強く非難し、ロシアに対して侵略罪としての責任を問う動きもあります。欧州各国はプーチン大統領らに対し特別法廷を設置し、侵略罪の責任追及を進めようとしています。

一方でロシアは、NATO(北大西洋条約機構)の東方拡大を侵攻の口実にしていると説明していますが、この主張は国際的に否定されています。また、元アメリカ大統領トランプ氏はロシアの侵攻について当時のロシア・ウクライナ・アメリカの3人のリーダーに責任があると述べるなど複数の見解もありますが、国際社会の主流はロシアの侵攻開始と指導者の責任を重視しています。

まとめると、ウクライナ侵攻の直接的責任はロシアのプーチン大統領にあり、これに対し国際社会は侵略行為として非難し、法的責任追及の動きも進めている状況です。

 

 

バイデンが「関与しない」と明言したからでは?

ジョー・バイデン米大統領が「ウクライナ紛争への直接的な関与はしない」と明言したことはありますが、これがロシアのウクライナ侵攻の責任を免れる理由にはなっていません。

バイデン政権は、ウクライナに対して軍事支援や経済制裁を通じてロシアに圧力をかける一方で、米軍の直接的な戦闘参加は避ける方針を示しました。しかし、ロシアの侵攻決定そのものはロシアの指導者の意志と行動に基づくものであり、米国が直接関与しないことは侵攻の責任を軽減しません。

侵攻の発端はロシア側の軍事行動にあり、国際社会もその点で一致した見解を持っています。したがって、バイデン大統領が関与しないと言ったことは責任の所在に影響しません

 

 

イランはイスラエルとウクライナの共通の敵

ウクライナとイスラエルにとって共通の敵はイランです。イランはウラン濃縮や核兵器製造に強い関心を持ち、核関連施設がイスラエルと米軍によって空爆されるなど対立が激化しています。また、イランはロシアに無人攻撃機(ドローン)やミサイルを供与し、ロシア軍を軍事支援しているため、ウクライナはロシアからの無人機攻撃で大きな被害を受けています。イスラエルとウクライナは防空能力の強化や共同兵器生産で協力を模索しており、特にイスラエルの対空防衛システム「アイアンドーム」の技術移転に関心を持っています。両国の外相はイランの脅威について個別の対話を開始することも決めています。イスラエルはロシアとは距離を置きつつウクライナ支援を強調しており、イランが両国にとっての軍事的共通の脅威であることが明確です。

この関係は、ウクライナが対ロシア戦争でイラン製の無人機による攻撃を受け、多数の民間人被害が出ていること、またイスラエルがイランの核施設攻撃を行う一方で米国と連携しながら国家安全保障を守ろうとしている現状が背景にあります。イスラエルとウクライナは安全保障課題においてイランという共通の敵に直面し、それに対抗するための協力関係を深めています。

歴史的にはウクライナとユダヤ人の関係は複雑で、ゼレンスキー大統領自身もユダヤ人であることも特筆されます。

要点をまとめると:

  • イランは核兵器開発とロシア軍への無人機・ミサイル供与でウクライナとイスラエルの共通の軍事的脅威。
  • イスラエルはイランの核関連施設を空爆し、米軍と連携。
  • ウクライナはイスラエルに防空システム「アイアンドーム」の技術移転を期待。
  • 両国はイランの脅威に関し個別対話を開始。
  • イスラエルはウクライナ支援を強調し、ロシアから距離を置いている。

このように、イランが軍事的に両国にとって共通の敵として認識されていることが現在の協議や関係強化の基盤です。

 

 

親露派がプーチン大統領にウクライナ撃退支援要請報道

近く派兵開始の可能性

 

 

ロシアの工作員集団がウクライナに入っており、ウクライナ侵攻の口実を作るために、自分たち、またはロシア語を話す人々が攻撃を受けたかのように見せる作戦計画の証拠を掴んでいる

国際情勢アナリスト、国際ジャーナリスト、日本大学客員研究員。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版(国際版・英語版)、MIT(マサチューセッツ工科大学)フルブライトフェローを経てフリーに

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山田 敏弘

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