ロッジP2 イタリア「鉛の時代」の政軍経の腐敗や極右テロ、国家転覆未遂などの黒幕・ネットワークとして機能した秘密結社

ロッジP2と鉛

ロッジP2と「鉛の時代」とは

  • **ロッジP2(Propaganda Due, P2)**は、イタリアのフリーメイソン組織「イタリア大東社」傘下に設立されたロッジ(支部)でしたが、1970年代後半から1980年代初頭にかけて、イタリア社会・政界を揺るがせた「鉛の時代(Anni di piombo)」に深く関与したとされる秘密結社です。

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「鉛の時代」とは

  • 「鉛の時代」とは、1960年代末から1980年代初頭にかけてイタリアで続いた、極左・極右のテロや暴力事件、政界・経済界の腐敗、暗殺・爆破事件が頻発した混乱の時代を指します。代表的な事件として、ボローニャ駅爆破事件(1980年)、アルド・モーロ元首相誘拐殺害事件(1978年)などが挙げられます。

ロッジP2の正体と「鉛の時代」との関係

  • ロッジP2は、表向きはフリーメイソンの一支部でしたが、実際にはイタリア政界・軍・警察・諜報機関・財界・メディアなど各界の有力者が多数参加し、極右的な思想を持つ秘密結社として活動していました。
  • 1976年にフリーメイソン本部から認証を取り消され、その後は非公認の秘密結社として活動を継続。1981年にイタリア政府から「犯罪組織」と認定され、解散命令が出されました。
  • 1981年、銀行家ミケーレ・シンドーナの捜査中にP2の会員リストが発見され、現役閣僚や軍・警察・諜報機関幹部、銀行家、メディア関係者など932名に及ぶメンバーの存在が明らかになり、イタリア社会に大きな衝撃を与えました。

具体的な関与

  • ロッジP2は、「鉛の時代」に発生した爆破・暗殺・クーデター未遂などの極右テロ事件や、経済犯罪、政府転覆計画への関与が疑われています。
  • 代表的な事件として、ボローニャ駅爆破事件(1980年)、フォンターナ広場爆破事件(1969年)、ロッジャ広場虐殺事件(1974年)などがあり、これらの事件の背後にP2のネットワークやメンバーの関与が指摘されています。
  • また、P2は南米の反共軍事政権とも強い結びつきを持ち、冷戦下の国際的な反共活動の一翼を担っていました。

ロッジP2の社会的影響

  • P2事件の発覚は、イタリア社会に「国家の中の国家」とも呼ばれるほどの深刻な不信と混乱をもたらしました。
  • イタリア政府はP2を正式に「犯罪組織」と認定し、議会調査委員会が設置されるなど、国家レベルでの大問題となりました。
  • 「鉛の時代」の混乱の一因として、P2の存在とそのネットワークが重要な役割を果たしていたと考えられています。

まとめ

  • ロッジP2は、イタリアの「鉛の時代」における政界・軍・経済界の腐敗や極右テロ、国家転覆未遂などの黒幕・ネットワークとして機能した秘密結社であり、その発覚はイタリア現代史の大きな転換点となりました。